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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

資本金と会社の信用(資本金についての禁止事項)

2011-07-06 10:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
株式公開している大企業はともかくとして、それ以外のいわゆる中小零細企業の場合は「資本金」を信用の尺度とすることはできません。資本金は法務局という公式の場で公表されており(登記されており)、登記する際には相応のチェックもされています。しかし、資本金は株主から出資されたという「過去の事実」に過ぎず、資本金の額に相当する現金(預金)を常に保有しているという意味ではありません。

かといって、資本金がまったく無意味なものであるかというと、そうではありません。資本金を甘く見ているととんでもない目にあうこともあります。

■資本金を返金した?

資本金は減資という正式な手続(法務局での登記も必要)を経なければ、出資をした株主に返金することはできません。にもかかわらず、減資を経ずに株主に返金する人が後を絶ちません。こんなことは絶対にしないでください!

「どうせ資本金なんて、会社を設立するときにだけ役所(法務局)に見せればいいんだろ!」はごもっともです。しかし、設立の手続はそれでよいかもしれませんが、このようなことをすれば決算書にその形跡がくっきりと残ります。詳しい説明は省略しますが、決算書の一部である貸借対照表に「怪しげな資産」が計上されてしまうのです。この額が少額な場合はよいのですが、資産に占める比率が大きい場合には「資本金を返金した」ことは一目瞭然です。第三者からすれば「資本金は多いけれどもそれ相応の資産がない(資本金の額は見せかけにすぎない)」ことが容易にわかるのです。

資本金を返金した結果として貸借対照表に怪しげな資産が計上され、金融機関などから厳しい指摘を受け「後悔する人」あるいは「激怒する人」【注】が非常に多いです。「返金の誘惑」に負けそうになったときにはご一報ください!

【注】多くの人は「資本金の返金は誰でもやっている」あるいは「返金してもばれない(決算書に返金の事実が表れることを知らない)」と考えているので金融機関などからの指摘に激怒するのです。

■資本金があまりにも少ない

現在は最低資本金制度がないとはいうものの、あまりにも資本金が少ないと信用されない場合があります。特にネットショップなど、一見客との取引が多い業種でこの傾向が強いです。資本金があまりにも少ないと「法務局に見せる金さえもないのか?」と思われるからです。いくら以上の資本金があれば信用されるかの判断が難しいですが、同業者並みの資本金にはしておくべきだと思います。