京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

高浜原発再稼働の愚行ー問われる京都府知事と議員

2015年04月12日 | 原発ゼロ
ねっとわーく京都の2015.6月号に書きました。

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高浜原発再稼働の愚行―問われる京都府知事と議員

高浜原発「運転差し止め-月内判断か」
 
 3月12日、京都、朝日の両紙は、住民が訴えていた高浜原発3.4号機と大飯原発3.4号機の運転差し止めを求める仮処分の尋問終了を伝えた。
京都新聞は、「高浜原発で福井地裁」「差し止め-月内判断か」の見出しで次のように書いた。
「住民側弁護団によると、樋口裁判長は高浜3.4号機が原子力規制委員会の審査に合格したことに言及。『機は熟している』と早期に決定を出す方針を明らかにした」。担当の「樋口裁判長は、大飯原発3.4号機の再稼働差し止め訴訟を指揮し、昨年5月には再稼働を認めない判決を出した」。
当然、原発ゼロへの前進に、期待が広がる。

高浜原発動かすな!-広がる市民の運動

 この春、関西電力が福井の原発再稼働に向かってしゃにむに進もうとする中、京都でそれに反対する
様々な動きが広がった。毎年行われているバイバイ原発・京都の円山大集会は、3月7日、雨の中2000
人の市民が参加、舞鶴で行われた北部集会も500人が参加する取り組みとなった。
 これに先立つ2月の行動は、「高浜原発再稼働反対!」と合わせて「被害地元の京都府は、自治体の
仕事をきちんと行え!」と、府知事や府会議員に「役割を果たせ」と求めるものとなった。京都原発ゼ
ロネットに集まる労働組合や市民団体は、府への申し入れや二度にわたる府庁周辺での街頭宣伝と昼休
みデモを百数十人で行った。
各地の脱原発グループやキンカン行動を続ける市民は、京都府議会への陳情書や「原子力安全協定」
問題でのアピール行動を繰り返した。
1月から始まった、45名の市民が呼びかけた「高浜原発再稼働反対の意見表明と、立地自治体並みの安全協定締結等を求める陳情書」(連絡先:グリーンアクション。高浜原発再稼働に反対する京都府民有志)は、提出日の2月26日には京都の北から南まで、3408名が参加する大運動となった。次々と寄せられる賛同に整理が間に合わないほどで、提出後の記者会見は、NHKが夕方のニュースで大きく取り上げた。
 2月10日、京都新聞は、原子力規制委員会が高浜原発3.4号機の再稼動「合格」審査書を12日に発
表すると報じた。この動きに、キンカン行動に参加する有志は、12日夕刻、四条河原町での抗議宣伝を
緊急に呼びかけた。手作りの横断幕が作られ、駆けつけた市民は雨の中、「危険な原発、動かすな」「高
浜原発は不合格」と訴えた。翌日の京都新聞は、雨中で訴える村上敏明さんの横顔をカラー写真で載せた。

原発は超危険な公害工場-新「安全協定」(案)に物申す京都府庁前アピール

原子力規制委員会が高浜原発再稼働に向け「新・規制基準」合格の発表をした翌日から、私たちの京都府庁正門前アピールが始まった。それは最初、1回だけの予定だったが、2月20日、27日と続き、27日の締結日には午後4時15分から「協定締結」に物申す行動となった。のべ4回の行動には120人以上の市民が参加した。
呼びかけは、次のように訴えている。
「2月13日の正午、府庁正門前に-高浜原発再稼働反対!・新『安全協定』(案)にもの申す」
「1月28日、京都府と周辺の7自治体は関西電力と協議を行い、『原子力安全協定等の考え方』について基本的な合意を行いましたが、私たちは、直接的な被害を受ける住民として到底納得できません。福井で起こる原発事故は、私たちの全てを奪います。私たちは直接的な『被害者』となります。しかし、私たちには、この危険な工場の運転に際して、説明さえ受けられません。ましてや事前の『住民合意』も保障されていません。これまで、私たちの周辺に公害をまき散らす危険な工場などが進出する場合、住民への説明や住民合意は一般に認められてきました。原発事故は県の違いを超え、京都府民も大規模に被災します」
「京都府は、私たちの声を聞き、京都府の対応について、府民に説明する場を持って下さい」
しかし、京都府は市民への説明も持たず、議会での真正面からの議論もなしに、関西電力との「協定締結」を強行した。当日、協定締結の会場が、ホテルから府庁内にバタバタと変更された。関西電力の八木誠社長は京都府庁内に正門からは入れず、裏門から入った。

