トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

あーちゃんの目

2009-08-23 09:30:12 | あーちゃん
お兄ちゃんの目は吸い込まれそうな位大きいがあーちゃんの目はとてもちっちゃい。

朝、起こすとき『あーちゃん。朝だよ。おめめあけて』って言うと

『もう。あいてるよ。ほら!』と一生懸命開いて見せる。

その姿が可愛くて
『えーー?。あいてないでしょ。ほら。ぱっちりあけて』

『あいてるでしょ!ほら!』とますます大きく開こうとする。

『ほんとだ。可愛い目がぱっちりあいたね』と笑うのが朝の日課だ。


友達が実家で採れたブルーベリーの実を持ってきてくれた。

『これ、なあに?』とあーちゃんが不思議そうにかごを覗き込んだ。

『ブルーベリーだよ。目に良いんだよ』と言うと

『ほんとーーー!?』と叫び一粒食べて、洗面所に走って行った。

『どうなった?どんな目になった?』と鏡を覗いている。

『ん?』と首をかしげ、ダダダッ!と走ってきてまた一粒食べて、一目散に鏡の前に行く。

『今度は。どうだ?どんな目になった』真剣に鏡を覗き込む。

・・・・・・

『あはは。あーちゃん。目に良いって言うのは良く見えるようになるっていう意味だよ。』

『なんだ。そうか。。素敵な目になるのかと思った』


お兄ちゃんが部屋から
『お母さん。ちょっと見てーー』と叫んでいる。

『なに?』

『俺のTシャツ知らない?』

『ないの?またベットで脱いで下に落ちてんじゃないの?』とベットの下を除くと
壁とベットの隙間にTシャツらしきものが見える。

『ほら。そっちの奥に落ちてるみたいだよ。見てごらん』と言うと

壁とベットに顔をつけて『せまっ!隙間ちっちゃくて見えねー!』と叫んだ。

側に立ってみていたあーちゃんがベットに飛び乗って
『まかして!!あーちゃん、目ちっちゃいから見えるから!」と隙間を覗き込んだ。

『あはは。目が小さいから見えるって問題じゃないだろ!』と兄ちゃんが笑った。

『えへへ。そうなの?』と複雑そうにあーちゃんが笑った。


『お母さん、あーちゃんの目が小さいって言ってごめんね。あーちゃんのお目目、キラキラしてとっても可愛いよ。』

『ほんと?』

『うん。ほんと』

気にしてたんだなぁ。ごめんね。
もう、朝の儀式は終わりにしようっと。












告知と教育コーディネーターとの面談2

2009-08-21 20:06:53 | 
何にモヤモヤしたかと言うと
私は、お兄ちゃんの二学期からの生活を相談したかった。

でも教育コーディネーターさんは延々と経験談と支援クラスとはどんなところか。
高等養護学校へ行くとどうなるか。

自分の教え子達はどう成長して行ったか。の話ばかりだった。

それは、私にとってとても貴重なお話だった。
見学に行く時の注意点なども詳しく話してくださった。

お兄ちゃんがもし高等養護学校へ入ったときのイメージが浮かべることができるほど話は詳細に分かりやすかった。

その、高校生活が私の高校生活とはあまりにかけ離れていて、戸惑ってしまったのだ。

1時間目からリズムダンスで始まり。
5分短縮して休み時間はランニング。
1日通すと毎日30分のランニングをこなす仕組みとなっていること。

とにかく体力づくり。

高校へ入ると療育手帳を取得して、自立を目指す。
正社員になる生徒は殆どいず、障害者年金とアルバイトやパート収入または工賃を貰って生活をする。

ある、支援施設では就職できた生徒の写真を額に飾り、生徒達は自分も飾って貰う事を目標に頑張っている事。

その話のどれもが詳細にイメージできるのだがお兄ちゃんに当てはめる事ができなかったのだ。

そして、二学期からの生活をどうしたら良いかと聞いたとき、無理に支援クラスに来なくても良いですよと言った。

でも、通常クラスで支援は受けられますか?(電卓やグループ学習の配慮や追加の補習など)と聞くと困惑したように黙ってしまった。

そして、支援クラスの様子をまた話し出す先生。

聞いているうちに支援を受けたいなら支援クラスに来てくださいと言う事なのだと
感じてしまった事。

通常クラスから見学もせずにそのまま高等養護学校に入った子もいますよと言いながらも『体力づくりはもう中学の支援クラスでは始まっているので入ったときに差がでるかもしれない』とか。

