鮮烈な紅色は遠目には王女のティアラに見えたが、
中に入ると印象が逆転する。
「美と教養の王国という噂は本当だった!」
“Indredible”
とペリー提督は何度もつぶやいた。
正殿、北殿、南殿、書院、
全ての建物が御庭を囲むように建てられている。
ここは王だけが全てを知る城だった。
王国の全ての情報と世界中の美と教養が集結する城だった。
御庭で迎えた冊封使、
特設舞台で千変万化の踊りを披露した美少年たちの駆け抜けた風が見えるようだ。
御料理座から運ばれる宮廷料理はどれも世界に誇れる逸品だった。
小国に似つかわしくない絢爛豪華な文化を生み出せたのは、
美意識だけが唯一の武器だったからだ。
きっと日本が琉球の洗練された文化に気づくのに百年以上はかかるだろう。
池上永一著 『テンペスト(下)』より抜粋
※
事実、1879年琉球王国解体後、沖縄は琉球文化を劣ったものとされ、方言を否定・禁止される
皇民化教育で染められて行きます。
戦後も沖縄そして沖縄人は長らく差別、見下し、偏見の対象にあり、
沖縄(文化、人)が評価され、胸を張って全国で活躍できるようになったのは
本当にここ最近のことです。
『テンペスト(上下)』
昨晩5回目(たぶん)を読了しました。
今回は1ページ1ページじっくり読んで行きました。
主人公真鶴(寧温)が生まれてから、
琉球王国が滅びるまでの50年あまりのストーリー。
読み終えたときのなんともいえないあの感じ。
心に残る余韻。
首里城に行くときは絶対これを読んでから行くのをオススメします。
昨夜、首里城に行く予定でしたが予定変更。
また後日行きます。
写真は過去に撮ったものです。