京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

吉田山ナラ枯れ観察記―8月30日に市民の集い

2008年09月01日 | ナラ枯れ
8月30日の京都のナラ枯れ問題を考える市民の集い
各分野から33人もの方がご参加いただき本当にありがとうございました。
京都新聞にもお知らせ記事を出していただき、事前の問い合わせも入りました。
主原憲司さんの、「京都のナラ枯れ」を追い続けてきた、その報告のあと
下記のレジュメで報告させていただきました。
主原さんの報告では、今年の東山高台寺国有林の枯死木が
「30本ほどに減少するだろう」とのことで
これが実現すれば、昨年、一昨年の100本以上の枯死を
三分の一以下に減らすことになり、
実現すれば、画期的成果となる。
この二年間の爪楊枝駆除と
昨年から主原さんを中心に取り組まれたビニール半分巻き、そして森林管理事務所による枯死木伐採の成果といえる。

私の報告は、この一年間の吉田山でのナラ枯れについて、その一端を紹介した。
07年の観察で一番見えたものは
○カシナガのアタックは、カオス的?飛散と集中が度々行われ、非常に組織的であること
○「一昨年の生被害木へのアタックは全く行われない」わけでなく、最初のコナラ(S0)に見られるように、翌年の初期のアタックが三桁の規模で行われる場合もある。ただし、今年の状況を見ても、枯死させるほどのものにはなっていない。この推移は、08年の状況も含め、さらに整理したいと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カシナガ駆除―吉田山観察記
08.8.30 榊原義道

1、吉田山でのナラ枯れの広がり
○06年の8本から07年の30本(新たに侵入を受けた木)
○08年は、新たな被害が拡大中―今年の新被害木は6月1日以降で80本以上に

2、被害木は、どのように広がる?
○虫は、四方八方に広がる?
○06年の吉田山でのナラ枯れ(主原憲司氏が調査)―被害は、公園の北端でコナラ、アラカシなど計8本が確認。市は、枯死したコナラ1本は伐採、アラカシ2本を6月に伐倒処理
○07年の被害は、そのうちの1本のコナラ(S0)から始まる(吉田山では比較的大きなコナラで06年の被害木)
・5月27日、この木に新たな穴確認
・6月16日に行った「吉田山ナラ枯れウォッチング」―爪楊枝3本を打ち込んだが、この時点では、被害はあまり起こっていない。
・6月末、この木にカシナガの集中的なアタック開始―その数は一週間強で361穴。次々と新しい穴が開けられ、繊維状の白っぽいフラス排出。
○7月、新たに10本に被害発生
・7月、一挙に拡大―尾根部に沿って南北に、コナラなど8本の被害見つかる。
・7月後半、アタックはさらに拡大
・8月上旬、いっそう広がる
 不思議なカシナガの動きーあるコナラに取り付き、その後、集中的なアタックとなる。ところがその数メートル横のコナラは全く見向きもされない。彼らは、まんべんなく飛び、穴を開け、メスを待つのではなく、ある木にどっとやってくる。穴をあけ始めると、さらにメスたちも集中し、ペアーを形づくる。考えてみれば、なかなか効率的で、あちこちの木に散らばって穴をあけているよりは、雌雄が結ばれる確立は飛躍的に高まり、それにかかるエネルギーも少なくてすむ。そして、さらに大量のカシナガが飛散した時、今度はコップの水が溢れるように他の木々に集中的なアタックが移動していく。
・7月から8月―カシナガ拡散の二度ほどの大きな波―居住エリアを拡大
・9月後半の波を経て、10月以降は収束
・真冬のカシナガアタックー07年12月4日、吉田山東斜面で、新たな被害木発見(コナラ)

3、生きつづけた被害木と枯死木
○枯死した「北のコナラ」―発見時、すでに一定のアタックを受けている状態。その後の猛烈なアタックで、8月3日は枯死状態に。確認された穴は1200穴を超えた
○半分かれたコナラ二本―1本のコナラの縦穴(412)
○少しだけ枯れ枝が見えたS0のコナラは伐採―キズモノは強い

4、昨年の「生被害木」はどうなったか?
○06年生被害木へのアタックー太いコナラ1本には大量アタック。他のコナラは非常に少ない
○今年の状況―昨年後半に攻撃を受けた太めのコナラに最初の集中的なアタック。
一度アタックを受けたら、二度と攻撃を受けないということではないが、枯死には
至っていない。

5、今年の被害拡大と防除策について
○08年の新被害木―新たに西地域4ヶ所で発生、東部にも広がる。線から面へ
枯死木は3本(*ここは訂正)(すべてコナラ)、枯れ始めや半分枯れは2本
○真夏日が連続し、雨も少ない中、スピード枯死が見られる
○6月後半から7、8月の集中的な取り組みー半分ビニールまきと爪楊枝


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カシナガについての質問 (豆狸)
2008-09-09 02:38:22
初めまして。京都北部の居住するものです。
最近、我が家周辺の山でもコナラを中心にナラ枯れが加速度的に広がっています。我が家では、お風呂およびストーブの燃料としてこれらの枯死木を利用してきましたが、最近の広がりに対して気になることも多数出てきたので、いきなりですが、質問をさせてください。

・枯死した木はその後どれくらいの期間で倒木の危険性があるのか(人家への危険性)
・枯死した木に翌年カシナガが再度進入し、そこを拠点化する可能性はあるのか(完全枯死木の伐木の必要性)
・老齢木を好むあたり、越冬時の寒さ対策だと思われるが、被害木を討伐し、玉切り・薪割りして、冬季に放置することで、その幼虫を殺す/減らすことが出来るか
・被害木を薪にすることで起こる問題点は?(薪を未被害の他地域へ移動するなど)
・被害を受けたアベマキが枯死していないことが多いように思うが、アベマキはコナラより耐性がある?
・つまようじを刺すことで被害を防げるメカニズムは?枯死木に刺すことにも効果はある?それとも生被害木の保護が主目的?

箇条書きでの質問をお許し下さい。

個人的には、翌春に羽化するのであれば、夏期に伐木・玉切り・薪割りをして、その冬で燃やしてしまうのが効果があると考えます(薪としては乾燥度が不十分ですが)。

コメントを投稿