『支援クラスのお母さん方は中学1年の段階から高校見学に行ってます。』とか。

みんな、真剣にもう進路を考え進んでいますよ。

お兄ちゃんの今の生活はムダですよ。って聞こえてしまったのだ。

確かに、分からない授業を聞いている時間は無駄なのかもしれない。

でも、私はワークブックを答えを見ながらも一生懸命勉強するお兄ちゃんの背中をずっと見てきたのだ。

お兄ちゃんは勉強が得意ではない。
でもお兄ちゃんは勉強が好きな方だと思う。

宿題だって提出物だって一生懸命やってきた。
テスト勉強だって、泣きながら二人で頑張ってきた。

その全てがお兄ちゃんの苦痛でしかなかったとは思いたくなかったのだ。

『障害を認めたくないって高校に入学しても思うお母さんがいて、学校でトラブルになってしまうこともあるんですよね』と話したことは私に向けられた言葉だと感じた。

そう。私は、定時制だって頑張れば入れるかもと言われたら、定時制に入って欲しいって思ったのだ。

通信制では定員に満たなければ成績無視で誰でも入れると言われれば、通信制の普通科に入って欲しいと思ったのだ。

だけど、それがお兄ちゃんの為になるのかと考えた時。。。。
違うだろうなと落胆したのだ。

で。。。。。

しばらく考えてお兄ちゃんに全部相談の内容を話してみた。

お兄ちゃんは『今は、このままで良いよ。修学旅行行きたいし。』とあっさり、さっぱり何でも無い事のように言った。



『今はまだこのままで良い』

そうだな。

辛くなったら支援クラスに行けば良い。

全ての答えはお兄ちゃんが持っているんだ。

お兄ちゃんが思うように進んでいけば良いんだ。

遠回りになっても、足踏みしても、これからはお兄ちゃんと二人三脚で
進めば良いんだ。

お兄ちゃんと決めれば良いんだと思ったらなんだか全ての答えを急がなくても良いと思えて楽になった。

慌てず、焦らず、ゆっくりと。


依存症って恐いね

2009-08-20 22:31:27 | 
久しぶりに依存症って恐いって感じた。

自分の理屈に周りを捻じ曲げて

依存症だって全然気がついてなくて

恐いね。

背中がゾーッと寒くなる感覚を久しぶりに思い出した。

舅の
『飲んで死ねれば本望だ』
そんな声が久しぶりに聞こえてきた。

恐いね。

恐いね。

恐いね。

告知と教育コーディネーターさんとの面談 1

2009-08-13 20:38:29 | お兄ちゃん
お兄ちゃんにようやく全てを告知できた。

目で分かる様に表を作って、色を塗って、得意な事を沢山書いた。

『お兄ちゃんは自転車1日でお母さんの手を借りずに一人で補助輪なしで乗れたよね。凄いことなんだよ。
お兄ちゃんは逆上がりも、自分で練習してすぐできるようになったよね。これも凄いんだよ。
あと、洗濯物のたたみ方も母よりも上手いし。掃除も得意。
あーちゃんをしっかり守る事もできる。
バスケットもゴールにボール入れるの得意だよね。

お兄ちゃんは動作は15歳位の力があるんだって。

ところが言葉は言いたい事が喉まで出てるのに纏まらなかったり、
先生の沢山の指示の意味が分からなかったりするよね。

こっちの言葉の理解が11歳位なんだって。

こっちが15歳でこっちが11歳。
この差を『発達障害』って言うんだって。

それでこっちの15歳の動作をうんと頑張って伸ばしていったら、良いんじゃないかなって相談員の先生に言われたんだよ。

その動作を伸ばすために『高等養護学校を勧められたんだ。』

『うおー』とか『すげー』とか言いながら聞いていたお兄ちゃんは、『そうかぁ。俺って動く方があってるかもね』と落ち着いて聞いてくれた。

教育コーディネーターさんとの面談の前にお兄ちゃんの告知を済ませておきたかったので、上手く伝えられて本当に良かった。


面談は始終『高等養護学校』の説明が主だった。

相談員さんは『その子にあった教育を考えてくれる人』と言っていたが、ちょっと違うのかなと不安になった。

コーディネーターの先生は、うちの学校の支援クラスの担任も受け持っている。
開口一番『虐められていませんか』だった。

なじめていないのなら支援クラスへ異動してみてはと言いたかった様だ。

『去年、初めてお兄ちゃんの障害に気づき、先週やっと告知できて、本人も受け入れられるようになったばかりなのです。
支援クラスの話もしましたが、本人は、まだそこまで考えがまとまっていないようでした。』


支援クラスではもう中学の勉強はしていないこと。
もう、高校へ入るための試験の練習をしていること。
高等養護学校は殆どが作業の授業なので体力づくりが欠かせない事。
高等養護学校は、卒業後殆どが作業中心の仕事につくように訓練されること。
学校ごとに力を入れている作業が違う事。

学校によっては卒業後に受け入れる企業を経営しているところもあって、
その為の支援施設に卒業後入所し、企業の仕事をマスターした人から企業に入って仕事をする人もいると言う事。

