怪獣使いと少年とキミがめざす遠い星

 今から50年前の今日71年11月19日にOAされたのが、帰ってきた
ウルトラマン最大の問題作と言われる33話・怪獣使いと少年である。

 内容については多くのサイトで語られているので割愛するが宇宙
人扱いされていわれなき差別を受け疎外される佐久間良少年を‘これ
でもか’とばかりに描いているし、本来なら人類の脅威である怪獣・
ムルチを封印してくれただけでなく天涯孤独な良少年を保護してく
れていたメイツ星人=金山老人が暴徒と化した人達から襲撃され射
殺されるという無情。

 そして金山が死んだため封印が解けてムルチが復活し暴れまわる
のを郷は金山の怒りと解釈し、自分達が殺したにも拘わらず
MATに
助けを求めるのを無視するというシーンには子供心に衝撃を受けた
ものだ。

 実は36年前に今回のEPの脚本を書いた上原正三のシナリオ集・
24年目の復讐を購入したのだが、この中に怪獣使いと少年のシナリ
オも掲載されていたのだが、シナリオのタイトルはキミがめざす遠
い星で少しばかり内容は違うのだ。

 最も違うのは食パンを買いに来た良にパンを売るのはシナリオで
は坂田アキだったのが、本編はパン屋の娘だったのは榊原るみのス
ケジュールの都合だったのは分かる。

 またシナリオではアキだけでなく坂田をはじめMATの隊員も全員
登場し、MATが出現したムルチを攻撃するシーンもある。

 本編は伊吹隊長しか出てこないし戦意喪失した郷に伊吹が戦う事
を促すのは攻撃しながらではなく托鉢僧姿という幻想的なシーンに
なっており、ラストの上野との会話も上野は声だけの出演になって
いる。

 もともと先鋭化した上原正三のシナリオを新進気鋭の新人監督で
ある東條昭平が更に加速させた形になっているわけで、正直‘子供番
組でここまでやるか!’という感じだった。

 それから35年後の06年11月11日にOAされたウルトラマンメビウ
スで怪獣使いと少年の続編ともいうべき朱川湊人脚本の怪獣使いの
遺産がOAされ良少年の事が語られていたのだが、やはりセブンのノ
ンマルトの使者の続編は金城哲夫でなければ書けないように怪獣使
いと少年は上原正三にしか書けないと実感する。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ジャッカル丸... 明日からプロ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。