関電、重大事故が起きて初めて説明?―「安全協定(案)」

京都府と関西電力が合意した「高浜発電所に係る原子力安全協定等の基本的考え方」には驚いた。「協定(案)」には、開いた口が塞がらなかった。
徹底した情報公開が盛り込まれているわけでもなく、もちろん京都府が高浜原発再稼働にあたって
「同意権」を関西電力に求めるものでもない。当初語られていた「立地県並み」などでは全くなかった。
簡単な文書だが、「協定(案)」「事項」5番目に、「運転再開の事前説明・意見」という記述がある。高浜原発に関わって、どういった時に関西電力は京都府に説明を行い、府が意見を述べるかという点を整理したものだが、それはたったの81文字、6行のメモのようなものだった。

(以下、全文)
<運転再開の事前説明・意見>-(現行協定はなし)
改定案
・ 周辺環境に著しい影響を及ぼす恐れがある事故で原子炉を停止した場合の運転再開は事前に説明
・ 府は安全確保対策について意見を述べることができ、関西電力は措置状況を回答

「運転再開」に関して、これ以外の記述はない。京都府に申し入れた際、担当者とも確認したが、「今回の高浜原発3.4号機は、対象外」とのことだった。
はあ?・・・京都府と関西電力の“原発安全協定”の発動は、環境に著しい影響を与える事故が発生
した後になって、それが再稼働する時になって初めて「事前に説明」がされるのか!
私たちが求めていることは、そうした深刻な事故が絶対に起こらないようにすることだ。京都府知事は、「府民のいのちと暮らしを守る」という地方自治体の長としての仕事をしていると言えるのか。
申し入れの際、府の担当者は、原発と自治体の関係については国の制度が問題と述べ、自治体が原発の建設や運転に際して許認可はもちろん「関与」についての法的な仕組みがないことを述べた。「だから関西電力との協定は、まず結ばないと話が進まない」と。原発に関わる国の制度が大問題なのは明らかで、例えば、一般的な「環境アセスメント条例」の観点から言っても、現状で原発の運転など全く認められない。
しかし、だからこそ、京都府知事は直面する高浜原発3.4号機の再稼働問題で、「福島第一原発で起こったレベルの事故を想定して運転される原発の稼働は、現状では決して認められない」と発言すべきで、関電とそうした立場で交渉することが求められる。
 
