がじゅまるの樹の下で。

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テンペスト行脚~首里城/久慶門、北殿~

2009年08月15日 | ・『テンペスト』行脚

■久慶門■

表世界は民と繋がる空間だ。
王宮の門には一応門番がいるが、膂力よりも人格の良さが求められる。

ある日から、久慶門に明るい笑いが響くようになった。

「おはよう。おはよう。がはははは」

多嘉良は久慶門の門番になっていた。

「これはこれは孫親雲上、今日はお早いご出勤でございますな。がはははは」

「多嘉良のおじさん、門番の格好がお似合いですよ」

「だろう?わしも十年前から門番をやっているような気がしてならんのだ。
ついにわしも王宮勤務だ。ただし入り口までだがな。がはははは」

 

■北殿■

北殿の中は異様な緊張感だ。

ここが王府の全てを纏めている評定所である。

評定所筆者たちの熱気が床にも壁にも染み付いている。
ここで布令が書かれ、外交文書が作成され、全ての政策が決定される。

「すごい。ここが評定所か」

「私は今、本当に評定所にいるんですね」

 

「テンペスト(上)」より

出口はかつての職場である。

表世界はピンと張り詰めた思考の空間だ。

また王国の全てを把握する情報収集積基地であり、貿易を管理する総合商社でもある。
この厖大な情報にひとつの道筋をつけるのが評定所だった。

 

「孫寧温、ただいま八重山から戻りました!」

 

テンペスト(下)より

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