21世紀の徒然草

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第99回「21世紀の徒然草」

2009年11月02日 | Weblog
連載を終えるにあたって:「人生の友」

 オランダとドイツから講演者を招いての「順天堂大学がん生涯教育センター」第3回国際シンポジウム「がん医療の懸け橋」の開催が無事終了した。時代は「懸け橋」を求めている。翌日は、長崎市医師会市民健康講座「がん哲学&がん哲学外来」に赴いた。驚いたことに、ポスターは筆者の似顔であった。余りにも上手な出来上がりと、イメージ感のある作品に大いに感激した。

 翌日は、長崎大学医学部 良順会館で「30年後の医療の姿を考える会」の秋季大会「がんと共に生きる人々が自分らしく生き抜くのを支えるためにーイギリスからの新しい風と光をヒントにー」が開催された。「良順」とは「松本良順」のことであり順天堂大学の「創始者:佐藤泰然」の息子である。シンポに先立って、長崎の街を散歩した。中学時代の修学旅行以来、約40年ぶりに、平和公園の「徹底した毅然たる姿勢を持つ」平和祈念像の前に立ち、ことの重要性を改めて静思する時であった。

 壊死に陥った組織の再生は「中心でなく辺縁の細胞から」起こる。活気ある長崎在宅Dr.ネットの皆様の存在に触れ、「医療の維新」に向かって長崎から21世紀の「医療の船中八策」が出る予感がした。来年の大河ドラマは「龍馬伝」とのことである。「坂本龍馬 & 勝海舟」の時代的出番ではなかろうか! まさに「歴史に学ばなければ、歴史が教えにやって来る」である。

 先週は、東海大学医学部での病理学の講義に参上した。授業後、数名の学生から拙著『がん哲学』の希望があり、感動した。昨日は、千代田区高齢者センターで「2人に1人がかかる国民病—がん予防と医療の現代—」と題して、75歳以上の人々の前で講演した。驚いたことに、会場は満員であった。60分の講演を寝ることなく聴いて下さり、90歳のお婆さまからも質問を受けた。人生清々しく思った。また、後で、「新渡戸稲造に似ている」と言われ、大変嬉しかった。

 今日は、大学での「解剖慰霊祭」に参列した。病理解剖を担当する病理学者としての務めであり、何時も背筋が伸びる時である。まさに「自ら悲哀をその性格とする人たらざるをえない」。

 ところで、「21世紀の徒然草」も、今回で99回を数える。この連載は「to be」の樫本氏とともにあった。この10年間、筆者の文章の編集を黙々としてくださった「人生の友」である。「21世紀の徒然草」の連載はここに終了し、『がん哲学外来』(to be出版)の改訂版に収録されるとのことである。まさに「涙のうちに種をまく人は、喜びのうちに刈り取る」である。新たな門出としての「to be」の新連載は、中川清氏、秋月由紀氏に引き継がれスタートする。