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旧作探訪#96 『レッツ・ゲット・ロスト』

2010-05-01 01:11:36 | 映画(レンタルその他)
Let's Get Lost@VHSビデオ、ブルース・ウェバー監督(1988年アメリカ)
1950~60年代ジャズ界のスモーキーな夜に明りをともした、理由なき反逆児、すさまじいトランペッター…チェット・ベイカーの私生活はまさに修羅場。それをエキゾチックな白黒で撮影したウェバーのやり方こそ、ベイカーを描く唯一の方法であり、この映画を前にしてはカラーが発明されたかどうかは関係なく思えてくるほどだ─マイアミ・ヘラルド紙。
1989年5月13日、アムステルダムのホテルの窓から謎の転落死を遂げたトランペッター、チェット・ベイカー。ジャズ、女、麻薬、そしてチェット。破滅型の彼に魅せられた女たちの間には、男と女の裏切りや葛藤、それでも残る愛情もほの見える。織りなされた赤裸々なドラマは見る者を戦慄させ、彼の人生と音楽が不可分であったことを伝えてやまない。
ファッション・フォトの第一人者ブルース・ウェバーが白黒の鮮烈な映像美で描いて、ジャズと映画の新しい地平を切り開く迫真のドキュメンタリー。



この絵「テレクラくん」の吉永美代子は、登場したころは前歯もそろっていたが、こうなってしまっては売春する値段も暴落。ホームレスが千円で買って仲介者=もっと歯のボロボロな“肉まんま”=が半分持っていくので、手取り500円。
オラぁただでも御免こうむる、こんな女。関わりたくないというか、オナニーでもしたほうがよっぽどマシだ。
オナニーといえば、それらを中心とする下ネタ・トークに定評のあるケンドー・コバヤシが、ウシジマくんのために買ったスピリッツ誌のインタビュー記事で語っていた。ボク、漫画の原作を1コ考えてるんですよ、男子が自分のオナニーの手の上下運動の速さでタイムワープするっていう、誰か描いてくれませんかね─。
余計なことだが、そのアイデアは、初期のいがらしみきおが既に使った。それも、たった1本の四コマ漫画で使い捨てたのだ。どちらが真の天才なのかは明らか。
いがらしみきおの四コマ漫画には、他にもちょっと忘れ難いインパクトのあるものが数え切れないほど。そうしたやり方を長く続けることはできなかったが、同じように短編で惜し気なくアイデアを使い捨てた筒井康隆も彼も、音楽ではジャズを好む。
ジャズとはまさに、そうした音楽ではないだろうか。作曲された音楽というより、瞬間瞬間でどのように演奏するかがすべて。一瞬に賭け、その場の者と分かち合ってしまえば、後になって再現できるかどうかは問わない。コツコツ積み重ねる貯金型の音楽とは価値観からして対極にあるといえよう。
当然それは生き方にも表れる。チェット・ベイカーの演奏活動の初期、ジェリー・マリガンのバンドに入った彼は譜面が読めず、練習もあまりしなかったとされるが、舞台では輝くばかりのソロを吹いて人気をさらった。同じトランペットのマイルス・デイビスも一目置くほどで、チェットと映画のための録音で共演したハービー・ハンコックも「ファースト・テイクの新鮮だったこと!!コードに付いていくことを生まれながらに知り尽くしているかのようで、音符がコードを軸にくるくる回転していた。彼の直感は傷ひとつなく、音の選択は完璧だった。そこにほとばしる彼の心、私の奥深くで感じた温もりを忘れられない」と語る。
私生活でも常に美人を伴い、お金のない時もいい車に乗り、いつも素敵な犬を連れていたとか。そして麻薬。コカインとヘロインを混ぜた“スピードボール”と呼ばれる危ない薬でラリって、暴力沙汰もしばしば、刑務所にも入った。アルバム『Chet Baker Sings』などのヴォーカル曲で聞かれる、中性的でソフトな歌声からは想像しにくいが…。
さらに1968年ころ、麻薬のことでヤクザ者から襲撃され、殴られてアゴに大怪我、医者にかかったが歯をすべて抜く破目となった。演奏ができなくなり、3~4年間はガソリン・スタンドで長時間のアルバイトをしたり厳しい日々だったという。しかしその間に練習を積んで義歯で演奏できるようになった彼は、ディジー・ガレスピーの尽力で音楽活動にも復帰。彼を敬愛するエルヴィス・コステロさんの『Punch the Clock』の中でも吹いてましたね。
レッツ・ゲット・ロスト。考えてもみれば、食べたり話したり生命活動の基本に影響大な永久歯は、いったん失ったら2度と生えてこない。ウシジマくんの中で歯を失ったり失わせられたりの場面が多いこともうなずける。
時間のようなものだ。過去から未来へ一方向のみに流れ、過ぎ去った時間が戻ることは決してない。常に瞬間に燃焼するやり方で生きてきたチェットは、映画の中でインタビューを受けて過去を振り返らされるのがつらそうで、撮影中にも5日連続で麻薬にふけって心配されていた。転落死の一因ともなったかもわからない。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (aquamulsa)
2010-05-01 08:07:12
チェット・ベイカーの人生って凄絶だったんですね。
ほんと、ヴォーカルと演奏からは想像がつきません。
この映画観たいです~。
(ウチのほうレンタルで無さそうですが……)
ようこそです~~ (冬のマーケット)
2010-05-01 13:32:24
撮影時のチェットは57歳とのことでしたが、70過ぎの老人のように見えました。でも、歌う声はかつてのようにソフトで中性的なまま─
型破りな人生をかいま見ました。

郵送でよろしければビデオテープをお貸しします!!
その代わりといっちゃあなんですが、もしアグネス・バーネルのCDを入手されましたら貸してください─
こんにちは! (aquamulsa)
2010-05-01 15:37:08
お申し出、ありがとうございます。
でもウチ、DVDじゃないと観れないのですー。
残念!

アグネス・バーネルですが、
中古のアナログ盤をゲットしました。
アナログでよろしければお貸しできますよ。
もしくは、MP3に変換してUSBメモリに入れたものをお送りします。
ウチのブログまでお返事いただければ幸いです。
(カギコメ、可能です)
こんにちは! (冬のマーケット)
2010-05-01 15:51:48
ありがとうございます!!
早くもゲットされましたか─

それでは私も『レッツ・ゲット・ロスト』をDVDにダビングしますので、それが済み次第ご連絡差し上げます!!

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