Turn Me Loose ! / Frank Rosolino
歌が上手いジャズミュージシャンは多い。ナットキングコールやジョージベンソンのように、いつのまにか歌が本業になってしまう本格派もいるが、多くは機会を見つけてはその喉を披露してくれる。その中でもボーカルアルバムを作るまでになると、それは余興というより、一歩踏み出してすでに歌手の仲間入りをしたともいえる。
最近で自分が紹介したアルバムでも、ジョージウェインがピアノ同様小粋な歌を披露してくれた。他にも、オスカーピーターソン、バディーリッチ、グラディーテイトなど、「のど自慢」のミュージシャンも結構いるものだが、皆本業の方の腕前も人並み以上の強者ばかりだ。
トロンボーンでは、古くは歌も得意といえばジャックティーガーデン。そしてモダントロンボーンでは、テクニックだけでなく実に歌心のあるプレーを聴かせてくれるのがフランクロソリーノ。自分も好きなプレーヤーの一人だが、そのロソリーノにもボーカルアルバムがある。
60年代に入ってスタジオワークが多くなったロソリーノにとっては、このボーカルアルバムは唯一のリーダーアルバムである。このアルバムを作ったのはシナトラのレーベルであるリプリーズ。シナトラ一家の面々のアルバムとは別に、POPSのアルバムもリリースされたが、その中の一枚だ。後に、リプリーズからはエリントンのアルバムなどもリリースされたが、最初の頃は他にジャズアルバムと思えるのは見当たらない。
このアルバムの制作に一役買ったのは、実はアレンジャーとしてはすでに有名であったニールヘフティーであった。ちょうど1960年にロスに戻っていたが、リプリーズレーベルの立上げと同時にA&Rとして就任した。そして、アレンジだけでなく、タレントの発掘、アルバム制作にも関与することになる。
そこにロソリーノのボーカルがニフティ―の眼鏡にかなったようだ。トロンボーンでは真剣な、生真面目なプレーが売りであったが、クラブのライブなどで時折見せるひょうきんな一面を打ち出すにはボーカルが最適と考えたのだろう。
ロソリーノのボーカルにハイライトを当てたとはいえ、決して並のボーカルアルバムではない。もちろんいつものトロンボーンのプレーも織り交ぜ、バックはドンフリードマンのピアノトリオをバックに、ワンホーンで存分に歌に演奏に大暴れするジャズアルバムといっていいだろう。
トロンボーン同様ボーカルでも滑らかな節回しはスローな曲よりアップテンポが良く似合う。興が乗るとスキャットを交え、時にヨーデルのような裏声も出しながらのスインギーなボーカルが楽しめる。このロソリーノのユーモアを交えた一面は普段のスタジオワークでのトロンボーンプレーでは味わえないのだろう。
ジャケットのトロンボーンの檻に閉じ込められている姿はそれを象徴しているようにも思う。「カルテットに餌を与えないで下さい」と書かれているが、特段餌が無くてもトロンボーンの檻から出ただけで存分に大暴れしている。
このアルバムを作った直後、テレビ出演もしていたようで映像も残っている。しかし、ボーカリストとしての活躍はこのアルバムだけだったようで、再びトロンボーンの檻の中でその後も活動を続けることになる。スタジオワークを離れ今度はソリストとして活動するようになるのは70年代に入ってからだ。
1. Too Marvelous for Words Johnny Mercer / Richard A. Whiting 2:16
2. Come Rain or Come Shine Harold Arlen / Johnny Mercer 2:57
3. Whatcha Gonna Do on Monday Ned Doheny, Hamish Stuart 2:21
4. Sometimes I'm Happy Irving Caesar / Clifford Grey / Vincent Youmans 2:37
5. Sweet Georgia Brown Ben Bernie / Kenneth Casey / Maceo Pinkard 2:22
6. Pennies From Heaven Johnny Burke / Arthur Johnston 2:53
7. I Cover the Waterfront Johnny Green / Edward Heyman 3:12
8. You're a Sweetheart Harold Adamson / Jimmy McHugh 2:40
9. Please Don't Bug Me Frank Rosolino 2:20
10. It Had to Be You Isham Jones / Gus Kahn 2:32
11. That Old Black Magic Harold Arlen / Johnny Mercer 2:46
12. How Many Hearts Have You Broken Marty Symes 2:56
Frank Rosolino (tb,vol)
Irving Cottler (ds)
Victor Feldman (p)
Chuck Berghofer (b)
Produced by Neal Hefti
Recorded in Los Angels, on November 26, 1961
