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データの使い方

3/12日経朝刊1面コラム「世界この先」でグローバル化に罪は無いと述べている。世界の収入のジニ係数がここ36年で0.67→0.61となり、$1.25/day以下で生活している人もこの25年で5億人減った。マクロで見ればグローバル化が人々を不幸にしたと言えないと述べている。グローバル化(自由貿易の推進)は人々が幸せになると主張する。

一方、農業協同組合新聞コラムでは2007年から08年にかけて2年で飢餓人口が1億人増え9.6億人に達したと述べている。グローバル化は食料の海外依存を招き、食料高騰の折には不幸になると。(またやはり10年で1億人以上飢餓人口が増えたといっている。2年で1億人で、10年でも1億人であれば、ここ2年が異常なだけで8年間は変化が無かったとも読み取れるのだが、、、。)

期間の違いがあるのだが同じようなデータを用いて真逆なことが述べられている。

この差はデータを見て分析したのではなく、ある主張があって都合のいいデータを持ってきたと見る方が自然であろう。日経は「市場の論理」や「自由貿易」、農協は「食の国産化」や「国内農業を守る」というバイアスがあっても不思議ではない。そこで面白いのは(全く同じではないであろうが)似たようなデータを期間だけ変えて主張するのが面白い。

大雑把な日経の主張ではあるが私は日経に軍配を上げる。農協新聞の主張の通り商業作物を作って輸出をしなければ食料高騰には対応できていたであろうが生活レベルは30年前と同じであったであろう事は容易に想像がつく。デメリットを強調するためにふんだんにデータを出しているのだが、その間享受したメリットに触れられていないため説得力に欠ける。この主張は自国農業振興のための保護貿易を主張する枕なので、話が強引過ぎる。

統計を議論のツールに用いるのは有用だがそれでも公平なデータの用い方というのがそもそも存在せず、恣意的に統計を用いることで同じデータで真逆の反論が出来る。私の職場ではデータから危険率pを逆算する奴まで居る。統計で武装した論理も疑う必要があるのだ。

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