巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
【連絡先】
cosgyshow@gmail.com

僕達のあるべき場所

2017-01-06 22:22:30 | 
僕は究極に意地悪な男
廻り行く月に通せんぼする
満月の夜だというのに
あの美しい円弧を神隠し
夜空の星々は路頭に迷う

自然を愛する君は
太陽と隠れんぼする
寒さとは裏腹に眩い陽射しの中で
君は陽炎のように姿を隠しては
精霊達を幻惑させる

影法師と追いかけっこする子供達
僕達はいつの間に遊び心を失ったのだろう
人波に埋もれ、平常心を保つのに四苦八苦
ほら、僕はまた君の姿を見失った

ねえ、見てご覧
あれがこの世の果てだよ
君が真っ直ぐ指差す先が
希望に満ち溢れた未来なのか
絶望に至る苦難の道程なのか
心に余裕のない僕は知る由もない

そろそろ帰る時が来たのかな
僕は今まで先送りにしてきた決断を
今まさに下そうとしている
果たして何が正解なのか、僕も君も知らない

時の魔法

2017-01-06 00:03:37 | 
僕はこの目眩く広い世界の中で
見えない力が働くのを身を持って感じる
いつ離脱する覚悟もできている僕を
時は懸命に引き留めようとする

何が僕を生かしているかなど知らず
僕はただ時代の恩恵に与っている
こんな気儘で幸せな人生が
いつまで続くというのか

時はオートマティック
僕が何をしなくても街は色づく
夢や憧ればかり見ていた時代は
とっくに通り過ぎたというのに

決して忘れ得ぬ思い出だけが
人間嫌いな僕を群衆に引き寄せる
何故か繋がりを切らない僕の心は
思いの外遠くまで届いているようだ

何かを目指して熱く生きた頃よりも
脱力した今のほうが遥かに輝いて
それはある意味皮肉なのだけど
きっとそれだけ経験値を積んだのだ

無謀過ぎた若かりし日々を懐かしく感じる
身の廻りの何もかもに抵抗していた時代
弛まぬ努力と過ぎゆく時が全てを解決する
そのことに今の僕は確かに気付いている