「ただいま」と元気のない声で息子が帰ってきた
ソファにドサッと倒れこむように転がってテレビを見出す
今日も友達はゲームを返してくれなかったんだなと思った
「あーーーー。ゲーム戻ってこないよー」と大きな独り言を呟く
あーちゃんが「兄ちゃんあそぼ!あそぼ!」と纏わりついている事も
煩そうに押しのける
あーちゃんがぎゃーぎゃーと「あそぼう!あそぼう!」と叫ぶ
「うるさい!」と部屋が揺れるほど大声で怒鳴って部屋に閉じこもる
あれからいろいろ試してみた
でも相手が認めない以上待つより他なかった
息子のこの様子を見ているうちに私はあっという間に息子と一体化してしまった
息子の苦しみが私の苦しみとなり、最初は息子と考えていた作戦を
いつしか私が主導権を握って
「今日はあーしてみなよ。」「今度はこうやって言って脅かしてやれ」とせっつくようになっていった
そしてセーブしていた共依存の癖が出て相手の男の子をコントロールしようと
しだした
こうやって追い詰めれば白状するんじゃないか
こうやってやれば反省するんじゃないか
もう私の暴走は止まらなくなってしまった
そんな私の息子への進入が息子を追い詰めているとは全然気がついていなかった
毎日家の空気が暗くて荒んでいる事が私には耐えられなかった
ちょっと待つと言う事が苦手ですぐに結果が出ないと満足できなかった
息子の荒れた様子もゲームが戻ってくれば解決するんだという思い込みに取り付かれてしまった
本当に私の回復はあっという間にスリップしてしまう
遂に息子は「あの子もあいつと遊んでいて盗られたって言ってた」
「4年生のあの子も盗られたって言ってた」と言い出した
最初は「やっぱりそういう実績があったのか!」と息子と2人して鼻息荒く
その子の事を話していたが途中から話がかみ合わなくなってしまった
おかしいな?と感じて「ねえ。その話は本当の話?お兄ちゃん作り話してるんじゃないの?」と聞いた
「嘘じゃないよ!本当なんだ!それに隣のクラスにも噂が広まってもうみんな知ってるんだから!」と言う
「お兄ちゃんがみんなに言いふらしたんじゃないの?」
「違うよ。みんなが言ってたんだ。みんな!!」
ドキドキと心臓が鳴って止まらない
私は大きな間違いを犯してしまったんじゃないか・・・
急に不安になってしまった
冷静に聞くと息子はあっさりと「他の子も被害にあっていると言うのは嘘・・・」と言った
「お兄ちゃんはありもしない事を他の子に言ったんじゃないでしょうね。事実に嘘をつけて話を作ったら本当の事も信じて貰えなくなってしまうんだよ」
「うん。」しょんぼりして息子が頷く
懇々と説教をすると息子は物も言わずにそのまま疲れたように布団をかぶって寝てしまった
がっくりして子育て掲示板に相談してみた
「あなたがお子さんの気持ちを増長していませんか?子供と同じ土俵に降りていませんか?」と指摘を受けた
頭から水を浴びせられたように目が覚めた
私がする事は息子の怒りを逃してやることだったんじゃないか
「はぁぁぁぁぁ」やってしまった。全く何をやっているのだろう
猛反省である。
次の日の朝息子が夫に「あの子の家に電話して」と頼んでいた
夫も息子と一体化しているから「よし!怒鳴りつけてやる!」と意気込んでいる
「ちょっと待って・・・。もうあちらのお母さんにも話したしこれ以上は待つしかないんだと思う」
「何言ってんだ!あいつが盗んだ事は明白だろう」と夫はイライラとしながら言った
「でもね。証拠がないんだよね。盗んだ所を見たわけじゃない。あの子の他にも
友達が来ていたんだし、相手に濡れ衣だ!泥棒扱いされたと騒がれたら傷つくのは
お兄ちゃんなんだよ。こうやって毎日、お兄ちゃんがこの事に囚われて怒りに
押しつぶされそうになっている事の方が私には心配なんだ。」
「そんな野放しで良いのかよ」
「だって毎日あの子に会うのはお兄ちゃんなんだよ。これ以上騒いでお兄ちゃんが二重に傷つくほうが心配だよ」
夫は納得行かないようだったがそれ以上は言わなかった
お兄ちゃんが黙って聞いていた
私は「お兄ちゃん。事実はあの子と遊んでいてゲームがなくなった。それしかないんだよ。盗んだ所を見たわけじゃないし、あの子の家から見つかったわけでもない
お母さん、お兄ちゃんが話を作ってまでもゲームを取り返したかった気持ちよく分かったから。お兄ちゃんがゲームがなくなって悔しい気持ちも良く分かったから
でもこれ以上深追いしたら反動でお兄ちゃんも傷つくことになると思う
ゲームはまたお小遣いを貯めれば買う事もできると思う
どうする?どうしたい?」
じっと私の目を見つめていた息子は
「わかった。お小遣いを貯めてもう一度買う」と静かに言った
息子はその後全くゲームの事を口にしなくなった
吹っ切れたようにあーちゃんと転げまわって遊んでいる
私の回復は行ったり来たり。
反省。反省。の週末だった
