○次元俳句003・未来(時間)01・中村草田男
「次元俳句」のジャンルには「空間」「時間」「超次元」がありますが、その中の「時間」の「未来」の句です。
○「玫瑰や今も沖には未来あり」(『長子』1936)(中村草田男01)
○季語・玫瑰(夏・晩夏)
【鑑賞】:玫瑰(はまなす)が咲いています。開かれた海の沖には未来が広がっています。玫瑰は近景で沖は遠景です。ところで玫瑰の漢字が変換できなくて往生していました。しかし、この草田男の句は「はまなす」という平仮名表記では句の真意を表現できないと思うのです。俳句の表記はかなりデリケートです。ネットにアップしたあと漢字で表記できているかどうか不安ですが。
○中村草田男(なかむらくさたお)(1901~1983)
○好きな一句「万緑の中や吾子の歯生えそむる」(『火の島』1939)02
○季語(万緑・三夏)
【Profile】:松山で育つ。俳句は「ホトトギス」に投句。→川端茅舎・→松本たかしと共に台頭し、1934年同人。→加藤楸邨・→石田波郷らとともに「人間探求派」と呼ばれた。1946年主宰誌「萬緑」を創刊、1959年より虚子のあとを継ぎ、朝日俳壇選者となる。句集「火の島」「来し方行末」「銀河依然」「母郷行」「美田」「時機」など。
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中村草田男掲載句
03会へば兄弟ひぐらしの声林立す(ひぐらし・秋)〈方法5・抽象の具象化1〉2010/8/26
04降る雪や明治は遠くなりにけり(雪・冬)(『長子』1936)〈例句〉2010/10/8
05壮行や深雪に犬のみ腰をおとし(深雪・冬)(『萬緑』1941)〈例句〉2010/10/27
06蘖や涙に古き涙はなし(蘖・春)〈方法30・再発見2〉2011/2/17
07思ひ出も金魚の水も蒼を帯びぬ(金魚・夏)(『長子』1936)〈色彩91・蒼3〉2012/8/22
08足はつめたき畳に立ちて妻泣けり(冷たい・冬)(『萬緑』1941)〈五体116・足1〉2013/2/12
09亡き友肩に手をのせるごと秋日ぬくし(秋日・三秋)(『来し方行方』1947)〈次元503・超次元40死者1〉2020/11/2
10「日の丸」が顔に纏はり真赤な夏(夏・三夏)(『大虚鳥』2003)〈例句〉2020/11/26
11炎熱や勝利の如き地の明るさ(夏・晩夏)(『来し方行方』1947)〈例句〉2023/8/5
12厚餡割ればシクと音して雲の峰(雲の峰・三夏)(『銀河依然』1953)〈五感653・質感83厚3〉2024/6/16