■久慶門■ 表世界は民と繋がる空間だ。 ある日から、久慶門に明るい笑いが響くようになった。 「おはよう。おはよう。がはははは」 多嘉良は久慶門の門番になっていた。 「これはこれは孫親雲上、今日はお早いご出勤でございますな。がはははは」 「多嘉良のおじさん、門番の格好がお似合いですよ」 「だろう?わしも十年前から門番をやっているような気がしてならんのだ。 ■北殿■ 北殿の中は異様な緊張感だ。 ここが王府の全てを纏めている評定所である。 評定所筆者たちの熱気が床にも壁にも染み付いている。 「すごい。ここが評定所か」 「私は今、本当に評定所にいるんですね」 「テンペスト(上)」より 出口はかつての職場である。 表世界はピンと張り詰めた思考の空間だ。 また王国の全てを把握する情報収集積基地であり、貿易を管理する総合商社でもある。
「孫寧温、ただいま八重山から戻りました!」 テンペスト(下)より
王宮の門には一応門番がいるが、膂力よりも人格の良さが求められる。
ついにわしも王宮勤務だ。ただし入り口までだがな。がはははは」
ここで布令が書かれ、外交文書が作成され、全ての政策が決定される。
この厖大な情報にひとつの道筋をつけるのが評定所だった。