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多くの製品は情緒を売っているので科学的では無い件

歩きやすいように、ゴミを拾う~食品安全情報blog

昨日の記事は疑似科学はネタだと笑い飛ばしたが、こういうの切なくなる。それでも問題は疑似科学が問題なのではなく、育児の責任を母親に押し付け、民間療法その他を行うことを強要するコミュニティの問題なのであろう。もちろん疑似科学を推進している人の肩を持つ気は全く無い。Linkの例は一目でインチキのオンパレードであるが仮に母親がその知識を持っていたとしてもそれを強要されると言うこともあるであろう、当然善意を含む。(科学の)一般知識というか科学リテラシーは案外ズタボロなのかもしれないが。今日の打ち合わせで部長が「(エビデンスの)論理のメカニズム」という訳の分からない迷言を述べていた。彼は論理(logic)と理論(theory)の区別が付いていないのであろう、そういう人は意外に多いのかもしれない。

 

本題に戻ろう。私がコーヒー(飲料)の開発担当者だとする。食品は栄養素を摂取する手段でもあるが基本的には嗜好品であり、コーヒーなどその典型だ。味で勝負だ!とはいえ味だけで売れるほど甘くない。コンセプト・味・売り(特徴)・パッケージ・デザイン・他にはマーケティングで言う4Pなんかも吟味。

「ハワイ豆を使用」これは事実だから問題ないであろう、でも含有率は?という疑問が残る。豆の5%使用していたらそれを謳ってもいいのか?コストの高い豆を少ない量を使用して高級感を演出しているがそれはそれは許されるか。

「カフェイン2倍(当社比)・無添加」カフェイン溶出量の多い豆を使用し、かつカフェインを添加していないことは事実だ。溶出試験でも問題ない。だが、なので「眠気すっきり」は良いのか?

また「ビタミン添加」は事実だ、では「健康にいいコーヒーを」は許されるか?

キムタクが「モテル男はこれを飲む」はコピーだが事実とはとてもかけ離れている。

など、世の中の商品は「事実」と「効能を印象させる表現」、「商品コピー」とが溢れかえっている。科学リテラシーがはっきりしていないと「コピー」と「事実」が混同される、というかそれを期待している。

業界表現基準はある。誤解を招かないような表現に抑えるという自主基準。では「誤解を招かない」というのも作文の添削のような感じで素人にはさっぱり分からない。もちろん小さいメーカーは守らないというか無茶苦茶、これがいわゆる「とんでも企業」なのだがそんなこと素人には分からない。

明らかな疑似科学は論外として、グレーゾーンはそこかしこにあるのだ。グレーゾーンとクロの境目は業界人には分かるが素人には分からないであろう。なので疑似科学批判に意味が無いとは思わないのだが、非常に分かり辛いのだ。多くの疑似科学は化学・生物に関わるものだと思うのだが、その原理にまで深く考えるトレーニングが無いと意味を為さない**

ちょっと話がずれた。疑似科学と商品のコピーの境は分かり難い、でも(業界人にとって)明確な差はある。商品として機能のみを売っている訳ではなく情緒も売っているのでこのようなグレーゾーンとクロの境目という現象が起こる、グレーゾーンが付加価値の源泉なのだ。そして我が社(に限らず多くの日本のメーカー)は情緒を売っているので、疑似科学批判に若干の違和感を覚えるのだ***

 

フィクションです、業界に詳しいわけではないので想像がかなり入ってます、当然業界規制などは知らないで書いてます。

**豚骨(で出汁をとった)餃子鍋を食したときに嫁(音楽家)が「コラーゲンたっぷりだから肌がつるつる」とか言うので殴ってやろうかと思いました。

***違和感の源泉は「科学ではない」と断じることではなく(間違いの指摘は当然)、科学的でないこととそうでないことが一般人にとってグレーなこと。例えば医薬品と医薬部外品と食品・化粧品・雑貨は全てルールが違い、各々がグレーゾーンを有している。

2/5追記)「お前はニセ科学と疑似科学の区別がついて無いんじゃないか」という突込みがありました。多分あっていると思います、というか意識していませんでした。詳しくは2/5の記事を参照願います。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
はてな (wood)
2009-01-28 00:08:26
急激にアクセス数が増えたので何かと思うと「はてな」で注目エントリーで上がっていたようです。

はてなのシステムを全く理解できておらず、「はてぶ」とやらをようやく閲覧することが出来ました、多分まだ全てのシステムを理解しきれていないでしょう。

もうちっと勉強します。
 
 
 
コーヒー(飲料) (wood)
2009-01-28 00:12:11
標題の件、コーヒーとコーヒー飲料は違います(確か使用豆量が10g以上以下だったような)。コーヒー(豆)とコーヒー(飲料)を分けるためにあえての表現と理解ください。
 
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