母乳の思い

昨日の夜遅く、男の子の赤ちゃんが亡くなりました。
完全大血管転移症のⅡ型。
冠動脈の位置がおかしいとは言われていたけど、術前に亡くなる病気ではないはずでした。
今日手術の予定で準備をしたところでした。
かわいくて、よくミルクを飲んでくれる子。

今日職場にいったら、患者さんのミルクや飲み物が入っている冷蔵庫の冷凍スペースに、その子のお母さんが搾ってくれた母乳がたくさん置き去りにされていました。
いつ飲んでもいいように、小さいパックに小分けして名前を書いて冷凍してくれたものです。
スーパーのビニール袋3枚に押し込まれていました。

その母乳をどうしようか見ていたら、助手さんが「捨ててもいいなら置いといて。やっとくよ」と話しかけてくれました。
私「捨てるしかないですよね？お母さん、取りに来たりしないですよね？」と。
助手さんは「家で飲むかもしれないの？よく飲む子？退院したんでしょ？」と。
私「昨日、死んじゃった」

搾乳するのは、直接あげるよりも痛いし大変だと聞きます。
みんな、我が子のために必死で搾ってきてくれます。
10mlのスピッツに入った2mlの母乳でも大切に扱う必要があります。

子どもがいなくなった今日も明日も、そのお母さんのおっぱいは定期的に張って、搾らないといけない状況なのでしょう。
どんな気持ちで搾乳しているのだろう。
どこに搾乳しているのだろう。

年賀状用の写真、親子3人で撮ってあげればよかった。
一時的にNGチューブ抜いてあげればよかった。
もっと他のお母さん達とも話せるようにしてあげればよかった。

ミルクをたくさん飲んでくれて、おしっこたくさんしてくれる子が、急変するとは…。
ノーマークでした。

後悔、先にたたず。