ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

積み木崩し

2015-08-24 16:08:14 | 日記・エッセイ・コラム
築百年の隣家が取り壊される。
大きな屋根が引きちぎられて
フクロウのねぐらだった樫の木も倒され
古色蒼然な埃と臭いが塀を越えてくる。

ずっと空家であったが
元の主は福田らんどうの弟子。
夕方になると尺八の音が藪椿の奥から聞こえていた。

百年の歴史も重機にかかればたちまち平らに畳まれ 
柱一本残さず更地になった。

壊すことはまことに簡単。
人の関係も同じことで

永年積み重ねた友情も誤解のひと言で崩れてしまい
50年連れ添った夫婦の熟年離婚。
些細なことでガラガラ崩れる。
70年守り続けてきた平和憲法でさえ 今まさに----

南東の空がぽっかりあいて風通しが良くなったが反面 
台風のとき心配である。


     向日葵やソフィヤローレン懐かしみ

夜ばなし

2015-08-18 18:15:16 | 日記・エッセイ・コラム
五代目志ん生の「おいてけぼり」をCDにて聴く。

内容は怪談でも
軽妙洒脱な志ん生の話術にすっかりはまって
何度も繰り返し聴く。

葬儀屋の友人がいて 
交通事故などで当地の病院から自宅まで遺体を運ぶことがある。
ある日 
青森県まで遺体を運ぶことになったが
社員は怖がって行こうとしない。
社長自ら自家用車の後部座席に遺体を乗せて
深夜の高速道路をひた走る。

”遺体と二人きりで怖くないかい?”

私の素朴な質問に
”死んだ者はなにもしないからちっとも怖くない。
 生きてる人間こそ何をするかわからないから怖い”
--------含蓄。

昨今、
身の毛もよだつようなおぞましいニュースが後を絶たない。
どれもみな生きている人間の仕業である。
それに比べたらお化けも幽霊も可愛いものである。


     この先は自分が頼りのうぜん花

失われゆくもの

2015-08-16 16:49:34 | 日記・エッセイ・コラム
今日16日は送り盆。
3日間の里帰りを終えて先祖たちが彼岸へ還っていく。

墓仕舞いが徐々に増えているらしい。
少子化と核家族が主な原因だが
根底には家族の絆が希薄になっていることが最大の理由であろう。

盆迎え 盆送りなど昔は
沢山の家族が提灯提げて賑やかであったが
この頃の盆の道はひっそりと雑草に被われている。

たった独りの送り迎えも珍しくない。
盂蘭盆会---やがて失われていく文化風習の一つ。


年年歳歳
消滅していくものが増えてなにかしら周囲が殺伐としてくる。

歳時記は既に只の読物でしかなく
門松も菖蒲湯も柏餅も暮らしの中から消えようとしている。

塩辛蜻蛉や糸とんぼや すいっちょも消えて
時代は次第に薄っぺらなものになっていく。

おふくろの味は袋(パック)に化け
こどもは保険金の対象であり
心中などという純愛はとうの昔に失われ
カブトムシやクワガタは森から消えて今やスーパーの商品である。



          盆の道幼なじみとすれ違う

うわさ

2015-08-10 12:10:07 | 日記・エッセイ・コラム
軽なんかに乗って どうなってんだい”
”ああ、どうしたんだろうね”

友人たちの間でわたしが噂になっているらしい。

街中にはたくさんの軽があふれているというのに
軽に乗るわたしの姿がそんなに奇異にみえるのだろうか。

”何かあったんかい?”
昨日も 一人の友人から単刀直入の電話があった。
彼は元銀行員なので 
その方面を心配してくれるとでも・・・・。

尤も二十歳代からの車道楽は
ワーゲン・ボルボ・BMW・ローバーと
外車ばかりを乗り継いできたので
何かしら一つのイメージが
出来あがっていたのかもしれない。
それが突然 軽自動車を運転しているから 何事かと。

それでも
 噂されるのはいまだ健在ということでもあり
ありがたいことだ。

”温泉付き別荘に女をかこっているらしい”
”〇〇の娘が嫁に行かないのはマスターが居るからだ”
”どこどこに隠し子がいる”

振り返れば小説のような輝かしい噂もあったが。
-------ゆめまぼろし

とにもかくにも ひとの噂とは面白きもの。


     秋蝉の今日は岬のとっぱずれ

すっぽん

2015-08-01 15:01:19 | 日記・エッセイ・コラム
まさに殺人的熱暑。

猫たちは庭から姿を消し 
セミは声を失くし葉陰でひっそりいのちを繋いでいる。

テレビをつけると70年前の沖縄戦線の記録。
 アツイ! アツイ! 

できたての梅干を貰う(1年分もある)
酸っぱさの中に日向の藁の匂いがして
冷茶づけの昼食がすすむ。

この夏をなんとか乗り越えようと
すっぽん黒酢の世話になる。

かつて専門店のすっぽん鍋を食べたことがあるが
あの後はさすがに元気もりもりであった。
どぜう鍋も然り シャツの腕をまくり
舌を焦がしながら熱々を食べるのは盛夏の風景でもある。

サプリメントではそれほどの効果は期待できないが・・・・・
夏バテ解消にはすっぽん鍋がお勧めです。


      みんみんの声を失くして後ずさり