ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

キンモクセイの墓

2009-09-29 12:21:32 | 日記・エッセイ・コラム

我が家の前の駐車場で
月に一度だけ店を開く研ぎ屋さん、
熟したポポーの実を五つほど届けてくれた。

マンゴーのような
あるいは妙齢のひとの髪のような
妖しく幻惑的な匂いがする。
なんども鼻によせては匂いを嗅ぎ
どうにも癖になりそう・・・・・・・

匂いといえば今、キンモクセイが真っ盛り。
蔵の側で大きく枝を張り
辺りいちめん芳香を放っている。
その黄金の散華の蒲団をかぶり
ハチが眠っている。
飼い主に捨てられた哀れな犬、
どれほど愛情をそそいでも視線はぼくの眼を透し
いつも彼方を見つめていた。

ほんとうの飼い主が現れるのを
ずっと待っていたのだろう。

ハチよ安らかに
降りそそげよキンモクセイの花

     
湯けむりに溶けゆくほどの秋の雨


ほどほどがいい

2009-09-27 13:49:15 | 日記・エッセイ・コラム

感動のあの歌曲コンクールが過ぎて
胸にぽっかり穴が開き
うつろな風が吹きぬけている。

姪や甥が幼かったころ
お盆や正月になると大勢が泊まりにやってきて
家の中は賑わいをみせていた。
しかし、時が来ると一斉に帰ってしまい
おいてきぼりの絵本や玩具を片付けながら
一抹のわびしさを噛みしめることになる。

華やかなあとの反動が大きいから
喜びや幸せは ほどほどがいい。

昨日、音楽とデザインを学んでいる姉妹が訪ねてくれた。
ぼくの詩「海月」に曲をつけ演奏してくれた芸大の学生。
拙館を見学した後
イマジン
(那須高原)という超人気の店で
ランチを囲みながらお喋り。

ほのぼのと温かく
夢の実現へまっしぐらの二人から
エネルギーを分けて貰えたような気がする。
もっと話をしていたかったが
夕方には会津若松に入りたいというので
黒磯駅で別れる。

NYに住んでいる甥から
先ほど見事なバームクーヘンが送られてきた。
早速アフターヌーンティー。
しっとりとした薫りは
深み行く秋の昼下がりに良く似合う。
寄木細工の美しいケースは
妻が宝石箱にすると言うが・・・・・
そんなに沢山もっていたかなぁ?。


     パスタ食ぶ秋日に頬を染められて


それとも夢のつづき・・・・

2009-09-23 14:01:18 | 日記・エッセイ・コラム

九回裏の逆転満塁ホームランというのが、
人生の中にも起こりえることを、あらためて体験させられた。

昨日22日、日本歌曲コンクールにて
声楽部門の本大会があった。
上野公園内にある東京文化会館の周囲は
連休の人出でごったがえし
久しぶりの上京に気分も高揚した。

大阪予選、東京予選を勝ち抜いてきた15名の
声楽家による本大会。
さすが見事な歌唱力と表現力に圧倒されたが
13名の審査員による選考結果、
第1位、2位、3位、奨励賞ともにぼくの詩「雲」の曲に集中した。
このような快挙は
優秀な作曲家と素敵な声楽家の力量に他ならないが

発表の一瞬、耳を疑った。
〈 これは何かの誤解・・・・それとも昨夜からの夢の続き・・・・!? 〉

審査員と並んで記念写真を撮られている間も
心はふわふわ、頭の中は真っ白。

お彼岸に
冷たい缶ビールを墓前に供えたのが効いたのだろうか。
とても奇跡としか思えないような出来事。

その晩、祝いにと妹たちが帝国ホテルに食事を用意してくれた。
上等なフカヒレスープに堪能し、人生最良の日であった。

     
天平の風はむらさき萩の花


afternoon tea

2009-09-18 11:49:43 | 日記・エッセイ・コラム

本日のafternoon teaは虎屋の羊羹と紅茶。
羊羹は女房の幼なじみから頂いたもの。
紅茶は友人がタイからのお土産で
なかなか高級なものらしく爽やかな薫りがして美味しい。
 〈虎屋のものは好きじゃない、日光ひしやの羊羹がいい〉
ぜいたくなことを言いながら
妻は二切れめに手を出している。

有難いことに我が家のくらしは頂きもので潤っている。

タイのことで想い出したが
晩年夫婦そろってタイに移住した知人がいる。
彼はボルボ・アマゾンに乗って逗子の自宅から
ぼくの店にやって来ていた。
その頃ぼくは1800ccのBMWに乗っており
ひょんな話から車を交換することになった。

ある日、T字路でミキサー車が横腹に突っ込んできたが
ドアが少々凹んだだけでびくともしない。
ミキサー車の運転手のすっとんきょうな顔が愉快だった。
当時のスウェーデン鋼材は世界一優れていて
象を乗せても平気ということであった。

以来すっかりボルボに魅せられて
つぎの年には、黄色のボルボP1800ESを買う。
12台しか輸入されなかったと言われているプレミアもの。
その後もつぎつぎと車を買い替え
東京ワーゲンクラブのラリーにビジターとして招待されたこともある。

顧みると30代がぼくの道楽の頂点で
助手席にはいつもかぐわしい女性が乗っていたような・・・・・

穏やかな秋の昼下がり
紅茶を含むと、遠い日の枯草の薫りが仄かに立ちのぼる。


     
りんご捥ぐ農婦の腰のたくましき
                    
 ( O りんご園に )


こっち見てよ!

2009-09-13 17:57:52 | 日記・エッセイ・コラム

カラオケなんてもう何年ぶりだろうか。
昨日、同人誌の作品合評会のあと
カラオケ店で二次会となった。

かつてコーラスで鍛えた発声法も
三十年経つと息がつづかない。
声量を抑えたり
気づかれないように中途でブレスしたりしながら
裕次郎やテレサテンを唄う。

申し込まれてデュエットの相手をするが
他人同士が眼を見つめ合って唄うのはとても苦手。
  ♪ ほんとの恋の物語~
なんて見つめ合ったらその先どうなってしまうやら・・・・
責任をもてない。

 ( たまには、こっち見てよ! )
唄い終わって席に着くなり相手方からイエローカード。
 
ところで肝心の合評会であるが
作品が活字になってしまうと
なんとなくそれで完結という気分になってしまう。
そこの油断を同人仲間に見抜かれ
ハッとすることが多い。
それらの指摘を柔軟に受け止めるか
頑なに拒むかは本人次第であって
だれにも押し付けることはできない。
そこが合評会の大義でもある。

圧力鍋、豚の角煮につづきカレーを作った。
扱いなれてくると
なかなか重宝な道具であり
あしたはおでんにチャレンジするという。

     
天高しバイク野郎の破裂音