日本では、利権がらみの軍事費や道路建設費に膨大な予算が割かれている一方、最
優先課題の教育には、税金が投入されていません。子供達と保護者に受験競争を仕
掛けることで、進学塾や私立学校への余計な「教育費」を負担させることで不足分
を補っています。国際比較の資料でこのことが明確に暴露されています。
杉並区立・和田中学の「夜間特別授業・夜スペ」に関連して、日本の学校教育に
政府は年間いくら位の予算をかけているのかという素朴な疑問がありました。
そこで、総務省統計局の資料「GDPに対する学校教育費の割合(2003年)」
を調べてみました。2003年の日本の学校教育費の中の、「公的支出」の割合は
GDPの3.5%、「私費負担」の割合はGDPの1.2%で、合計で4.8%と
なっています。
国内総生産に対する学校教育費の割合(2003年)
2003年のOECD27カ国の平均は、「公的支出」が5.2%、
「私費負担」が0.7%で、合計が5.9%ですので、日本の「公的支出」の割合
はOECD27カ国の平均の0.67倍しかなく、逆に「私費負担」の割合は
1.71倍も高くなっています。また「公的支出」と「私費負担」を合計した「学
校教育費合計」の割合は、OECD27カ国の平均の0.81倍しかありません。
日本の「学校教育費合計」の割合は、OECD27カ国中4番目に低いレベルで
す。1番低いのはトルコの3.7%、2番目に低いのはギリシャの4.2%、3番
目に低いのはアイルランドの4.1%です。
特にひどいのは、日本の教育費の「公的支出」の割合が、GDPの3.5%で、
OECD27カ国中最低であるということです。 日本に次いで、2番目に低いの
がトルコで3.6%、3番目に低いのがアイルランドで4.1%、4番目はスペインの4.2%です。
次に分かるのが、学校教育費全体の中で、「私費負担」の割合がGDP比
1.2%と、極端に多いことです。日本の「私費負担」の割合は、OECD27カ
国中4番目の高さです。1番は韓国の2.9%、2番は米国の2.1%、3番はオ
ーストラリアの1.5%、4番目は日本とニュージーランドで1.2%です。
ちなみに、過去3回(2000年、2003年、2006年)実施された、
OECD主催の15歳男女を対象にした国際学習到達度調査(略称・PISA)
の、「読解力」「数学リテラシー」「科学的リテラシー」各分野で毎回最高ランク
の成績を示しているフィンランドは、学校教育の「公的支出」の割合が6.0%、
「私費負担」の割合は0.1%で、計6.1%です。
PISAで成績優秀にランクされているフィンランド以外の北欧諸国、スウェー
デン、デンマーク、ノルウェーでは、軒並み「学校教育費合計」の割合が6%以上
(6.0~7.0%)と非常に高く、しかも「公的支出」の割合が高く(6.0~
6.7%)で、「私費負担」の割合が極端に低く(0.1~0.3%)なっていま
す。 すなわち、これらの国々では「高等教育までの教育の無料化」が進んでいる
ことを示しています。
この統計資料を読み解きますと、今の日本の教育の惨状の原因が分かります。
要するに、現在の自公政権は、教育に対して、1.「お金は出さない」、2.
「保護者に負担させる」、3.「口は出す」方針を持っていることがはっきり分かります。
1.「お金は出さない」は、できる限り教育には予算を出さないこと。GDPに
対する「公的支出教育費」の割合が、日本はOECD27カ国中最低であることで
分かります。2.「保護者に負担させる」は、足りない費用は保護者に負担させる
こと。GDPに対する「私費負担教育費」の割合がOECD27カ国中4番目に高
いことでわかります。3.「口は出す」は、前安部政権下で「教育基本法」が改悪
され、「教育再生会議」が様々な「教育改悪」の提言を出していることでわかります。
福田首相を初めとする自公政権の政治家、文部科学省のお役人、
「教育再生会議」の有識者の皆さんへ
PISAの調査結果などを利用して、「ゆとり教育の見直し」や「道徳教育の復
活」など教育内容の改悪を目論む前に、日本の教育に「公的支出」を大幅に増やし
(目標・6.0%)、「私費負担」を大幅に低くし(同・0.1%)、「学校教育
費合計」の割合を少なくとも6%以上にする予算処置をまず示して欲しいものです。
保護者の皆さん、教育現場の先生方、
日本の教育の現状を憂慮されている国民の皆さんへ
5兆8千億円もの米国に次ぐ世界第2位の軍事費(2006年度)を使い、年6
兆円もの規模で高速道路を建設している自公政権は、日本の唯一の富の源泉である
子供達の教育に「お金は出さない」「保護者に負担させる」「口は出す」の方針を
長年とってきました。その結果、教育現場では、子供達も先生方も保護者も悲鳴を
あげています。
進学塾のノウハウを利用して、保護者に費用負担させて小数のエリートを育成す
る杉並区和田中学の「夜間特別授業・夜スペ」は、今やることではありません。
今やるべきことは、日本の教育に最優先で潤沢な予算を計上し、保護者負担を実質
ゼロにする「高等教育までの教育の無料化」を実現し、「教科書検定」を廃止し、
「指導要領」を大幅に削減して、教育内容と教育の量の決定権を国から各学校に移管することです。
国民の皆さん一人一人が立ち上がり、「今やるべきこと」を政府に要求して、
早急に実現させるべきだと思います。
