漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第4章 その37

2007年02月15日 22時06分46秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、東京豊島区要町にあった加藤さんの下宿前の退屈な風景である。今では、その
 退屈な風景にありふれたマンションが建ち並んでいます。《 1989年8月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その37
 
 
最近では、マスコミにも登場しなくなった革共同中核派( 俗にいう左翼過
激派 )の拠点、要塞の様な前進社ビルから5,6分の所に私の下宿はありまし
た。
 
東京豊島区要町、大家さんの加藤( 仮名 )さんは、美しい未亡人ですが、
亡くなられたご主人の母親と一人息子さんと一緒に生活されていました。
 
大家さん一家は本宅に住み、隣の別宅( 明らかに傾いた様な木造住宅 )が
下宿になっていました。 私は一階のスペース全てを占有。 二階には学
生さんが2人、それぞれ6畳の部屋に暮らしていました。
 
1985年、私は30歳になり、Jプロに入ってからは7年目。 絵の勉強のため
につづけたクロッキーの練習、そして乱読、演出の勉強のための映画鑑賞、
最後に少しエッチ。
 
それらが漬物樽の中の野菜のように発酵して、いよいよ食べ頃( 遅すぎた
くらい! )になっていたのです。 そして、これから始まる漫画連作の起
爆剤になったのが、前回まで書きましたガンさんの「 ○不孝通り 」の背景
を手伝った事でした。
 
 『 次はオレだ! 』
 
文学青年と漫画青年( 豊かな感性や才能に恵まれない多くの青年たち! )
の大きな違いはこの単純さにあると思います。 誇るほどの才能は無くと
も、誇るべき「 素直さ 」があるのです!
 
 
ジャンジャン描いて、ジャンジャン賞に応募する! しかし、いったい何
を描くか・・・・? この頃すでに多くのアイデアが蓄積されていたので、
描くネタに困る事はありませんでした! ただ困ったのは、その中でいっ
たい何を描くか? どれを選ぶか・・・・? と、いう事でした。
 
とりあえず、色々なジャンルの作品を片っ端から描き、S学館、K談社、
S英社、それぞれ大手の新人賞に投稿しようと考えたのです!
 
悩んだり考えたりするよりも、勢いに乗っていたのです!
 
数年間に及ぶ、絵の勉強、読書、資料集めに作品の構想・・・・ いよい
よ「 出撃だ!」という昂ぶった気持ちで目を血走らせていた・・・・と、
書けば・・・まるで漫画ですが、本当はたんたんとのん気に・・・・・
 
 『 えーとォSFがイイかなァ・・・・それとも、ほのぼのしたギャグ
   も描こうかなァ・・・・ 』
 
 『 それにホラー物もやりたいしィ・・・・ 』
 
 『 それぞれの作品をメジャー誌に投稿して、全誌で大賞を総ナメにし
   て・・・・ 全誌から連載の依頼があったりしてェ・・・・ こ
   りゃ大変な事になるぞォ・・・・ 』
 
 『 どれか一誌を選ぶとしたらどれがイイかなァ・・・・ 他の雑誌の
   依頼は何んて言って断ったらいいんだろう・・・・・・・・・? 』
 
 『 弱ったなァ・・・・ これは深刻な問題だぞ・・・・ 賞金はいただ
   いといて、仕事の依頼は断るなんて・・・・! 』
 
 『 なんだか・・・・ 疲れてきたなァ・・・・・・・・・・・・・ 』
 
   
  
          「 漫画家アシスタント 第4章 その38 」 へつづく・・・



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6 コメント

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Unknown (杉岡陽子)
2007-02-16 08:01:21
お申し越しの件、異存ございません。
返信する
杉岡陽子さん、お久しぶりです! (yes)
2007-02-16 17:37:51
さっそく、粋(さすが!)なご返信をいただきまして、ありがと
うございました!
 
これでますます、私は頭が上がりません・・・・・!
 

返信する
オイラそっくり (ハヤブサ)
2007-02-19 08:18:57
賞金のことをあれこれ思案する姿は昔のオイラそっくりで笑っちゃいました!プロは土日はお休みですか?あれだけの仕事量を(週二日もやすむとすれば)よくこなせるとおもうけどアシスタントは全員で10人ぐらいは
いるんでしょうね(笑)
返信する
ハヤブサさん、コメントどうもありがとうございます! (yes)
2007-02-20 15:26:43
この当時の仕事量は、週刊誌連載2、隔週誌連載1、月刊連載
2、合計・・・ 月に250ページ以上でした。 スタッフの数は全
員6人。 それでも週に土日と平日に1,2日休みがありました!
つまり・・・週休3,4日制!・・・気楽なものでした・・・・!
 
普通の(ほとんどの!)漫画家は1日で10ページ仕上げるので
いっぱい、いっぱいだと思いますが・・・・ Jプロでは20ページ
を仕上げてしまいます! 驚異的なスピードと集中力(食事休
み、休憩ナシ!)で10時間位以内には20ページを完全に仕上げ
る事ができました!(背景の質は別にして!)
 
でも・・・・・ 今は、中高年スタッフ3人! せいぜい10ページ仕
上げるだけでもヘトヘト、ヨレヨレです・・・・・・・・・・・・・!
返信する
神業ですねー (ハヤブサ)
2007-02-21 10:06:37
六人で1日20ページは神業に近いですねー(汗)
現在でも三人はちょっと少ないようですが(もっと多いと思ってました)10ページなら小数精鋭
というべきでしょうか
カメラハンティングにもよく行かれますか?だとすればその時間
だけでもずいぶんとられそうなきはしますが、、。
オイラもカメハンよくやりますがその後の整理などにも時間取られて描く時間がなくなったりしてあわてることになったり(笑)
マンガは描く時間だけでなくてアイデアをねる時間も必要ですからねーやっぱり神業ですねー
返信する
神業と言うか・・・紙業というか・・・・・・ (yes)
2007-02-23 04:42:35
最近、最も多い仕事のペースが一日で8ページほどの仕上げです。
お昼から夜の8時頃までみっちり仕事に集中します! このペー
スになれていますので、神業などというほどの事もありません。

大手スパーマーケットのレジ係りの素早い対応に比べれば、のろ
まな亀みたいなもんです。お恥ずかしいかぎりです。
 
ところで、「カメラハンティング」ですが、こちらは担当編集員
が全て取材してきますので、アシスタントが動く事はありません。
 
しかし・・・・ 編集員の持ってくる写真や資料に不満がある場合は
私が休みの日を利用して取材に行って来ることもごく稀にありま
す。 真夏の新宿歌舞伎町などで、クソ重い一眼レフとその機材
を担いで半日歩き回り、熱中症で倒れそうになった事が何度もあ
りました!
 
埼玉県の奥にあるJR線某駅から1時間歩いた所に養豚場があるの
ですが、そこへ真夏の日中に取材に行った時は、その強烈な臭い
と蒸し風呂のような暑さに倒れそうになった事もあります。
 
もう、二度とゴメンです・・・・・!
  
返信する

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