月下樹のおと

樹月けい、オタク母のブログ。アニメ・漫画。お絵かき展示等。義母の介護終わり、義父のご飯お手伝い中。

絵本『ちいさなおうち』に泣く

2008-06-12 18:47:42 | 感想★アート演劇 映画ドラマ アニメ等
絵本『ちいさなおうち』を読んで 思ったこと。



声に出して読んでいるうちに、
自分が その おうちになったような気持ちになった。

大好きな りんごの木や ひなぎくの花を思う。夢にまで見る。
暗い ほこりまみれの ビルの谷間で
春がきたのか 夏がきたのかも 分からないまま。

それでも、そこに 居続けなければならない・・・
大好きなものを失って なお生き続けなければならない 残酷さ。


ふと、何かに重なった。

いすだ。
椅子。

イーダちゃんのイス
『ふたりのイーダ』という題名だっただろうか。

大好きだった イーダと呼ばれる 女の子を 待つ、椅子。 
廃墟の中で あしを引きずりながら ずっとずっと。
それは、原爆があった あの日から 
気の遠くなるほど ずっと。
椅子は しゃべる。
「いない いない イーダが いない」
重く 悲しく 廃墟に響く 声。


おうちも 同じだ。
その家を建てた人の まごの まごの そのまた まごが見つけてくれるまで
どれくらい 待ったのだろう。
気が遠くなるまで。

ビルの谷間から、おうちを 連れ出してくれた 後も
あっちでもない こっちでもない と
探し回り やっと見つけた 丘。

あのときと 同じ 丘だ!
そして、文をおっていく目は “りんごの木”の文字を 見つける。
夢にまで見た、思い続けた、 りんごの・・・・
りんごの・・・・

どうしても声が出ない。
ここで 言葉が続かなくなる。
何かが あふれる。



あの どす暗い どんよりとした世界から抜けて
この 晴れやかに 澄み切った空や 
木々のみどりや 明るいひかりを
目にするとき

それがまた 何かに 重なる。


『ダークグリーン』だ。

昔の漫画だけど。

Rドリーム?という 夢の世界に入ったまま 目覚められない人々。
不思議な現象。
現実で自然破壊が 続くけば続くほど
その夢の世界は ヘドロのようになっていき
目覚められない 主人公たちは、
ずっとずっと 悪夢のようなときを過ごす。

その世界から 一転
現実の とある場所へ 抜け出られた瞬間の 描写。

それが あの おうちが探し続けた 場所のように、
青い空 白い雲 みどりの木々・・・

あの漫画の  あの場面を見て 
心から、
ああよかった まだ この世界に 
こんな場所があって よかった
こんな場所で 生きられて よかった・・・と
安堵やら 嬉しさや 懐かしさやらが 交じり合って
しばらくそのページを開いたまま 涙が止まらなかった。

あのときと あのときの気持ちと

重なった。


その一瞬に かけめぐった。

むかしむかしの 無意識の
奥にある記憶がよみがえる。



・・・・・
たぶん そういうことだったのだろう。
ふりかえって
あの場面に 心動かされた理由を考える。


想像する。

同じような 気持ちになる。

経験できないようなことでも
まったく違う世界でも

それを飛び越えて いける。
なんてふしぎ
なんてすてき。


理屈じゃない 感覚。


相手の気持ちになって・・・とかいうけれど

それに近い感じだろうか。


あたまで理解するのではない
感じることの いろいろ かずかず
そのあつまりが 積み重ねが
また、何かに出会うとき
心を揺り動かしてくれる・・・

のかもしれない。


絵本 (というジャンルに限らず)、
なんて たのしい
なんて すばらしい おはなしの世界。

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