飽食山河

詩を書いています。感想、コメント歓迎です。

白い歯

2017-08-29 09:44:41 | 2017.07

白い歯が嫌い

効果線発しているようで嫌い

声が大きいんだろ

顔がしわで歪むんだろ

百メートル先からでも

笑ってんだろ

 

虫歯は見せない

銀歯も見せない

犬歯も見せない

その面の中心

歯列

 

便器みたいなもん

便器砕いて差してんだろ

ナントカ素

ナントカ酸

ドルの匂いしかしねえ

白い歯


マンボウ

2017-08-23 08:44:34 | 2017.07

マンボウが飛んでいる

三半規管の中

ゆく ゆく

 

眠っているのか

驚いているのか

ゆく ゆく

 

上からも 下からも

光がくる

だからひっくり返る

 

マンボウの体は広い

海馬 腎臓

くすり指 半月板

 

あー

誰か呑み込まれた

あー


二本足の蜂

2017-08-17 12:12:03 | 2017.07

あしのちぎれた蜂から

物語は始まる

あしはもともと六本あったはずが

今では二本だ

一対の大きな手

拍手をする 喜ぶ手

胴体は相変わらず

黒くてつややかで

元気そのもの

 

あしをもって蜂というのだろうか

 

とぶのが蜂ではないか

 

巣を持っていっちょう前の蜂か

 

二本足では、どう?

 

蜂の魂は泳いでいる

雷鳴と蝉時雨

夏を見届けに

昼も夜も忙しい


さみしい人

2017-08-12 14:37:27 | 2017.07

ぼくは十七歳

ぼくは十四歳

わたし、八歳

いろんな人がいるね。

 

あの人は十二歳

いっぱい悲しくて

そのぶんいっぱい楽しいんだって

友だちのにおいや

歩く音

ずっと宝物なんだって

 

みんなさみしいね

出会えてうれしいね

さみしい人が

いろんな人に出会うんだよ

心をぎゅっと

抱いてほしいんだね


台風

2017-08-07 15:16:16 | 2017.07

斜め後ろからそっと

見守ってくれてありがとう

ワゴン押すの

手伝ってくれてありがとう

 

夢から醒めても

歌ってくれてありがとう

キャベツの千切りを床に落としたとこ

ティッシュ傍にあってありがとう

 

台風のせいか

私は左回りで進行

すべてに感謝する

 

これまで出会った人 ありがとう

これから出会う人 ありがとう

 

今年初の台風が

私の部屋にもやってきた