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巻き添え食ってたまるかよ

『悪魔とダニエル・ジョンストン』

2006-10-06 20:14:48 | 映画(映画館)

渋谷・ライズXにて、ジェフ・フォイヤージーグ監督。
孤独、恐怖、神経衰弱、躁鬱、サタン、666、葬儀屋、マクドナルド、愛、信念、ビートルズ、お化けのキャスパー、マウンテンデュー…。
カート・コバーン、デビッド・ボウイ、ソニック・ユースらミュージシャンから敬愛されるアメリカのシンガー・ソングライター兼・変な絵描き、ダニエル・ジョンストン。
この作品は、その繊細さゆえ、躁鬱病に苦しむダニエルの狂気、創造性、そして愛を描いたドキュメンタリーで、フォイヤージーグ監督は、ダニエル・ジョンストンという謎多き“生ける伝説”を題材に、誇大妄想に苦しむアーティストの原点から現在までの浮き沈みの激しい人生、破天荒なエピソード、様々な禁断症状や挫折、そして痛ましいまでの贖罪の数々をフィルムに記録していく…

やれ演劇だ映画だ人形だと遊びまわっていて、小腹が空くから芝居の前は焼き鳥か日本蕎麦で軽く一杯、などというオラが幸せそうに見えますか?
冗談じゃねーよ、男ひとりでウロウロしている惨めな毎日、街中でベタベタしているバカップルを見かけると跳び蹴りを食らわせたくなるぜ、DEATH NOTEがあったら名前を書くかもな。
だいたい今までのこのブログのベスト・オブ・ザ・ベストの文章というのが以下のようなもの、05年8月23日「マサルさん、金くれねーじゃないですか」より、銀行系サラ金が結婚後もしばらく乙葉をCMキャラに使っていたことについて「藤井隆は誠実そうな男なので、乙葉に中出しした後ベッドで煙草を吸いながら『キャッシュワンから金を借りるヤツってバカだよな…』などとは決して言わないと思うが、心の中で思ってないとは言い切れない」
06年1月25日「組曲:ひなのの堂々たる背中」より、堀江逮捕について「指を入れられる側の屈辱よりもさぁ、堤義明だの鈴木宗男だの堀江貴文だののケツ穴の感触を指サックごしに感じなければならない拘置所の係官の仕事って過酷だよなぁ」
孤独で不幸な男の、怨恨や嫉妬に満ちあふれているでっしゃろ。
そんなオラとは比較にならない巨大な才能を持つダニエル・ジョンストン氏は、人生そのものが作品のようなもので、私生活の不幸の量も桁違い。
19歳の時に運命の女性ローリーと出会うが恋愛めいたことは一切起こらず、彼女が葬儀屋と結婚してしまった後も彼女への「報われない愛」をインスピレーションの源として旺盛な創作活動を続ける。
そんな中には、正直言って映画を見ながら「この曲、欲しいな」と思わされてしまった美しい曲もいくつかあり、受付でサウンドトラックCDが売られていたら買おうとしたのだが、活動の初期からの数少ない理解者で、彼の音楽のマネージメントを買って出てくれた親友とも、大手レコード会社から契約を誘われた際にケンカ別れしてしまっており、本人は曲の管理や版権といったようなことがらとは無縁の社会性ゼロ人間なので、キャリアの全体を見渡せるようなCDは作られていない模様。
しかし作品を持っていたいというより、この特異な人格とは、雨ザーザー降りの日の映画館での一期一会のみでも一生忘れないかもしれない。
コメント
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