たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2018/1/13(土)14(日) マイナス4度、年明けの一勝一引き分け。

2018-01-22 | たまおの星便り

 スーパームーン満月期の年初から冬型が強まり房総は乾燥した晴天が続いた。13日の土曜日は午前2時半過ぎに海岸に到着した。寒波襲来でマイナス2度から気温はさらに下がり始めていた。ほとんど風のない砂浜に機材を運び込んでまず例によってテスト撮影をいくつかしたあと、おとめ座の62P紫金山第一彗星とてんびん座の24Pショーマス彗星を狙う。それぞれ目盛り環を使って近くの輝星から赤経赤緯の差分だけ鏡筒を手動で動かす。30年物のSPDX赤道儀ならではの古風な導入手法は離角が大きいと誤差も大きいが、何より簡単迅速なのがいい。やがて新月まであと5日の細い月が洋上低空の雲間から顔を出す。予想外に明るく空を照らし海岸に砕ける波頭もはっきり見えだした。月から離れた空域に筒先を向けながら30分ほど撮影を続けていると低空の雲がせり出し徐々に南天を覆い始めた。東天にすでに輝いているさそり座やへびつかい座など夏の星々が次第に雲に飲み込まれ、さらに30分ほどで曇ってしまった。真冬の夜に富士山から関東南岸の海にかけて湧き出す雲にまたしてもやられてしまった。結局、薄明まで待たずにマイナス4度の海岸から退散した。
 翌14日は直前まで気象衛星画像をチェックして奇襲するような雲の痕跡がないことを確認してから出発した。海岸の気温はすでに前日未明と同じマイナス2度まで下がっていた。いつもの駐車場に先に車が停まっていて望遠鏡が見える。やや強い北西風が吹いていたので海岸ではなく駐車場の西側端に観測場所を決めてから挨拶に向かう。八千代市から来られた初対面のSさんはあまりに寒いので撤収するとのこと、車に載ったオライオンの25センチ?反射を帰りがけに見せてくれた。薄明開始まで2時間半しかないので少し話をしただけで機材の設置に戻る。遥か東方沖で時おり稲光がするが雲の心配は全くない。昨夜と同じようにフルサイズの写野テストをした後に東天の62Pと24Pの2彗星を撮影する。さらに半分で終わった昨夜の撮影メニューの続きを黙々とこなしていく。木星と火星が南東の空に高く昇るころ美しい逆三日月が見え始めた。透明度が高いだけに月明りも眩い。風が弱まりマイナス4度を下回るほど寒くなったが冴え冴えとした夏の星空が昇る中で5時過ぎの薄明を迎えた。

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