考えるための道具箱

Thinking tool box

◎ピンチョン、その2。

2008-04-05 17:18:25 | ◎読
id:BaddieBeagleさん、ココロさん、そしてピンチョンの威勢はすごいっす。なので、もう少しくわしい情報を。
「トマス・ピンチョン コンプリート・コレクション(仮)」。あくまで(仮)のようだけれど、これが全集の正確なタイトル。2009年春刊行開始で、その発刊ペースなどは不明で「順次刊行」。元訳があるのも多いし、ずいぶん前から翻訳にかかっていたといわれているものもあるので、マルケス全集ぐらいのペースでは出て欲しいところ。

■『V.』:小山太一訳[新訳]
■『競売ナンバー49の叫び』佐藤良明訳[新訳]
■『重力の虹』佐藤良明訳[新訳]
■『スロー・ラーナー 』佐藤良明訳[新訳]
■『Mason & Dixon』柴田元幸訳[訳し下ろし]
■『Against the Day』木原善彦訳[訳し下ろし]
■『ヴァインランド』佐藤良明訳[新装版]

『ヴァインランド』は、池澤夏樹の「世界文学全集」とかぶるので、時期によっては同じ佐藤訳の3種類が書店に並ぶ可能性もある。一挙にインフレ。
『Against the Day』の木原善彦は、あまり聞かない名前かもしれないけれど『トマス・ピンチョン 無政府主義的軌跡の宇宙』という本を京都大学学術出版会から出していて、これは一応論文っぽいんだけれども、『メイソン&ディクソン』までの批評というか分析がかなり巧く賢くまとめられているので、コンプリート・コレクションの前に読んでおくと、その読み方が正しいかどうかは別としても、かなり有効なガイドブックになるんじゃないかと思う。なにより読み物として面白い。もっとも木原は『UFOとポストモダン』なんて、いかにもトンデモっぽいけどそうじゃない本なんかも出しているので、訳したものを読んだことはないけれど、そういった離れ業には充分に期待できるような気がする。ちなみに『Against the Day』は、有名な山形浩生のレヴューとか、散見するあらすじを読む限りでは、もう滅茶苦茶に面白そうなんだけれど、実際に本物を読んでみるときっと、エキサイティングでも、面白くもなく、それどころか、やっぱりわけがわからないんだろうなあと思うので(だからここであらすじをまとめることもできない)、こういったところも木原がなんとかしてくれたらなあ、と思う次第。まあ、それよりまず柴田&佐藤の共訳といわれていた『メイソン&ディクソン』だな。しっかり併読栞ひも2本つけてね。しかし、ちゃんとでるんかなあ。


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