Tomotubby’s Travel Blog

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シュナーベルの 「歌舞伎絵画」

2007-04-07 | 夢日記
暫く留守にしている間に、東京の桜は早くも盛りを過ぎて散り始めています。
春なのに物憂い気分。

「桜の絵」というと、日本画ではなくてブリュッセルの美術館の地下の奥深い部屋で見た奇妙なマグリットの絵を思い出す。と前に書いたことがあります。実はもうひとつ、ずっと以前より気になっている「桜の絵」がありました。その絵は、ずいぶん以前から自分の記憶の奥の方にある部屋の壁にかかっていて、夢にも何度となく出てきましたが、長らく細部はおぼろげになっていました。正確には「桜の絵」と呼ぶのはふさわしくないのかもしれません。それは「桜の絵」を下地にして描かれた絵画だったからです。日本様式で派手なピンク色と松葉色を使って描かれたコントラストの強烈な地の上に、何やら強迫的なイメージが上書きされていたのです。

絵は、吹田の万国博公園内にあった国際美術館に誰かに連れられて行き見たのですが、誰が描いたものなのか長い間わからないでいました。そこには同じ様式のおどろおどろしい絵がいくつも並んでいたので恐らくは個展だったのでしょう。後年、古い美術雑誌を調べて、80年代ニューペインティングの代表的画家、ジュリアン・シュナーベルの個展「歌舞伎絵画(カブキ・ペインティング)」が行われていたことをつきとめました。説明によると、下地になった「桜の絵」は歌舞伎の三大名作の一つといわれる「義経千本桜」における「吉野山中」の背景として描かれたものなのでした。

薄い画集を大阪の古書店で見つけたのは、それからずっと後でした。

記憶とは曖昧なもので、「桜の絵」を下地にして描かれた絵画は、実際には二枚展示されていたことがわかりました。それぞれが画集の表表紙と裏表紙に取り上げられているのです(下のような絵です)。一枚目の絵が自分の記憶に残っていたものに近いのですが、今見ると上下逆転した地に、カトマンズの仏塔にでもありそうな眼が描かれている二枚目の絵の方が見た際の衝撃は強く、こちらを完全に忘れてしまっているのは不思議な気がします。自分の心の中で、恐ろしげな二枚目の絵の記憶を消してしまい、見た時の衝撃だけが一枚目の絵の背後に隠されてしまっていたのかもしれません。


RebirthⅡ


RebirthⅠ(The Last View of Camilliano Cien Fuegos)

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