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イランの金魚 ~金魚をめぐる旅 その12~

2006-11-20 | Asia 「圓」な旅
深夜放送で観た映画「風の絨毯」のホームページが生きていて、そこで公開されている予告編を見て余韻を楽しんでいたら、↓のようなシーンを見つけました。子供たちが燃えている火の上を楽しそうに跳んでいきます。



テレビで放映されていたときは気づかなかったのですが、これは、イラン暦の年末、イランで行われる火祭り「Chaharshanbe suri」ではないかと思います。イラン暦では西暦3月20日がお正月「Noruz」(新しき日) で、このお祭りはお正月の前の火曜日の夜に行われるそうで、イランでイスラム教が広まる前に信じられていた拝火教、ゾロアスター教の名残らしいです。映画の季節は冬のようなので、映画はお正月を跨いで撮影されたのでしょう。

「風の絨毯」は、西暦2003年5月12日に日本でロードショー、前年の2002年秋の東京映画祭でプレ上映されているから、撮影は恐らく西暦2002年の初めに行われていたと推理できます。調べてみると、2002年のイランは西暦3月20日の夜にイスラム暦で新年を迎えています。高山の春祭りに間に合うように絨毯を二十四時間体制で織る!というのが映画の筋書きでしたが、高山の春祭りは例年、桜の季節4月14、15日に行われることが決まっており、ちょうどこの祭りが目前で勘定が合います。

もうひとつ、ホームページには、↓のような写真もありました。



こちらもテレビで放映されていたときは気づかなかったのですが、さくらとルーズベの傍らには金魚が泳いでいます。有名なイラン映画でマジッド・マジディ監督の撮った「運動靴と赤い金魚」というがありまして、「「運動靴と赤い金魚」の国からまた新しい名作が生まれました」というのがこの映画のキャッチ・コピーであるから、ひょっとするとこの金魚はマジディ監督へのオマージュなのかな。それともマティスへのオマージュ?まさか、そんなことはないだろう。と思ったりしました。

金魚は縁起物で、イランのお正月「Noruz」に飾られる「Haft Seen」とともに並べられるそうです。「Haft Seen」とは「七つのS」という意味で、ペルシャ語の単語で頭にSのつく七つの品物を「Noruz」の期間にテーブルに飾る、ゾロアスター教起源の習慣です。イランでは古来「7」という数字が天使の数にあたり、悪に対する正義の勝利を象徴する神秘的な数です。以下の品から七つ選ばれ、Sofreh(テーブルクロス)の上に飾られるようです。
Serkeh(酢)
Seeb(リンゴ)
Seer(ニンニク)
Senjed(ホソバグミ(ロシアン・オリーブ)の実)
Somaq(スーマック(香辛料))
Samanu(小麦の麦芽で作ったクリーム・プディング)
Sabzeha(緑の草、皿で麦やレンズ豆を発芽させます)
が一般的で、この他にも
Sekke(硬貨)
Sonbol(ヒヤシンス)
Sham(点された蝋燭)
Saat(置時計)
Shahnameh(ペルシャの王について書かれた書物)
これらのほかに、生命を象徴する金魚が、鏡、コーランなど聖なる書物、色をつけられた卵、ボールに浮かせたオレンジ、ローズ・ウォーターを入れたフラスコ、真鍮の皿に並べられたハーブなどと Haft Seen の周りに並べられます。


Haft Seen

イランではお正月前には金魚を売る市が立ちます。以前はお正月が終われば金魚を川に放っていましたが、最近では家で飼い続ける人が多いそうです。

つづく


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