たった14分で否決―「高浜原発再稼働反対」請願

 3月3日、私たちは「高浜原子力発電所3、4号機の再稼働に反対する意見書を求める請願」を府議会に提出した。大規模な陳情書は、少なくない影響を議会各会派に与えているだろうが、これだけでは府議会での議論が保障されない。紹介議員には共産党の4議員が署名してくれたが、私たちの思いはすべての会派がこの京都の一大事ともいうべき「高浜原発3.4号機の再稼働」についてしっかりと反対を表明してほしい、他に考えがあれば堂々と議論してほしいというものだった。しっかりした議論こそ、私たちが持つ力だ。
3月10日、京都府議会府民生活・厚生常任委員会で請願審議を傍聴した。結果は「不採択」だったが、委員会の“生”は面白い。
会場は、入口近くの壁際には傍聴席があり、イスが5脚並んでいる。前方で委員(議員)9人が楕円形のテーブルを囲み、私たちとの間に理事者側の京都府職員が46人、黒っぽい上着で座っている。イスには1センチほどの資料が置かれていた。
「府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会 議事次第」。午後1時半開会。会議の流れは、開会後、付託議案(討論・採決)、審査依頼議案(適否確認)、付託請願・・・と続き、請願は13本が出されていた。老人医療費助成制度の拡充などを求める請願はまとめて議論され、その後、「年金削減の取り止め」や「福祉労働者の処遇改善・人材確保」に関する請願が審議され、否決された。
午後2時35分から、高浜原発再稼働に反対する請願の審議が始まった。共産党の委員が賛成の討論を行ったが、驚いたのは、その後。民主党の委員長は「ご発言も尽きましたので・・・」と、もう採決に移ろうとする。私たちの世界では、賛成討論が行われ、その後意見がでなければ、「では可決」となるのだが、府議会はそうではないようだ。このまま、みな黙んまりのまま否決されるんか?と思っていたら、共産党委員が、非常に大事な問題なので「何も意見なしでは困る」「委員皆が意見を言うべき」と発言を始めた。これ、議長(委員長)がやる仕事でしょ、と思いながら聞いていたが、共産党の委員が三度、繰り返し他の委員の発言を促して、やっと別の委員が発言した。
 自民党の委員が、まず「考え方が違う」と話し始め、「(原発は)国のエネルギー政策に深く関わって
いる。これ以上電気代が上がったら耐えられない。下げてほしいという声は共産党の方も言っておられ
る。安全対策は別の話。(原発については)考え方が根本的に違う」と短く発言。
その後、共産党委員がもう一度発言し採択となった。
「賛成の委員は?」「二人です」(共産党委員)。「挙手少数。不採択とします」。
「反対」は問わないんですね。ちなみに、この委員会の構成メンバー9名は、自民党4名、民主党2名、共産党2名、公明党1名でした。 
「高浜原発再稼働」は、京都の一大事なのに、たったの14分の議論でいいのでしょうか?この課題、
府議会で特別に委員会を設けてでも真剣に議論すべき大問題だと思います。そして、府民の意見をもっと聞くべき。発言が出ない委員会なら、請願者に請願主旨を説明させるべきでしょう。府民とともに考え、歩む議会へ、もっともっと前に進めないと、とつくづく思いました。
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「高浜原発3・4号機再稼働」についての公開質問状(京都市左京区・府・市議候補)

2015年04月04日 | 原発ゼロ
3月25日、一斉地方選挙(京都市左京区)に立候補予定の皆さんに
「高浜原発3・4号機再稼働」についての態度を聞く「公開質問状」をお届けしました。
以下、回答があった皆様と党派です。(府)は府会議員候補、(市)は市会議員候補の略です。

(敬称略・到着順)

(府)みつなが敦彦(共産党) <再稼働に反対>
・「福島第一原発事故から4年たった今も、収束も出来ず原因も不明で、一旦事故が起これば深刻な事態を招くことは明白です。安全な原発などなく、避難計画も不十分な中、再稼働などありえません。原発ゼロの決断をし・・・(以下、略)」

(市)宇佐美賢一(維新) <再稼働に反対>
・「京都維新八策に記載の通り、自然エネルギーの活用と代替エネルギーの研究を促進し、原発フェードアウトを目指しています。高浜原発については、核廃棄物の最終処分が決まらない中での再稼働に反対です」

(市)広海ロクロウ(市民ネット) <再稼働に反対>
・「大飯原発運転差止請求事件判決の理由として述べられていることに強く共感します。文字数の制限がありますが、以下に「9-被告のその余の主張について」を参考までに引用させていただきます。「他方、被告は本件原発の・・・(以下、略)」

(市)加藤あい(共産党) <再稼働に反対>
・「人類と原発が共存できないことは、福島原発事故で明らかです。京都市が関西電力と「安全協定」を結んだことは、再稼働の前提として許すことができない。」

(市)巻野友彦(自民党) <再稼働に反対>
 (コメントなし)

(市)とがし豊(共産党) <再稼働に反対>
・「そもそも原発の技術は未だ確立しておらず使用済み核燃料の処分方法も確立していないため、実用してはいけないものであり、即時撤退すべきです。稼働原発ゼロのまま廃炉を求めます。」

(市)鈴木正穂(民主党) <再稼働に反対>
・「3,11 フクシマを忘れてはならない!」

(府)石田宗久(自民党) <どちらとも解答できません>
・「再生可能エネルギーがベース電源となりえない現状の中では、経済活動等を考えた時やむを得ないところもある。安全協定がしっかり守られるか厳しくチェックしなければならない。原発に頼らなくする為には早急に新エネ・・・(以下、略)」

お答え頂いた皆さん、ありがとうございます。
そして、お答えいただけなかった皆さん!
「高浜3.4号機再稼働」について皆さんの政策を、
ぜひはっきり、選挙運動の中で有権者にお示し頂きたいと強く思っています。

*なお、この場面では頂いたコメント100字以上は省略させていただきました。

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