陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「フォー・ザ・ボーイズ」

2013-02-20 | 映画──社会派・青春・恋愛
映画「ステラ」で、ひとり娘を育てる健気なバーテンダーを演じたベット・ミドラーがこれまた、パワフルな女性を演出。
1991年の映画「フォー・ザ・ボーイズ」は、戦地に赴く青年軍人の慰問に人生をかけた女性歌手と、人気コメディアンの愛憎劇。

歌手のディクシー・レナードと、名コメディアンのエディ・スパークスがコンビを組んだのは、1942年。
ナチス空襲下のロンドンの慰問ショーで、人気者エディを凌駕する超絶トークでディクシーが大ウケ。以来、半世紀に渡ってふたりで慰問団として、戦場の兵士たちのまえで、踊り、歌い、話しかけ、楽しませてきた。
戦場カメラマンであったディクシーの夫は戦死し、ひとり息子のダニーは、いつしかエディを父のように慕う。ディクシーとエディは会えばいつも喧嘩ばかりだが、本番になるときれいさっぱり忘れて意気投合するふしぎなコンビワーク。

1950年、朝鮮戦争での慰問ではうっかり一線を超えてしまうが、エディの長年の親友で台本書きの叔父のアートを保身のため解雇したことから、ふたりはコンビを解消。人気も急落し、ディクシーは落ちぶれてしまった。

1969年、ベトナム戦争に参戦していた大尉のダニー会いたさに、エディとふたたび慰問会を開いたディクシー。だが、そこでディクシーは戦争でこころが荒廃した若者たちの真実、そして息子の最期を目撃してしまう…。

そのベトナム戦争から25年後。
音沙汰もなかったふたりのコンビが、全米芸術勲章の授与式で再会。ここで、吐露する母親としてのディクシーの感情が、あまりにも痛々しい。けれど、ラストはうまく収まってしまう。

全編、かずかずの名曲が熱唱され一種のミュージカル映画ともいえる楽しさがあるが、アメリカが加担した三つの戦争の意味を問いかける反戦ドラマでもあることに、留意しておきたい。

(〇九年八月二十七日)

フォー・ザ・ボーイズ(1991) - goo 映画

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