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《注目記事》 佐藤秀峰氏が報じる講談社の搾取 渡邉正裕氏

2009年04月10日 00時32分07秒 | 政治・社会
■ 佐藤秀峰氏が報じる講談社の搾取 渡邉正裕氏

04/09 2009 My News Japan
 
http://www.mynewsjapan.com/reports/1033

立花隆氏が大学の講義で『ブラックジャックによろしく』を取り上げたり、単行本が計1千万部も売れるなど、社会派の超人気漫画家として知られる佐藤秀峰氏が自身のブログ上で、「漫画貧乏」について6回にわたって実態を報じた。

大手出版社が自らの正社員の高給を維持するために、力関係で劣る漫画家から搾取し、日本が国際競争力を持つ漫画のカルチャーを破壊しつつある醜悪な実態が浮き彫りとなっている秀逸なルポだ。

このような形で原稿料などの情報を公表・共有することは、情報格差を埋めることになり、極めて重要なことである。

MyNewsJapanも原稿料データベースを作成している。

佐藤氏は73年生まれで、98年3月に漫画家デビュー。2002年2月から講談社『週刊モーニング』で『ブラックジャックによろしく』の連載を開始し、その単行本が1巻目から100万部を超えるなど、大ヒット漫画家に上り詰めた。

これは小学館ヤングサンデー『海猿』での話だが、講談社社員による、漫画家をバカにした態度はとどまるところを知らなかった。「プロフィール」ではその実態がリアルに描かれている。

 ・マスコミへの2次使用無断許可50件

 ・セリフの無断改ざん

 ・登場人物氏名の無断変更

モーニング全作家のなかでも稼ぎ頭である佐藤氏の原稿料は、100万部売れてもなお、1ページ23000円だった。

一方、モーニング連載作家の原稿料は1ページ31680円であることが判明し、休載。覚書を交わし、33000円にアップして連載を再開した。

だが、その後『ブラックジャックによろしく』が、講談社によって、韓国の出版社に2次使用が無断許可され、ネットに作品が流出していることが判明。モーニングへの不信感が頂点に達する。

講談社は作家を下請け扱いでバカにし、好き放題やって搾取しているのだった。27歳で年収1200万円、40歳で1800万円、60歳まで終身雇用で生涯年収7億円という、自らの高給を維持するために…。

特にひどいのは、売れれば売れるほど講談社だけが加速度的に、より儲かる仕組みになっており、著者と利益を分かち合う姿勢が全くなかったことだった。

計算してみると、初版が5万部の単行本と、初版が10万部の単行本では、約430万円の利益の差がでます。

10万部刷った方が430万円儲かる訳です。

では、この430万円は誰の懐に収まるでしょうか?

答えは、全額、出版社の利益となります。

漫画家には1円も還元されません。

僕の単行本は「ブラックジャックによろしく」で言うと、1冊100万部近く売れていますから、出版社は5万部売れる単行本を作るよりも、1冊につき5000万円程、余分に儲かっています。

それでも、僕には1円も還元されません。

全13巻ですから、6億円以上儲かっているはずですが、1円ももらえません。

佐藤氏は、原稿料アップと印税スライド制を要求するが、交渉は決裂。2007年1月、小学館の『ビックコミックスピリッツ』へ移籍して連載再開となった。ページ単価は35000円ほどに若干アップし、印税もスライド制になった。

現在、年間450ページを描くが、原稿料は計約1600万円に過ぎない。1話あたり15万円の企画料を入れても、スタッフの総人件費1800万円と、トントンだ。オフィス賃料や佐藤氏自身の給料はここからは出ず、単行本の印税に頼ることになる。

単行本の印税は10%で、一冊50円×1000万部超=5億円超がこれまでの会社の売上となっているため、そこから月70万円の佐藤氏の月収を捻出しているという。とはいえ印税は水モノで、不安定だ。

この金額は、安定的に支給される講談社28歳社員の給与よりも低い。

小学館と2006年11月に結んだスライド制の契約では、単行本10万部以上の印税は11%になったが、相変わらず原稿料では食べていけず、単行本の印税に頼った“ギャンブル構造”は変わらない。

このままでは漫画家になる人がいなくなってしまう。佐藤氏はホームページを作った理由について、「漫画という文化を10年後に残すために、何ができるかと言うことを考え始めた」と記している。

◇紙から解き放たれよ

単行本が1冊100万部近く売れ(出版社はボロ儲けだ)、テレビドラマ化され、これ以上のヒットはありえないというほど売れても、事務所の経営が苦しいという佐藤氏。

こうやってPC画面上で大画面で読めれば十分だ

ジャーナリストや作家と決定的に異なるのは、漫画家はスタッフの人件費が必然的にかかることだ。

ジャーナリストは背景画を描いたりしないから、1人で取材して1人で執筆するのが当り前なのに対し、佐藤氏は6人のスタッフを抱えている。にもかかわらず、扱いは普通の作家と同じで、印税10%、1ページ3万 5千円。ならばなおさらのこと、佐藤氏には、とにかく「ネットでも」連載してほしい。

著作権を持っているのは出版社ではなく、佐藤氏だ。

だから、「シングルソース、マルチユース」で、スピリッツに連載しつつも、同時(か1週遅れでも)にネットやケータイに配信して有料課金をすべきだ。

たとえば私は、他の作品と「抱き合わせ販売」されてしまうスピリッツは買わないが、佐藤氏の作品だけはお金を払って読みたい。1週分で300円くらいは普通に払いたい。だが佐藤氏は、払いたい人から取れていない。

小学館は、講談社と同様、「貰いすぎ正社員」の高給を維持するために、これ以上のフィーは出さないだろうし、これはOECDなど国際機関からも指摘されている正社員の過保護規制という構造的な問題なので、政治が動いて労働法制を改めないと解決しない問題だ。

「貰いすぎ正社員」が、漫画という日本のカルチャーまで破壊している。政治家は、この実態を理解しているのだろうか。

政治に期待できない以上、佐藤氏は、独占契約を結ぶ必要は全くない(高額な独占契約料を貰っているなら別だが)ので、紙への執着を捨てて他メディア展開を進めれば、一気に経営はよくなる。紙のコストは印刷、流通ととてつもなく大きいが、そのコストに見合うだけのパフォーマンスを読者に与えられていない。私も、紙でやっていないからジャーナリズムを経営できている。

佐藤氏の漫画はジャーナリズムそのものだ。私も単行本は全て買って読んでいる。同世代としても、ぜひ頑張って欲しいのである。

(終わり)


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