今日も聞いてくれてありがとう
ソファにドサッと倒れこむように転がってテレビを見出す
今日も友達はゲームを返してくれなかったんだなと思った
「あーーーー。ゲーム戻ってこないよー」と大きな独り言を呟く
あーちゃんが「兄ちゃんあそぼ!あそぼ!」と纏わりついている事も
煩そうに押しのける
あーちゃんがぎゃーぎゃーと「あそぼう!あそぼう!」と叫ぶ
「うるさい!」と部屋が揺れるほど大声で怒鳴って部屋に閉じこもる
あれからいろいろ試してみた
でも相手が認めない以上待つより他なかった
息子のこの様子を見ているうちに私はあっという間に息子と一体化してしまった
息子の苦しみが私の苦しみとなり、最初は息子と考えていた作戦を
いつしか私が主導権を握って
「今日はあーしてみなよ。」「今度はこうやって言って脅かしてやれ」とせっつくようになっていった
そしてセーブしていた共依存の癖が出て相手の男の子をコントロールしようと
しだした
こうやって追い詰めれば白状するんじゃないか
こうやってやれば反省するんじゃないか
もう私の暴走は止まらなくなってしまった
そんな私の息子への進入が息子を追い詰めているとは全然気がついていなかった
毎日家の空気が暗くて荒んでいる事が私には耐えられなかった
ちょっと待つと言う事が苦手ですぐに結果が出ないと満足できなかった
息子の荒れた様子もゲームが戻ってくれば解決するんだという思い込みに取り付かれてしまった
本当に私の回復はあっという間にスリップしてしまう
遂に息子は「あの子もあいつと遊んでいて盗られたって言ってた」
「4年生のあの子も盗られたって言ってた」と言い出した
最初は「やっぱりそういう実績があったのか!」と息子と2人して鼻息荒く
その子の事を話していたが途中から話がかみ合わなくなってしまった
おかしいな?と感じて「ねえ。その話は本当の話?お兄ちゃん作り話してるんじゃないの?」と聞いた
「嘘じゃないよ!本当なんだ!それに隣のクラスにも噂が広まってもうみんな知ってるんだから!」と言う
「お兄ちゃんがみんなに言いふらしたんじゃないの?」
「違うよ。みんなが言ってたんだ。みんな!!」
ドキドキと心臓が鳴って止まらない
私は大きな間違いを犯してしまったんじゃないか・・・
急に不安になってしまった
冷静に聞くと息子はあっさりと「他の子も被害にあっていると言うのは嘘・・・」と言った
「お兄ちゃんはありもしない事を他の子に言ったんじゃないでしょうね。事実に嘘をつけて話を作ったら本当の事も信じて貰えなくなってしまうんだよ」
「うん。」しょんぼりして息子が頷く
懇々と説教をすると息子は物も言わずにそのまま疲れたように布団をかぶって寝てしまった
がっくりして子育て掲示板に相談してみた
「あなたがお子さんの気持ちを増長していませんか?子供と同じ土俵に降りていませんか?」と指摘を受けた
頭から水を浴びせられたように目が覚めた
私がする事は息子の怒りを逃してやることだったんじゃないか
「はぁぁぁぁぁ」やってしまった。全く何をやっているのだろう
猛反省である。
次の日の朝息子が夫に「あの子の家に電話して」と頼んでいた
夫も息子と一体化しているから「よし!怒鳴りつけてやる!」と意気込んでいる
「ちょっと待って・・・。もうあちらのお母さんにも話したしこれ以上は待つしかないんだと思う」
「何言ってんだ!あいつが盗んだ事は明白だろう」と夫はイライラとしながら言った
「でもね。証拠がないんだよね。盗んだ所を見たわけじゃない。あの子の他にも
友達が来ていたんだし、相手に濡れ衣だ!泥棒扱いされたと騒がれたら傷つくのは
お兄ちゃんなんだよ。こうやって毎日、お兄ちゃんがこの事に囚われて怒りに
押しつぶされそうになっている事の方が私には心配なんだ。」
「そんな野放しで良いのかよ」
「だって毎日あの子に会うのはお兄ちゃんなんだよ。これ以上騒いでお兄ちゃんが二重に傷つくほうが心配だよ」
夫は納得行かないようだったがそれ以上は言わなかった
お兄ちゃんが黙って聞いていた
私は「お兄ちゃん。事実はあの子と遊んでいてゲームがなくなった。それしかないんだよ。盗んだ所を見たわけじゃないし、あの子の家から見つかったわけでもない
お母さん、お兄ちゃんが話を作ってまでもゲームを取り返したかった気持ちよく分かったから。お兄ちゃんがゲームがなくなって悔しい気持ちも良く分かったから
でもこれ以上深追いしたら反動でお兄ちゃんも傷つくことになると思う
ゲームはまたお小遣いを貯めれば買う事もできると思う
どうする?どうしたい?」
じっと私の目を見つめていた息子は
「わかった。お小遣いを貯めてもう一度買う」と静かに言った
息子はその後全くゲームの事を口にしなくなった
吹っ切れたようにあーちゃんと転げまわって遊んでいる
私の回復は行ったり来たり。
反省。反省。の週末だった
今日も聞いてくれてありがとう