巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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幸せの形

2016-12-06 20:58:06 | 
この分厚い掌が感じている重みは
僕が君を幸せに導こうとしている証
震えてる腕なら必死で支えるよ
もうすぐ君が待つ場所に辿り着くから

誰に教わるでもない幸せの形
僕は僕なりの幸せを君と探している
赦し合うことが僕達の結論なのなら
それはそれでいい、すべて受け止めるから

公園に響き渡るサクソフォーンの奏で
僕らは腕を組んでその調べに歩調を合わせる
この自由の形が、僕達が求めてる幸せ
周囲にいる人々まで柔らかく包み込みたい

だから君は何時も、何時の時も君のままでいて
僕は君が君である限り幸せを感じられる
夕映えが家路を急ぐ僕の姿を包むよ
僕は僕が君と今を生きている証を得たい

爽やかな蒼空が一面の暗闇に転じるその狭間で
僕達は今きっと同じ星空を見上げてる
バルコニーに身を乗り出した君を見付けて
僕は荷物を持たない自由な手を力強く振った

時の旅人

2016-12-06 20:20:14 | 
朝陽が透き通るような窓外を見渡すと
強めの風に音を立て木々が揺れている
マフラーを纏った人達が首を縮めて
何処へ急ぐのか足早に歩を進める

夜が明け、新しい朝が訪れた
僕が愛した美しいこの港町神戸に
鳥達は羽を休め、樹木は葉を落とし
行き交う人々の流れを見守る

二杯目の苦い珈琲を味わいながら
ただただ時が過ぎ去る早さを呪う
この清々しい朝、至福のひととき
僕はこの街への愛着を捨てきれるのか

僕は時を果てしなく彷徨う旅人
明日には何処にいるか知れない
君が住むこの街も二度と訪れることなく
君の居所さえ見失ってしまうかもしれない

僕は満員電車が停まる反対側のホームで
ごった返す人々の息吹を線路越しに感じる
その誰もに尊き別れを告げるかのように
この街を出て誰も知らない場所へ向かう

君のままで

2016-12-06 01:41:05 | 
季節は停まることなく常に移り変わり
限りなく未知なる未来が織りなす世界
君も僕ももうそろそろ解き放たれよう
遥か遠く過ぎ行く時の呪縛から

零れ落ちる木漏れ日の陽だまりに佇み
いつか君は僕にそっと打ち明けるだろう
恋愛感情なんて意識しなくていいよ
君にしかわからないサインを送るから

澄み切った空気を胸一杯吸い込んで
眩い太陽の残像を埋め合わせる僕達
豊かな大地を飽きもせず駆け巡る
僕達は子供のまま飾らなくていい

いつか君と聴いた心地よい音楽が
ラジオを通してひとひらの幸せを運ぶ
僕の心が感じる軽やかな君の足取り
君はそのままでいいよ、君のままでいいよ

僕らはこの年齢になって本質に気付いた
過ぎ去った時代が紡ぎだす自然体の笑顔
日々を慈しみ、季節を彩り、歳月を重ねる
そんな人生をありのままの君と歩んでいく

巡り来る朝

2016-12-06 00:27:28 | 
透き通るような朝陽が窓外から射し込む
道行く通行人は白い息を吐きながら先を急ぐ
こんな生活が毎日のように続いたら
辛さも苦しさも消え去ってくれよう

僕の寝息を溶かす新しい朝の訪れ
希望に満ち溢れた一日の始まり
足早に急ぐ人波を見降ろす静寂なビル群
僕は深呼吸し、出発の準備を始める

知らず知らずのうちに
見慣れたはずの街は変わり行き
いつの日か襲った災禍は何処へ
美しい港町、この街のどこかで
君が僕に呼びかける声が聞こえる

流れに身を任せて生きてきた
あの日から昨日までのこの僕に
今日という新たな一日が加わる
心の絆をいつまでも大切に
懐かしき友よ恋人よ、また夢で会おう

心地よい夢から醒めた僕は
昨夜の邂逅を思い出し思わず顔を綻ばせる
あんな風にもう一度出会えたらいいな
僕は叶わぬ想いを胸に客室のドアを開ける