「朝日新聞(9月29日夕刊-関西地区?)」に
「ごみ有料化 京の挑戦ーCO2削減は、来月から」という記事が掲載されている。
ここで言われているように、ごみの有料化が
はたして、地球温暖化防止への”挑戦”になるのか、考えてみたい。
記事では、
京都市が地球温暖化対策条例を制定・施行させたことを紹介しながら
「市内の温室効果ガス排出量を2010年までに、90年の800万トンから一割削減する
数値目標を決めた。その柱がごみ回収の有料化だ」
と書かれている。
ところが、まずこれが非常に不正確な記述となっている。
いかにも、「ごみ回収の有料化」が二酸化炭素などの削減に繋がる
「柱」であるかのような書き方だ。
京都市の計画では、一部門の施策であり
到底、こんな書き方で記されるような位置付けにはなっていない。
先程、市の「地球温暖化対策課」や「循環企画課」にも電話したが
「うちではそのコメントはしていません。他の課ではないですか?」とのこと
「ご存知の通り、それは、全体の施策の一つです」との答えだった。
そもそも、京都市は、「ゴミ有料化は地球温暖化防止が大目的」と市民説明会でも
繰り返し述べてきた。
ところが、京都市のゴミの削減計画を見ると、
最近までのゴミの減量状況に対して、逆にゴミ有料化後、
ゴミ減量化は、大幅にダウンする計画となっている。
平成12年の京都市のごみ総受入量 818274t
16年 704446t
22年の目標 642000t
ゴミと地球温暖化対策とのかかわりでは、
少々ややこしい話だが
京都議定書で示された「一般廃棄物の焼却に伴う排出(6.C)CO2」の算定方法は、「一般廃棄物に含まれるプラスチック類の焼却に伴い排出される二酸化炭素の量」を対象に、
「一般廃棄物に含まれるプラスチック類の焼却量(乾燥ベース)に排出係数を乗じて」算定することになっている。
つまり「一般廃棄物」部門については、プラスチックゴミの増減が
”地球温暖化防止”についての”貢献”を評価される仕組みとなっている。
大雑把な話、プラスチックが京都で「分別回収」され、
大阪に持っていかれて”処理”されれば
京都市の”削減”には貢献する仕組みだ。
たとえそれが、多くは焼却されたとしても、
リサイクルされたものが、やがて劣化し、
そして、その後、焼却処分されても
京都の削減目標達成には”貢献”することになっている。
ここには、根本的に、現状での「分別・リサイクル」と”地球温暖化防止への貢献”の
かなりシビアな問題が横たわっている。
「これは”地球にやさしい”」と思って分別作業をしていても
途中、それを運ぶトラックの燃料が余計にかかるなら
逆に、地球温暖化に貢献する結果となってしまう。
「分別・リサイクルの過程」については、徹底した透明化が必要だ。
ゴミ問題は、結局、ゴミを作らない方向で企業に圧力がかかり
その方向が促進されるかどうかにかかっている。
「企業が自らが作った製品について、その包装容器の処理全てに責任を持つ(引き取りもリサイクルも)。費用はもちろん、その全工程を企業が責任を持って行う」
こうした内容が、制度化されることが決定的に重要だ。
自治体の施策も、それに繋がるかいなか、それが問われる。
残念ながら、京都市の施策は、それが確立していない。
市民に痛み(有料化)を与えれば、家庭ゴミの袋の中身が減る。
この”基本方向”では、袋代の値上げという、痛み増大の方向しか出てこない。
包装容器が、引き続き同じように生産され、消費され続けるのであれば
地球温暖化防止には貢献できない。
私たちが、前に進む方向で出来ることというなら
とりあえず
ビン・缶・ペットボトルは、”分別回収”になるべく出さず
それらを、買ったお店に全て持って行く、これを大規模に行ったらどうか。
街角の自動販売機横の回収箱に返すこと
もう少し根本的には、
デポジット(容器の換金の仕組み)が出来る仕組みを導入するよう
飲料メイカーに求めていく、ゴミ処理を市民と行政だけの問題にせず
企業に責任を取らせていく、こうした方向に転換していくことが大切では、と思う。