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『アメリカの鏡・日本』 ヘレン・ミアーズ (伊藤延司 訳)

2006年08月15日 | 外国関連
  
先日、雑誌『 正論 』編集部の牛田久美さんから、私が 『 聖断(半藤一利)』 をご紹介したのに対し、

“『正論』にてマッカーサー米議会証言録を連載しています。よかったら、そちらもご見物下さいませ。”と、わざわざ拙ブログにコメントをいただきました。

(ところで牛田さんが“ 多芸多才・異端異彩 ”で紹介されていて驚きました。お若く、すてきなママさんです)

それはともかく…
すぐに拝見しました。マッカーサーの証言を牛田さんが、連載形式で翻訳・解説されていますので、ぜひご覧下さい。

さて、ご存じの方も多いと思いますが、実はマッカーサーのこの時の証言は非常に興味深く、いくつか当時の日本の状況、国民性を述べたうえで、

『彼ら(日本人)が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られての事だったのです』 と証言しています。

つまり、マッカーサーは、日本では東京裁判 をやらせ、徹底的に戦犯を裁いておきながら、自国の議会では、日本の戦争は、侵略戦争ではなく、自衛の戦争だったと、ある意味日本を弁護しているわけです。

ところが、それと似た主張をしている本書を、その同じマッカーサーが、東京裁判当時には、“公共の安全を脅かす” という理由で、出版を許しませんでした。著者のヘレン氏は戦後、GHQ の労働諮問委員会11人のメンバーの一人で、戦後日本の労働基本法の制定にもかかわっていました。

日本、中国にも長く滞在し、当然アメリカ軍の占領政策を実行する側の一員です。本書で、日本がなぜこのような戦争を行なったかを冷静に分析したうえで、自分たちが裁く側にまわったことに、“アメリカ人の信奉する法と正義の哲学に著しく反している” と直言します。

本書は東京裁判の判決の年(1948年)に書かれたものですが、アメリカ側の一部に、こうした考えがあったことも、マッカーサーの議会証言同様、注目に値します。本書の存在が、広く知られるようになったのはつい最近です。内容からして、当時のマッカーサーが出版を許すはずもなく、日本では長く伏せられていたためです。

日本が残虐行為をしていないなどと主張するのではありません。日本のそれを裁けるというのなら、原爆投下はどうなのか。まして投下する必要などまったくなく、ソ連との政治的駆け引きのために、原爆を用いたのだから、というような意見です。

日本は、ペリーによって開国させられ、アメリカやヨーロッパ列強を見習えと教えられ、そのとおりにしてきたが、ついにアメリカなどの利害とぶつかったために、日本だけが野蛮な国として裁かれようとしている、そのことを痛烈に批判しているわけです。

訳者は、日本が戦争にずるずると引き込まれていく過程、悲惨な戦争被害などの場面を、何度も泣きながら訳出したそうです。確かに、大国に日本が翻弄されているさまは、悲しみを誘います。

歴史的資料としても、大変貴重な一冊で、興味のある方には一読をお薦めします。戦争を二度と起こさないためにも、しっかりと実態を知っておいた方が良いはずです。


アメリカの鏡・日本 新版

角川学芸出版

詳細を見る





P.S.本書は完訳版ですが、私が最初に読んだのは、抄訳版で角川書店の新書(328P:781円)です。そちらだけでも十分刺激的でした。
抄訳版 アメリカの鏡・日本

角川書店

詳細を見る



http://tokkun.net/jump.htm



■■ 8月15日がやってきました。反戦教育は日本より、アメリカや中国でやってもらった方が、ずっと世界平和に効果的だと思うんですが…。60年以上経っても、解決しない戦後問題があることに、あらためて、戦争の悲惨さを思い知らされます。ご賛同いただけましたらクリックをお願いします。 m(__)m ■■
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13 コメント

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凄い本ですね。 (Mr_ryo)
2006-08-15 12:50:17
マッカーサーが日本を弁護する発言を米国でしていたなんて知りませんでした!

アメリカの都合で、日本が戦争に巻き込まれたと言う話は聞いたことがありますが、詳しい事はあまり知らなかったので、凄い興味深いです!!角川書店の方なら手ごろなので、ぜひ読んでみようと思います!!
本日の「正論」欄にも・・・ (milesta)
2006-08-15 12:58:00
今日の産経新聞「正論」欄で、小堀桂一郎さんが、この本に言及されていましたね。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/15026/



私も今日は、若い人達にGHQ発ではない、日本人の考える戦争・戦後を知って欲しくて『おじいちゃん戦争のことを教えて』を記事にしましたのでTBさせてくださいね。
Mr ryoさん (VIVA)
2006-08-15 14:09:40
はじめまして。コメント恐縮です。マッカーサーの証言に関しては、それこそ、牛田さんの連載が一冊の本になれば、一番わかりやすいと思います。本書には私も驚きました。興味があればお読みになってみてください。
milestaさん (VIVA)
2006-08-15 14:13:00
本当でした。小堀さんも言及されていましたね。いつも、情報ありがとうございます。夏休みがあけたら、きちんとこちらからもリンクさせてもらいますね。これからもよろしくお願いします。
ちょっと思いついたので (yo)
2006-08-18 00:16:29
劇画日本国憲法の誕生(勝又進)

http://www.7andy.jp/books/detail?accd=19990211

をご覧になったことはありますか?

脇道で、しかもマンガですが、おもしろいかと思います。
yoさん (VIVA)
2006-08-18 00:25:16
いや、今拝見しましたが、まったく記憶にありませんでした。情報ありがとうございます。チェックしておきますね。
トラックバックのこと (お絵かきじいさん)
2006-08-20 02:37:52
こちらのトラックバック用URLをコピーしIZAの私のぶろぐにコピーして、正常に受け付けられているのですが、こちらのトラックバックのリストには上がていないようですね。

ということなんですが。
track backを受け付けない (お絵かきじいさん)
2006-08-20 07:17:15
どうも、gooのtrack back url をizaのシステムはうけつけないみたいですね。

エラーが出ます。
お絵かきじいさん (VIVA)
2006-08-20 08:13:55
おはようございます。

イザのブログからもできましたよ。正論の編集長のブログからもTBいただきましたし…。どうなっているんでしょうか?
今度はうまくいったようです (お絵かきじいさん)
2006-08-21 02:42:43
今度はうまくいったようですね。今まで何がまずかったんだろう?
お絵かきじいさん (VIVA)
2006-08-21 05:00:04
確かに来ております。せっかくのご縁ですから…。良かったです。本当にありがとうございました。

それにしても、美しいゆりの絵、です。ため息が出ます。



私もしょっちゅう、娘(2歳)とお絵かきをしております。



まじめに描いてものようになってしまいますが。



これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
Unknown (蒼風)
2006-12-09 09:04:38
調べ物をしていて漂着しました。探していた本です。どうも有難う御座いました。
尚記事にしてTBもさせていただきました。今更ですが・・・。
蒼風さん (VIVA)
2006-12-09 14:19:25
はじめまして、よくいらっしゃいました。VIVAと申します。すごい本というか、貴重な証言でしたね。もっともっと取り上げられてしかるべき一冊なのですが…。

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