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『いっしょにねようよ』第2巻/高尾滋

2009-12-25 | 少女漫画
 
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誰もが飼っている心の中の鬼。しかし古白に「君は心の鬼を放し飼いにするような子じゃあない」と、やさしい子だと言われ、とても単純なことに気付き、子供の姿が見えるようになったいちこ。
そんないちこに健は、古白は甘えたがりでかまわれたがりで愛されたがりの、欲望に忠実なただの子供だと言う。
いちこはいつか帰ると約束し、姉との償いのメールのやりとりを始める。

夜更かしゲーム大会の罰ゲームで、古白のお面の虫ぼしを手伝ういちこは、膨大な数のお面の中に、懐かしの戦隊ものの一つを見付ける。それが古白の一コ目のお面、母親に買ってもらった物だと知るいちこ。それだけの言葉で体をはってくれたいちこに、古白は嬉しすぎてびっくりしたよと微笑みかける。
幼い頃に母に売られ、「さみしい」という単語の使い方を知ることなく育った古白の「理不尽だ!」という叫びは胸に突き刺さります。
母に愛されなかった古白、その古白をはじめて叱ってぶってくれたいちこ。「…どうして 弱っちいだなんて思っていたんだろう」「そうだ 僕が 大事にしてあげなくっちゃあ」。古白の大事にしてあげなくちゃという言葉。いちこに甘えたくて、嫌われたくなくて、愛されたいという感情、だけど大事にしたい。母を慕う子のそれとも違う、想い。

いちこと、寅二郎、浴室に閉じこもったままの古白だけが残っている屋敷に逃げ込んできた強盗。いちこは、うろたえることでは「不条理」は変えられないと、それに今度は少なくとも子供は助けられたと人質を代わる。大金の入った鞄を無造作に投げ出し、札束で強盗の頬をはたいて助けてくれた古白は、自分を抱きしめるみたいに泣くのよくないよと、すがってと手を広げる。助けを求めて誰かに手を伸ばすことが、わたしは許される?と古白の腕の中で泣きじゃくるいちこ。
膝の上で泣き疲れて眠ってしまったいちこを起こさないように、おなかがすいても、立ち上がれない位足がしびれてもじっとしていてくれた古白。いちこは床に散乱するお札を見て、古白に僕の稼ぎだよと、あげようかと言われ、「何にもいらないわ」と優しく笑う。
古白くんが優しい子で嬉しいと、自分が優しければそれだけで何にもいらないと言う子に、どうしたら笑ってもらえるんだろうと思いを巡らせる古白。

第10話と第11話は8年前の古白の少年時代。胸が痛みます。
お酒がはいってないとやさしい母が、連れてきてくれた初詣。古白の姓が鴒原(れいばら)から木戸に変わった経緯はまだ描かれていません。この時のマリナのボーイフレンドの直哉と、今いちこ達と同居している直哉はおそらく同一人物でしょう。家の中で一番常識的に見える健が家主ではなく、直哉が家主(所有者)というあたりにも色々とありそうです。ひとりはやだと泣いていた古白に、「お前はあたしで …あたしはお前だ」と言った春香の言葉の意味も。
何よりも、古白はいちこと出会えてどんなにか嬉しかっただろう。幼児期のコンプレックスをラブコメとして描いた作品になるのか、まだ先は見えませんが、高尾滋作品のこの温かさは、「かけがえのない」としか形容できない。高尾滋の作品は常に、「恋愛」ではなく、「愛」を描いている。


第6話カラー扉(『花とゆめ』2008年19号)


第7話カラー扉(2009年11号)


第9話カラー扉(15号)


第11話カラー扉(19号)



お薦め度:★★★★★


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Wrlz)
2009-12-27 08:27:20
>Jing*3様

了解です。
返信する
Unknown (Jing*3)
2009-12-26 22:52:12
今日の日記と関係ないことで申し訳ないのですが、私のブログを閉めましたのでお手数ですがリンクを外していただけると幸いです。
返信する

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