漫画家アシスタント物語

どーすりゃ漫画家に成れるのか、何で漫画家になれないのか?漫画家アシスタントの日常と苦悩!漫画大バカ人生劇場 

漫画家アシスタント もう終わりで章 その11

2017年04月12日 10時18分15秒 | 漫画家アシスタント

 ( この写真は、私が移住を考えているタイ・チェンマイにあるカミさんの実家から撮影したものです。
  右側がカミさんの妹の家で、左側がカミさんの実家の台所の屋根。 チェンマイの夕暮れ時は、ち
  ょっと涼しくなる爽やかな夕暮れ時なのです・・・・・《 2017年、1月、撮影 》 )

  【 はじめての方は、どうぞ 「漫画家アシスタント 第1章 その1(縮小版)」 よりご覧下さい。 】  

 

                        その11


      《 漫画家アシスタントが・・・・師匠の言葉に絶句する・・・・!? 》



前回、「 プツリ 」と切れてしまう話を書きましたが・・・・・・・・何が切れたのかは、結構重
要な事なので、ちょっと追記しておきたいと思います。

漫画に向かう情熱の様なもの・・・・・・・・・・とても素朴な子供の頃から持っていた「 愛情 」
の様なものが消えてしまったという感じです。

ちょうど、この頃( 30代半頃 )から漫画自体を読まなくなって( 読めなくなって )いった
気がします。

前々回に書いた友人の脳性麻痺だった妹さんの記憶なども糸でも切る様に・・・・・・・あ
の時の「 笑顔 」の記憶が薄れて行ってしまった・・・・・・・って感じです。


さて、今回は、現在の漫画家アシスタント状況をお話ししましょう・・・・・・・

うちの師匠であるJ先生( ※参照 )も今年で74歳、来年には後期高齢者です。

でも、若い頃と同じ様な集中と気迫、そして、鬼気迫る感性にゆるみは感じられません。

それでも、連載漫画を描き続ける事は辛そうで・・・・・・・たぶん、本人は「 引退 」をかな
り前から意識している・・・・・・・漫画制作が随分と遅くなっています。

バブルの頃( 師匠が一番忙しかった頃 )は、毎月350枚ほどの原稿を描いていたと思
うのですが・・・・・・・・・・ここ7,8年は44枚ほどに減っています。( アシスタントの数も7人
から2人に減りました )

それも、締め切りを過ぎても完成出来ずに編集員をヒヤヒヤさせるのは毎回の事なの
です。

今年に入ってからは、40年落とした事のなかった連載を二度も落としてしまっています
・・・・・・・・・・一応、病気( 実はウソ )って事になってますが・・・・・・・・・・・・・・考えてみれば、
まったくのウソでもないかも知れません。


 「 ちょっとよ、ダメなんだよ 」

 「 ・・・・・・・? 」

ある日、仕事場で真っ白な原稿用紙に向かっている師匠が、振り向きながら私に・・・・・

 「 描けねィ~んだよ 」

私は、漫画を描くための体力がなくなって、ペンをコントロールするのが辛いのかと思っ
て・・・・・・・

 「 先生、ペンでガリガリ、キャラを描くのシンドイんじゃないですか? 」

 「 違うよ、ネームだよ 」

 「 ・・・・・・・! 」( 絶句する )

 「 ネームがよ・・・・・出ねィ~んだよ 」

「 ネーム 」というのは、キャラクターのセリフです・・・・・・・・つまり、ストーリーです・・・・・
・・・・・それが発想出来ないという事なのです。

結局、その日の仕事はそれで終わり、夕方には「 連載落ち 」が決定・・・・・・・。

年に24回、40数年間も続いた連載なのに・・・・・・・・・・まったく落とした事なんてなかっ
たのに・・・・・・・・・・

私の様なアシスタントにとって、師匠のネーム制作を手伝う事など、恐れ多くて出来
ないわけで・・・・・・・・・・・・

師匠が立ち止まるって事は、機関車が止まるのと似て、客車であるアシスタントも編
集も何も出来ないのです。( まったく無力なのです! )

そうなると、もう誰にも機関車を動かせませんし、その代わりを務める事も出来ない・・
・・・・・・・・・・

世界中で、師匠の連載漫画は師匠にしか描けないのです・・・・・・・・・・責任重大です。

師匠は、40年以上もこの重圧に耐え続けながら・・・・・・・・・・・・よくも精神状態に「 異常 」
をきたさなかったものだと思います。


さて、今日も仕事は臨時休業・・・・・・・毎日、11時過ぎに仕事場へ行くのですが・・・・・・・

また、師匠のネーム作りが遅れ始めました・・・・・・・・・・・・・・

ドアの隙間に担当編集員が悲鳴の様な、泣きながら懇願する様な手紙が挟まってい
ます。

 「 先生ぇ~! 今日、仕事してもらわないと締め切りがぁあああああ! 」



               「 漫画家アシスタント もう終わりで章 その12 」 へつづく・・・・

 ( 不定期連載、目標は、毎月2回アップだが・・・・・実際は月1回でもアップアップしている )



  【 ※参照 】
 ・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊連載6誌
  という逸話もある。現在は1誌に連載中。2017年現在、74歳。





   


【 各章案内 】  「第1章 その1」  「第2章 その1」  「第3章 その1」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
          ( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )



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