Tomotubby’s Travel Blog

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ネパールのカースト制度

2006-02-10 | Asia 「圓」な旅

聖なる牛のおでまし(バクタプル)

今回も重いテーマが続きます。「被差別の食卓」では、ネパールのサルキという「不可蝕」カーストが紹介されていました。サルキは牛の解体や皮なめしを行う人たちで、昔は牛肉を食べていたそうですが、今は食べるのをやめているそうです。

ネパールのカースト制度はインドのもの以上に複雑です。世界唯一のヒンドゥー国家ではありながら、インドから移住してきたアーリア系のヒンドゥー教徒の子孫に加え、北の丘陵・山岳部に住んでいる仏教や土着宗教を信仰するモンゴロイドの子孫が存在するからです。カーストは大きく、タガダリ、マトワリ、可蝕、不可蝕の四階級に分けられます。もっともネパールは1990年に民主化されていて、表向きは制度としてのカーストはなくなっているわけですが、インドと同様に、カーストは彼らの宗教生活、精神世界と結びついているため、なかなかその拘束から抜けきれないようです。

第一階層のタガダリはインド出自のヒンドゥー教徒の子孫に限られ、インドのバラモンに相当するブラーマンや、クシャトリアに相当するチェットリが含まれています。第二階層のマトワリはバイシャに相当するもののようですが、カーストを失うことのない人たちと、失いうる人たちの二階層が存在しています。特徴的なのは、ヒンドゥー教徒の子孫の他に、歴史的にモンゴロイドの子孫を取り込んでいることです。インド出自のヒンドゥー教徒のカーストは永遠のものですが、モンゴロイド出自のカーストの多くが永遠のものではないことも特徴です。

第一・第二階層が浄なるカーストであるのに対して、第三・第四階層は不浄なるカーストで、上位カーストは彼らから水を受け取ることが禁じられています。第三と第四の差は、上位カーストが彼らと接触した際に、聖水をもって沐浴する必要があるかどうかの差です。インドの不可蝕は一億人以上いると聞きましたが、ネパールでも人口の20%、五百万人くらいになるそうです。ムスリムやヨーロッパ人など外国人は第三階層に含まれているようです(日本人はモンゴロイドだからマトワリに入るみたい)。これら下位カーストには、サルキの他に洗濯屋、業、楽師、鍛冶屋、仕立屋、掃除人などが入っています。中には売春を専業とするカーストまであるそうです。鍛冶屋、仕立屋が入っているのは(ともに第四階層)、日本人の感覚ではよく理解できません。これらが一度誰かが使ったものを再生するような仕事ならば、そこに穢れを感じるということでしょうか。


仕立屋の看板(パタン)


ミシンの看板(バクタプル)

最近は、不可蝕カーストも、牛肉を食べることをやめており、外国人旅行者が食べる牛肉の類は、殆どインドから輸入されているそうです。ムスリムやヨーロッパ人たちは肉を食するために第三階層に入れられているのかもしれません。それから調べていて判ったのですが、Tomotubby の食べたパサパサの肉は水牛、バッファローのもので、ネパールでは荷役や農耕に用いられていて、聖なる牛とは別物の扱いのようです。食事に関しても禁忌は緩く、カトマンズで食べた水牛ステーキは、ネパール国産のもののようでした。


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