歌が上手いジャズミュージシャンは多い。ナットキングコールやジョージベンソンのように、いつのまにか歌が本業になってしまう本格派もいるが、多くは機会を見つけてはその喉を披露してくれる。その中でもボーカルアルバムを作るまでになると、それは余興というより、一歩踏み出してすでに歌手の仲間入りをしたともいえる。
最近で自分が紹介したアルバムでも、ジョージウェインがピアノ同様小粋な歌を披露してくれた。他にも、オスカーピーターソン、バディーリッチ、グラディーテイトなど、「のど自慢」のミュージシャンも結構いるものだが、皆本業の方の腕前も人並み以上の強者ばかりだ。
トロンボーンでは、古くは歌も得意といえばジャックティーガーデン。そしてモダントロンボーンでは、テクニックだけでなく実に歌心のあるプレーを聴かせてくれるのがフランクロソリーノ。自分も好きなプレーヤーの一人だが、そのロソリーノにもボーカルアルバムがある。
60年代に入ってスタジオワークが多くなったロソリーノにとっては、このボーカルアルバムは唯一のリーダーアルバムである。このアルバムを作ったのはシナトラのレーベルであるリプリーズ。シナトラ一家の面々のアルバムとは別に、POPSのアルバムもリリースされたが、その中の一枚だ。後に、リプリーズからはエリントンのアルバムなどもリリースされたが、最初の頃は他にジャズアルバムと思えるのは見当たらない。
このアルバムの制作に一役買ったのは、実はアレンジャーとしてはすでに有名であったニールヘフティーであった。ちょうど1960年にロスに戻っていたが、リプリーズレーベルの立上げと同時にA&Rとして就任した。そして、アレンジだけでなく、タレントの発掘、アルバム制作にも関与することになる。
そこにロソリーノのボーカルがニフティ―の眼鏡にかなったようだ。トロンボーンでは真剣な、生真面目なプレーが売りであったが、クラブのライブなどで時折見せるひょうきんな一面を打ち出すにはボーカルが最適と考えたのだろう。
ロソリーノのボーカルにハイライトを当てたとはいえ、決して並のボーカルアルバムではない。もちろんいつものトロンボーンのプレーも織り交ぜ、バックはドンフリードマンのピアノトリオをバックに、ワンホーンで存分に歌に演奏に大暴れするジャズアルバムといっていいだろう。
トロンボーン同様ボーカルでも滑らかな節回しはスローな曲よりアップテンポが良く似合う。興が乗るとスキャットを交え、時にヨーデルのような裏声も出しながらのスインギーなボーカルが楽しめる。このロソリーノのユーモアを交えた一面は普段のスタジオワークでのトロンボーンプレーでは味わえないのだろう。
ジャケットのトロンボーンの檻に閉じ込められている姿はそれを象徴しているようにも思う。「カルテットに餌を与えないで下さい」と書かれているが、特段餌が無くてもトロンボーンの檻から出ただけで存分に大暴れしている。
このアルバムを作った直後、テレビ出演もしていたようで映像も残っている。しかし、ボーカリストとしての活躍はこのアルバムだけだったようで、再びトロンボーンの檻の中でその後も活動を続けることになる。スタジオワークを離れ今度はソリストとして活動するようになるのは70年代に入ってからだ。
1. Too Marvelous for Words Johnny Mercer / Richard A. Whiting 2:16
2. Come Rain or Come Shine Harold Arlen / Johnny Mercer 2:57
3. Whatcha Gonna Do on Monday Ned Doheny, Hamish Stuart 2:21
4. Sometimes I'm Happy Irving Caesar / Clifford Grey / Vincent Youmans 2:37
5. Sweet Georgia Brown Ben Bernie / Kenneth Casey / Maceo Pinkard 2:22
6. Pennies From Heaven Johnny Burke / Arthur Johnston 2:53
7. I Cover the Waterfront Johnny Green / Edward Heyman 3:12
8. You're a Sweetheart Harold Adamson / Jimmy McHugh 2:40
9. Please Don't Bug Me Frank Rosolino 2:20
10. It Had to Be You Isham Jones / Gus Kahn 2:32
11. That Old Black Magic Harold Arlen / Johnny Mercer 2:46
12. How Many Hearts Have You Broken Marty Symes 2:56
Frank Rosolino (tb,vol)
Irving Cottler (ds)
Victor Feldman (p)
Chuck Berghofer (b)
Produced by Neal Hefti
Recorded in Los Angels, on November 26, 1961
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