どの学校でも目指しているのは自立。
仕事をちゃんと続けられる体力と精神力を作る事なんだそうだ。

支援クラスでは高等養護学校へ入っても困らないように、今から体力づくりを始めている。
試験の内容は毎年同じで、今から何度も試験の練習をしていること。

お兄ちゃんの検査の結果から言える事は
『発達障害の中では数字は高い方だと思いますよ。頑張れば定時制などにも受かるかもしれません。受からないかもしれませんが。
ただ定時制に行ったとして、定時制はやはり普通高校と変わらない授業ですから
今より難しい授業を、分からないまま聞いているという状況には変わらないでしょう。
高等養護学校に行きながら塾に通い、改めて定時制を受けたり、大学に行ったお子さんもいます。

みんな、逃げ出してしまったんですけどね。。。。

高等養護学校は行くと子供達は明るくなりますよ。
同じようなレベルですから友達も出来ますし。
勉強は、買い物ができるようになるとか。一般常識の受け答えができるようになるようにとかですから。

お兄ちゃんは数字も高いですし、養護学校も点数の高いほうからとって行きますから、お兄ちゃんなら受かるんじゃないですか。

通常のクラスから養護学校を受ける子供もいますよ。
中三の三学期から、試験の練習の為に支援クラスに異動するお子さんもいましたし。

無理に支援クラスにくる必要はないですよ。

私の癖はその人の言葉の裏を読んでしまう事。
真綿にくるんだように話されることもその奥を感じ取ってしまう。

私は、2時間もの長い面談の中でモヤモヤと心に何かが貯まっていくのを感じていた。
そしてその貯まっていくものに自分が潰されそうな気持ちになるのを必死にこらえながらも面談は続いていったのだった。

(続く)




お兄ちゃんの成長

2009-08-04 19:35:30 | お兄ちゃん
最近のお兄ちゃんは凄く成長していると感じる。

まず、
夏休みに入る直前から『宿題は早く済ませたほうが後でゆっくり遊べるから』と言って、時間を見つけては宿題を自分からやっている。
今まで、付きっ切りで宿題をしてきたが今年は『お母さんの手伝いは要らない』と言う。

去年はひとりの留守番に飽きてなのか情緒的に不安定だったからか、家の貯金箱からお金を盗んでゲームセンターに行ってしまっていたが、今年はそういうことはまったくなくなった。

1人でゲームをしたり、自転車で散歩に出かけたり、家の手伝いをしていてくれたりする。

離れていた友達も何日に一回くらいは遊びにくるようになった。

そして、数日前、用事があって帰宅が遅くなった。
あーちゃんが帰ってきそうな時間に電話をしたが、誰もでない。
お兄ちゃんと遊びに出かけたかなと思ったけど、やはり心配になって
急いで家に帰った。

玄関にあーちゃんのリュックが置いてあった。

帰ってきたんだなと思いホッとして家に入ると、机に
『あーちゃんの自転車の練習に出かけます。6時までには帰ります』と置手紙があった。

私が心配するだろうと考えて書いて行ったのだと思った。

自分の行動で相手がどう思うかを想像する事ができるようになったんだと
感心した。

これは、お兄ちゃんにとってもの凄く大きな進歩だと思う。

友達への電話も『しつこくすると嫌がられる』とちゃんと理解できるようになった、

今日は帰ると友達が来ていた。
2人の会話はちゃんと成立していた。

一方的にお兄ちゃんが話し続ける時もあるけれど、友達が話すときはちゃんと耳を傾けているのが分かる。

こんな風に急成長できたのはやはり先生や周りの人の支援のおかげなのだと思う。

周りが息子を励まし、褒め続け、ありのままを認めてくれたからこそ、息子は
自信を取り戻す事ができたんだと思う。

先日、高等養護学校のパンフレットを見せた。

学校の名前でパニックになるかと思ったけど
『ふうん。楽しそうだね。このグランドにゴルフできるところがあるんだね。やってみたいなぁ』とまんざらでもないようだった。

障害名については、言わなくても良いかなと思い始めている。
障害名をしったところで支援は同じだし、難しい障害名を告げてお兄ちゃんの
不安をあおるのもどうかなと思うからだ。

日常で、苦手な部分と得意な部分を分けて使うようにしている。

お兄ちゃんも『俺の頭はここが難しいんだよなぁ』と失敗した時は呟いているが
すかさず『そうだね。でもそれを気がつけたのは凄いよ。気がつければ次から失敗しないでしょ。凄いなぁ』とフォロー。

自分には苦手な部分もあるけれど、得意な部分は伸ばすことができるんだと知って欲しい。

障害を知った時相談員さんが『お兄ちゃんには武器が必要です』と言った。

お兄ちゃんにとっての最大の武器は、周りの『ありのままの君で良いよ』と言う
言葉だったのだと思う。