2008.02.04 「JanJan」公開記事
優先課題の教育には、税金が投入されていません。子供達と保護者に受験競争を仕
掛けることで、進学塾や私立学校への余計な「教育費」を負担させることで不足分
を補っています。国際比較の資料でこのことが明確に暴露されています。
杉並区立・和田中学の「夜間特別授業・夜スペ」に関連して、日本の学校教育に
政府は年間いくら位の予算をかけているのかという素朴な疑問がありました。
そこで、総務省統計局の資料「GDPに対する学校教育費の割合(2003年)」
を調べてみました。2003年の日本の学校教育費の中の、「公的支出」の割合は
GDPの3.5%、「私費負担」の割合はGDPの1.2%で、合計で4.8%と
なっています。
国内総生産に対する学校教育費の割合(2003年)
2003年のOECD27カ国の平均は、「公的支出」が5.2%、
「私費負担」が0.7%で、合計が5.9%ですので、日本の「公的支出」の割合
はOECD27カ国の平均の0.67倍しかなく、逆に「私費負担」の割合は
1.71倍も高くなっています。また「公的支出」と「私費負担」を合計した「学
校教育費合計」の割合は、OECD27カ国の平均の0.81倍しかありません。
日本の「学校教育費合計」の割合は、OECD27カ国中4番目に低いレベルで
す。1番低いのはトルコの3.7%、2番目に低いのはギリシャの4.2%、3番
目に低いのはアイルランドの4.1%です。
特にひどいのは、日本の教育費の「公的支出」の割合が、GDPの3.5%で、
OECD27カ国中最低であるということです。 日本に次いで、2番目に低いの
がトルコで3.6%、3番目に低いのがアイルランドで4.1%、4番目はスペインの4.2%です。
次に分かるのが、学校教育費全体の中で、「私費負担」の割合がGDP比
1.2%と、極端に多いことです。日本の「私費負担」の割合は、OECD27カ
国中4番目の高さです。1番は韓国の2.9%、2番は米国の2.1%、3番はオ
ーストラリアの1.5%、4番目は日本とニュージーランドで1.2%です。
ちなみに、過去3回(2000年、2003年、2006年)実施された、
OECD主催の15歳男女を対象にした国際学習到達度調査(略称・PISA)
の、「読解力」「数学リテラシー」「科学的リテラシー」各分野で毎回最高ランク
の成績を示しているフィンランドは、学校教育の「公的支出」の割合が6.0%、
「私費負担」の割合は0.1%で、計6.1%です。
PISAで成績優秀にランクされているフィンランド以外の北欧諸国、スウェー
デン、デンマーク、ノルウェーでは、軒並み「学校教育費合計」の割合が6%以上
(6.0~7.0%)と非常に高く、しかも「公的支出」の割合が高く(6.0~
6.7%)で、「私費負担」の割合が極端に低く(0.1~0.3%)なっていま
す。 すなわち、これらの国々では「高等教育までの教育の無料化」が進んでいる
ことを示しています。
この統計資料を読み解きますと、今の日本の教育の惨状の原因が分かります。
要するに、現在の自公政権は、教育に対して、1.「お金は出さない」、2.
「保護者に負担させる」、3.「口は出す」方針を持っていることがはっきり分かります。
1.「お金は出さない」は、できる限り教育には予算を出さないこと。GDPに
対する「公的支出教育費」の割合が、日本はOECD27カ国中最低であることで
分かります。2.「保護者に負担させる」は、足りない費用は保護者に負担させる
こと。GDPに対する「私費負担教育費」の割合がOECD27カ国中4番目に高
いことでわかります。3.「口は出す」は、前安部政権下で「教育基本法」が改悪
され、「教育再生会議」が様々な「教育改悪」の提言を出していることでわかります。
福田首相を初めとする自公政権の政治家、文部科学省のお役人、
「教育再生会議」の有識者の皆さんへ
PISAの調査結果などを利用して、「ゆとり教育の見直し」や「道徳教育の復
活」など教育内容の改悪を目論む前に、日本の教育に「公的支出」を大幅に増やし
(目標・6.0%)、「私費負担」を大幅に低くし(同・0.1%)、「学校教育
費合計」の割合を少なくとも6%以上にする予算処置をまず示して欲しいものです。
保護者の皆さん、教育現場の先生方、
日本の教育の現状を憂慮されている国民の皆さんへ
5兆8千億円もの米国に次ぐ世界第2位の軍事費(2006年度)を使い、年6
兆円もの規模で高速道路を建設している自公政権は、日本の唯一の富の源泉である
子供達の教育に「お金は出さない」「保護者に負担させる」「口は出す」の方針を
長年とってきました。その結果、教育現場では、子供達も先生方も保護者も悲鳴を
あげています。
進学塾のノウハウを利用して、保護者に費用負担させて小数のエリートを育成す
る杉並区和田中学の「夜間特別授業・夜スペ」は、今やることではありません。
今やるべきことは、日本の教育に最優先で潤沢な予算を計上し、保護者負担を実質
ゼロにする「高等教育までの教育の無料化」を実現し、「教科書検定」を廃止し、
「指導要領」を大幅に削減して、教育内容と教育の量の決定権を国から各学校に移管することです。
国民の皆さん一人一人が立ち上がり、「今やるべきこと」を政府に要求して、
早急に実現させるべきだと思います。
2008.02.04 「JanJan」公開記事