みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

鷗外忌

2017年07月09日 | 俳句日記

梅雨が明けたのですかね?
ご覧の通りの空です。
蝉の声も、力強く聞こえます。

ここ数日の豪雨被害は、近年に無いこと
のようでした。
被災者のためにも、復旧に努めておいで
の方々の為にも、早く明けて欲しいもの
です。

ところで今日は、森鴎外先生の忌日。
「鷗外忌」として季語になっています。
漱石先生と並ぶ明治文壇の雄ですから
当然と言えば当然です。

東京大学医学部から軍医学校を経て、
陸軍軍医として奉職しながら、文芸
雑誌「しがらみ草子」を創刊して文壇
の評論を始めたまではいいが、ついに
は、自ら小説や翻訳本を発表するに至
っては、超人的な頭脳の持ち主であっ
たことは間違いありませんね。

ところが、日露戦争に軍医として従軍
した際、兵士の中に「脚気」でバタバ
タと倒れる者が続出したことへの対応
に誤りがあったと批判されました。

感傷的な私小説風の作品が多い田山花
袋が、ちょうど鷗外が軍医として最高
位の軍医総監についていた頃、「一兵
卒」という社会派的な作品を書いてい
ます。

病気で本隊に置いてきぼりにされた兵
隊さんが、砲声が殷殷と鳴る中を、隊
を追って歩きに歩き、追いつく寸前に、
ある廃屋の中で「脚気」の痛みに耐え
かねた苦悶の表情で死んでいた。

もう随分前に読んでいたのですが、そ
の後、鷗外先生の軍の栄養管理に判断
ミスがあったことを知ったのです。
晩年の実証的な歴史小説の中に、鷗外
先生は、その時の忸怩とした思いを込
めて居られるのかも知れませんね。

〈神ならぬ 身に心あり 鷗外忌〉放浪子
季語・鷗外忌(夏)

7月9日〔日〕薄日晴れ
鷗外忌を書こうと思った。
ダンボールから日本文学史を
探し出すのが大変だった。
弟から酢ダコと冷酒の誘い、
そそくさと出掛ける。
郡山は、梅雨あけでもないのに
茹だるような暑さ。
福島市は36.5度とのこと。
何時もの事のように、
日本人は頑張っている。