たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2017/8/21 北米日食爆走3000キロ、興奮と困憊の7日間。

2017-09-09 | たまおの星便り



 雲間から奇跡的に見えたケアンズ皆既日食から5年、小学生の頃、わくわくしながら見た懐かしの西部劇「ララミー牧場」の近く、アメリカ中西部の大平原までまさか自分が行くことになろうとは思わなかった。ロサンゼルスを経由し、問答無用の厳しい入国検査を抜けてソルトレイクシティーに着いたのは現地17日の夜。ABC放送でも21日は若干の雲があるが晴れ予報、日食グラスが各地で売り切れていると報じていた。

 今回は「地団研」という中高の地学の先生方のグループ向けに企画された日食ツアーに友人と参加した。ソルトレークシティに日食4日前に入り、ほぼ車窓から数億年の歴史を刻む中西部の地層地質を延々と見学、雄大な地形に周りが歓喜している一方で、少数派の日食のみ目当ての天文屋はなんことかわからず、ひたすらバスに揺られていた。
 途中、アイダホホールズ、ショショーニ、リバートン付近の日食中心線を何気なく通過したが、同乗者はほとんど無言で、天文屋2名だけが「線」を通過のつど、歓喜していた。結果、ユタ州からアイダホ、モンタナ、ワイオミングへとバスで移動し5日間で3000キロも爆走することになった(下図 全行程と中西部の車窓風景)。

 それでも日食当日の21日はワイオミング州キャスパー郊外、ノースブラッド川畔にあるTate Pumphouse Trail Centerという水道局施設を借り切って、黒い太陽を5年ぶりに見ることが出来た。途中、ABC放送の撮影取材に応じたりもした。早朝は快晴だったが、部分食が進むにつれて、いわゆる日食雲のような薄い低層雲がかかったこともあってか、今回の皆既は地上の風景が特に明るく感じた。まさにあっという間の2分26秒だった。第4接触の日食終了もそこそこにバス移動、「中西部始まって以来」とニュースで報じられるくらいの大渋滞にはまりながらローリンズに仮泊、ほとんど休む間もなく夜を徹してソルトレークからシカゴ経由成田便へと乗り継ぎ、へたばりながら帰ってきた。(下図は観測地風景と同行の方々の観測風景)



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