本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『初秋』 ロバート・B・パーカー / 菊池光=訳

2007年10月19日 | 小説


初秋.jpg


北方謙三氏の 『不良の木』 を昨年の秋にブログでご紹介しました。確かに大変おもしろかったのですが、“もう少し、主人公が、スーパーマン的ではないハードボイルドの作品でお薦めがありませんか” と言って、教えていただいた一冊です。(やまちゃんさん、ありがとうございました)


さっそく購入して、読んで、感動し、何としても昨秋の間に記事をUPしようと決めていたのに、ついつい今年の秋になってしまいました。別にいつご紹介しても良い、すばらしい作品だと思うのですが、結局、去年の秋と今年の秋、二度読みました(笑)。やっぱり良かったです。


主人公は私立探偵のスペンサーという男です。あるお金持ちの婦人から、夫が連れ去ってしまった15歳になる自分の息子を取り返して欲しいと依頼されるところから物語が始まります。

仕事を引き受け、難なく子どもをつれてもどりましたが、子どもの様子などから、どうも複雑な事情がありそうだとわかります。


しばらくして、同じ母親から、今度は父親が子どもを強引に連れ返そうとするので、住み込みで二人を守って欲しいと懇願され、その仕事も引き受けます。二人と同居してみて、その子どもは結局は、父親からも母親からもまったく愛されておらず、ただの取引の材料に使われていることがわかります。

すでにその時、その15歳の少年は、他人はもちろん、親や周囲の人間、そして自分の将来にすらまったく興味を示さず、めったに自分の部屋からも出てこないような生活を送っていました。

周囲の大人たちによってそんな風になってしまった少年を、スペンサーが立ち直らせようとする物語です。

裏の社会と通じつつ、悪事を働き金儲けに明け暮れる父親と、子どもを放っておいて自分の安易な欲望だけを満たそうとする母親。あることをきっかけに、まず、その二人から少年を引き離し、スペンサーは少年と二人で、自分の恋人の持っている別荘で生活を始めます。


そこから展開されるスペンサー流の教育が非常に興味深く、また少年が徐々に心を開き自立していこうとする姿がすがすがしいです。ハードボイルドらしく、その途中には、少年を連れて、殺し屋と戦ったり、盗みに入ったりするのですが、どれも印象的なできごとで、荒唐無稽なところはまったくなく、ドキドキしながら読めると思います。

多くの人にお薦めできる一冊だと思います。



●最後までお読みいただきありがとうございました。記事がいくらかでも参考になりましたら、応援のクリックをしていただけるとありがたいです。できるだけがんばりますので、よろしくお願いします。m(__)m


⇒     にほんブログ村 本ブログへ



http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HPへ】






初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
ロバート・B. パーカー,菊池 光,ロバート・B.パーカー
早川書房

詳細を見る

HOMEへ


最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご無沙汰しています、お元気ですか (kazu4502)
2007-10-20 07:50:10
vivaさん、お早うございます。
ご無沙汰しています、お変わりありませんか。
10月に入り、なにか肌寒くなってきましたね。
相変わらず世の中が乱れ、世の中がすっきりしませんね、慎みと節度そして品格、なにかこのような言葉が日本からどこかへ飛んで行ってしまった様な気がしています。
品格のない情けない日本になってしまいました、本当に残念です。
でも私がいつも期待している中川昭一氏ですが今は無任所ですがしっかりと日本の為に頑張っています。何とか彼ら保守系の政治家に「助け合い、励ましあう古きよき日本」を復活させてもらいたいものです。
今こそ、共生という言葉が大切な時はありません。
中川昭一氏の応援の為にちょっとTBさせていただきました。
これから寒くなると思います、お体を大切にしてくださいね。
今後ともよろしくお願いいたします。
kazuさん (VIVA)
2007-10-21 11:05:08
こんにちは。こちらこそいつも励ましのお言葉をいただきますのに、ご無沙汰ばかりで本当にすみません。
kazuさんの記事はいつも刺激的かつ情報満載で勉強になりますので、TBしていただけるとありがたいです。

東京でも一気に寒さに襲われ、多くの生徒が半そでシャツからあっという間にセーターに着替えていますが、それでも間に合わなかったのか、風邪で欠席する人が多いですね(笑)。

衆議院と参議院のねじれというか、小沢党首の練達のパフォーマンスのためか、政治状況が非常に不透明になってしまいましたね。おっしゃるように“共生”というのがキーワードだと感じます。ただまだまだ時間がかかりそうで…。

kazuさんの精力的な活動には本当に頭が下がります。何とか必死に追いかけてまいりますので、これからもよろしくお願い申し上げます。
Unknown (milesta)
2007-10-22 08:36:26
こんにちは。ご無沙汰しています。
ハードボイルドは未知のジャンルで、VIVAさんの紹介文を興味深く拝見しました。何となく恰好つけて気取った小説が多いのかと思いこんでいましたが、深い人間ドラマが展開されたりするのですね。
VIVAさんのお仕事は、これからお忙しくなるのでしょうね。お体にお気をつけて。
milestaさん (VIVA)
2007-10-22 20:43:01
お~!milestaさん! 

   Welcome back!!!

この本の主人公も、気障ですが(笑)、北方さんの主人公に比べればごく普通です。あとで知ったのですが、すでに名作という評価を得ているようですよ。

いつも暖かいお言葉ありがとうございます。
Unknown (ふくろう)
2007-11-05 16:38:39
はじめまして。
成長した少年が母親を探してくれと依頼しに来る直接的な続編『晩秋』も名作ですよ。
ふくろうさん (VIVA)
2007-11-06 12:00:05
はじめまして。

そうなんですか。続編ということは、あの少年が一人前になって、スペンサーのところへ戻ってきて、母親を捜して欲しいと依頼するんですね。

初秋から、晩秋へ…ですか。いやあ、すぐにでも読んでみたくなりました。コメント本当にありがとうございます。これからもいろいろ教えて下さい。
Unknown (nats)
2007-11-16 21:34:47
はじめまして。
私も昨年「初秋」を読んでスペンサーにはまってしまい、一気に最初から文庫全作読みました。
(全作と言ってもまだシリーズ続いてますけど)
人間模様がすごくいいんですよね。
常連キャラも魅力的です。
natsさん (VIVA)
2007-11-17 11:53:34
はじめまして。VIVAと申します。

そうでしたか、natsさんも…。私も時間さえ許せば、一気読みをしたいところなんです。うらやましい~、思いながら、コメントを読ませていただきました。

メッセージ、本当にありがとうございます。