いよいよ小泉政権もクライマックスを迎えるわけですが、8月15日に靖国神社参拝が、“必ず行く” と言った公約ですし、これだけ騒がれますと、外国からも注目が集まります。
しかしどうなんでしょう。靖国問題は、私も注目だけはしていますが、そもそも小泉政権の本質とはあまり関係ないとも感じます。
公約を守ろうとして、これほど批判されるのは前代未聞でしょう(笑)。皮肉なもんです。逆に行かなければ、どうせマスコミは『5年間一度も公約を守らなかった総理』 と批判するに決まっているんですからね。
靖国に行くなと、中国や韓国が内政干渉をし、それに呼応して、国内のメディアや野党が盛んに取り上げ、問題をどんどん大きくしてしまっています。小学生でも、『靖国』は知っていますが、これが大きくなればなるほど、そういう勢力の思うつぼ。
国論を二分させるし、麻生氏はじめ、次の総理をめざす他の政治家も、何らかの解決策を公表せざるをえなくなっています。また、中国や韓国の歓心を買って、日本でアピールしようというような政治家まで出てくる状況。完全に国益をそこなっているといえないでしょうか。
本書は小泉政権というのは、何を狙って、どのように動いてきたかを、実につぶさに観察、分析している一冊です。小泉政権誕生の下地ができる、小選挙区制導入当時の政界分析から始まって、じっくり書いてあります。
『官邸主導』 という書名があらわすように、小泉政権最大の特徴は、政策そのものよりも、政策の立て方、いわゆる政治手法にありそうです。
道路公団や、郵政の民営化、医療改革、三位一体改革などは、どこまで本気なのか、正直、私にはつかめないのですが、これら、すべてを抵抗勢力、おもに竹下、小渕、橋本派の大派閥つぶしと見れば、非常に分かりやすい話にならないでしょうか。族議員の利権や支持母体を叩きつぶしているという構図です。
人事にもはっきりそれが出ていますよね。本当に誰にも相談しないで、すべての閣僚を決めるのだそうです。もちろん派閥の推薦は一切受け付けませんから、ますます派閥は弱体化しますし、抵抗勢力は徹底して、ポストから“干す” そうです。亀井氏らから“ヒトラー以上” の独裁者と非難されるゆえんです。
適材適所というより、官僚の権力や、それにぶらさがる族議員つぶしと見ればすっきりいきます。田中真紀子氏らを送り込まれた、外務省などはたまったもんではありませんね(笑)。党の税制調査会や総務会といった、しばしば首相官邸とぶつかってきた組織までも、今や完全に弱体化しました。
自民党や官僚のドンと言われていたような人々を、どんどん追い出し、政策決定のじゃまになる制度を骨抜き、破壊し、すべてを官邸主導のシステムに変えていきます。逆に首相が信頼をおく、竹中氏や中川秀直氏、与謝野氏などは急速に発言力を強めている印象を持ちます。
確かに、公約とおり、公共事業に頼らず、景気を回復させ、不良債権を減らしましたし、何と言っても、北朝鮮に拉致を認めさせた功績は、高く評価されるべきでしょう。これでやっと子どもを含む日本国民が、北朝鮮の実態を知ることになり、国防意識を高めましたから。
ただ、本書は、小泉内閣における、権力構造の変化に焦点を当てており、アメリカ追従姿勢、イラク派兵や、アジア外交、また、それ以外のさまざまな政策の評価・分析はほとんどありません。従ってそれを期待される読者には向きません。私ももう少し、そこらを読んでみたかったのですが…。その評価は歴史家に譲るということなのでしょうか。
『 君主論 』 を以前ご紹介しましたが、小泉首相は、良くも悪しくも、日本の政治家には珍しく、政治や権力というものの本質を理解し、非常に権力闘争に長けた政治家であるという印象を持ちました。政策通とはとても言えないようですが(笑)。
官邸主導―小泉純一郎の革命日本経済新聞社詳 細 |
http://tokkun.net/jump.htm
『官邸主導』 清水真人
日本経済新聞社:409P:1995円
■■ 信長好きですし、そうなるのでしょうが、塾講師としては、危機的な状況にあると思われる日本の教育。かなめの文部科学大臣をころころ代えたのが気に入りません。権力闘争に利用して欲しくないところでした。賛同いただければ、クリックをお願いします。m(__)m ■■
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うちの方にも遊びにきてくれたり、
コンビニにも行ってくれてるようで幸いです。
私の方も何気にちょくちょく書評で勉強させてもらっています。
>靖国問題は、私も注目だけはしていますが、
>そもそも小泉政権の本質とはあまり関係ない
私も同意見です。
どうも靖国問題にマスコミも私たち国民も
単純な二項対立に踊らされているような気がします。
>さまざまな政策の評価・分析はほとんどありません
私個人としましては
このへんはとても気になるところですのでちょっと残念です。
さて整然と穏やかに靖国神社に公式参拝した小泉総理に日本人として誇りに思います。
今日が61年目にして真の終戦記念日です。
整然としていなのはマスコミです、公約だったわけですから今更わいわい言うこともないでしょう、朝日はまだ戦前の戦争高揚記事について反省もしていません、すべて嘘でっち上げの歴史が朝日新聞の歴史であるといっても過言ではありません、それは中国も同じです、政権が変わるごとに都合のいい歴史を落ちだし、歪曲しながら政権を維持してきたのは中国です、今日はなんとなくうきうきした気分です。
vivaさんはいつお帰りですか、田舎でごゆっくりしてください。
この権力に対する考え方、「小泉に代表される」だけで、実は密かにこういう考え方をする人や、会社が増えてきているのか、などと感じたり。
でも、やっぱり知りたいのは、「何が」彼(彼ら?)をこう動かすのか、という事ですね。
昨日、仙台の丸善でこの本を手にとって一瞬買うかどうか迷った(結局別の本にしたのですが)ので、びっくり。
『どうせいつ行っても、混乱させようとする勢力があるのだから、今日行っても同じだ』みたいなコメントでしたね。すごいな。
世論のみが味方でしょうが、マスコミの世論調査によると、富田メモが見つかって以来、急速に靖国参拝支持は減っているそうですからね…。
郵政のときもそうでしたが、信念とおりにやれば、国民に通じるはずだという信念があるのか、何か作戦を考えているのか、ますます注目せざるを得なくなってきました(笑)。