Tomotubby’s Travel Blog

Tomotubby と Pet の奇妙な旅 Blog。
でもホントに旅 Blog なんだろうか?

台北漢方薬店の実演カンフーショーと、筑波山蝦蟇の油売り

2004-07-21 | Tiger Balm Gardens
薬を売るのに武術を見せて客寄せするのは、もともと武術を生業とする専門集団が秘伝の薬を売ったことに始まったようです。

Tomotubby は視察旅行などで台北を訪れた際に漢方薬店へ案内されました。具体的には「滋和堂」や「再春舘」というような店で、四川の「廣済堂」という名とも通じるところがあります。これらの店では、薬を売るのに大道芸めいた実演カンフーショーを見せてくれます。演壇のある部屋に通された団体客の前に筋肉ムキムキの男性が現れて、手を金槌代わりにして板に釘を打ったり、腹や喉に鉄の棒をあてて棒が曲がるまで押し付けさせたり、釘のように伸ばしたキャラメルをサトウキビに貫通させたりします。圧巻は焼けた鉄の鎖を手で触るというパフォーマンスで、手元からは煙が上がっているのが見えました。最前列にいた Tomotubby の鼻は、蛋白質の焼けるいやな臭いを嗅いでいました。この後で薬を持ち出し「こんな傷は造作もない。この軟膏をひとつつければ、すぐ治る」という感じで薬を売り込むのです。

これらの店は、テレビで頻繁に放映される芸能人リポートの中で目にしたことがあります。大概は足裏マッサージの店として紹介されているようですが、偶にこの実演ショーが映ると、芸能人が壇上に呼ばれて、実演補助みたいなことをやらされています。実は Tomotubby も団体客の中で目立ったせいか御指名に預かり、鉄の棒をあてる芸で補助をやらされたのでした...きっと同行の皆さんのアルバムに恥しい写真が残されているのだろうな。と赤面。

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日本にも、かつて筑波山の蝦蟇の油売りという、大道芸を行う薬の行商人がいました。Tomotubby は子供のとき一度見たことはあります。遊園地か何かの催しで、絣の着物と袴、白い襷に鉢巻き、ほう歯の下駄を履き、腰には日本刀を差した男が、大声で「蝦蟇の油」なる軟膏を売っていました。

その口上は、どんなのかというと、
「さあさ御立会い。御用と御急ぎでない方はゆっくりと聞いておいで。遠出の山越笠のうち、聞かざるときは物の黒白、善悪がとんと判らない。山寺の鐘がゴオーン、ゴオーンと鳴るといえども、童子来たって鐘に撞木を与えずば、とんと鐘の音色が判らない。さて、御立会い。手前ここに取り出したるは陣中膏蝦蟇の油。蝦蟇と申しましても只の蝦蟇とは蝦蟇が違う。関東は筑波山の麓、車前草という露草を食って育った四六の蝦蟇だ。四六五六は何処で見分ける。前足の指が四本、後足の指が六本、合わせて四六の蝦蟇。山中深く分け入って捕らえたこの蝦蟇を、四面鏡張りの箱に入れると、蝦蟇は己の醜い姿が鏡に写るのを見て吃驚仰天、脂汗をばたらーりたらりと流す。これを漉き取り、柳の小枝で三七、二十と一日とろーりとろりと煮詰めましたるが、この陣中膏蝦蟇の油。蝦蟇の油の効能は、皹に皸、霜焼けの妙薬。まだある。出痔、疣痔、はしり痔、腫れ物一切、そればかりか刃物の切れ味も止める。(ここで腰の日本刀を抜き)取り出したるは夏尚寒き氷の刃。一枚の紙が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚、十六枚が三十と二枚、三十二枚が六十四枚、六十四枚が一束と二十八枚。これこの通り、フウッと散らせば比良の暮雪は雪降りの型。これなる名刀も、一度この蝦蟇の油をつけるときは、たちまち切れ味が止まる。押しても引いても切れはせぬ。と言うても、鈍らになったのではないぞ。さあ御立会い。このように綺麗に拭き取る時は、元の切れ味になって、これこの通り。(ここで自分の腕に刃を当て切ると赤い血が滴ります)しかし、こんな傷は造作もない。この蝦蟇の油をひとつつければ、(蝦蟇の油を塗り、すりこむ)痛みが去って血はピタリと止まる。さあ御立会い。蝦蟇の油の効能が判ったら遠慮は御無用。どんどん買ってお行きやれ」

日本刀を抜いてからもなかなか事を起こさない男に対して、子供心にも何か胡散臭いものを感じながら、いざ腕を切るところを見てしまうと、自分を犠牲にしてまで薬を売る男が哀れに感じ、何故か怖くなって、父親の後ろに隠れて見ていた記憶があります。

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