たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2010/12/31 今年の航海記録

2010-12-31 | たまおの星便り

 年末は月が夜半に出るので夕方からの星空出航を狙っていたが、仕事納めや年末の家事、天候その他で自宅待機だった。結局、中旬の新月期が今年最後の航海となって一年が終わることとなった。
 2010年は、九十九里を中心に北軽井沢、栃木山中を含め、年間45回の出航だった。そのうち、とにかく一度でも星を見られたのは41回、曇りが4回となるから晴天率は9割を越えている。これは毎回、ネットの衛星画像や「ひまわり霧画像」で雲の動きと晴れ間を確認した上で出航体制に入っていることが大きい。でも、昨年51回、一昨年58回の出航記録にくらべると悪天候に悩まされた一年であったことがわかる。45回のうち夜半前はたった2回、あとは夜半から未明の航海となる。東~南の空が暗い九十九里ならではの結果だといえる。
 出航延べ時間約110時間、もっとも車で往復した距離、概算6800キロに要した時間も優に140時間を越えている。
今年は32cm反射(写真左)の眼視に加えて、キヤノンEOSX2とX3(写真中)で主に彗星の光度観測も始めたことで出航前後の準備や整理にも相当の時間を費やしている。
 年間で訪問したディープスカイ(銀河や星雲、星団)は撮影も含め約300個、眼視または写真による彗星は8個、小惑星15個、国際宇宙ステーション2回、その他の人工衛星約50以上、そして今年も、いわゆるUFOの目撃は0であった。こんな一年を管理人の「たまお」(写真右、近影)とともに振り返る年末となった。

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・2010/12/12 明けの明星と大彗星?

2010-12-26 | たまおの星便り

 季節はずれの大雨が上がり深夜になって急速に雲が切れだした。夜半前まで月明かりがあるので雲の動きを衛星画像で0時過ぎまでじっくり確認しながら、まもなく九十九里は快晴になるだろうと踏んで出発した。未明の到着となるが日曜なので朝の通勤渋滞を気にせずに5時20分の薄明までたっぷりと3時間は観測できる。
 2時過ぎに到着、案の定、全天晴れ渡り、しかも気温7℃の暖かさ。急いで機材のセッティングを始める。
 3時前からまず103Pとすぐ近くのC/2010B1カーディナル彗星の光度観測用写真を撮影、その後、東~南の星域を中心に春夏の星座を一気に駆け抜ける。ふたご座流星群が数個流れ、金星が黄道光の中で眩しいくらいに輝き出す。
 単独航海も一段落した頃、少し離れた砂浜で星を見ている一団に顔を出した。毎年何回か一緒になる「千葉大星の会」の学生さん一行で今回は「カノープスを見に来た」そうだ。やがて薄明が始まり、挨拶もそこそこに岐路に着く。
 この日、2010V1彗星を狙った画像の中で金星と一緒に巨大な彗星状天体が写っていた。もちろん金星のゴーストだとすぐにわかったが、色も姿形もバーストした過去の彗星とそっくりなのに驚いた。
(200mmF2.8 45秒、右はゴーストの拡大) 

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・2010/12/5 洋上の長寿星。

2010-12-23 | たまおの星便り
 昨日に続き冬型の快晴だが温度は急激に下がった。日曜でしかも新月なので晴れてさえいれば帰りの時間を気にせずに夜明けまで星空航海を楽しめる。
 深夜に海岸に到着、すでに0度。冬の銀河がよく見える。西高東低が強いと太平洋遥か東方沖には雲が延々とたなびくが今日は水平線まで見渡せる。
 真南に目を移すと大犬座のシリウスを経て天の川が太平洋に流れ込み、水平線上に全天第2の輝星、カノープスがぽっかりと浮かんで見える。南天に赤ら顔で輝くので「南極老人星」と言われ、低空で滅多に顔をみせず、見えればラッキーということで「長寿星」とも言われる。
 九十九里では洋上そこそこ高く南中し、この時期には馴染みの一等星、春先まで何度もその姿を拝めることだろう。(写真は200mm 20秒)
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・2010/12/4 星海原を進む103P彗星。

2010-12-23 | たまおの星便り
 冬型快晴ながら未明でも8℃とこの季節では異様に暖かい。
 約8等になった103Pハートレイ彗星が冬の天の川に入り、あまたの星くずの中に浮かんで見える。散開星団M46とM47のすぐ近くを通り過ぎようとしていて、3cm双眼鏡では密集した真珠の煌きと同一視野に青いクラゲのようにほのかに光り、どこか神々しい。M46(写真下)の星の群れにうずくまるように惑星状星雲NGC2438が小さく垣間見える。小粒ながら写真では強烈な青緑色をしていて103Pとの対比が面白い。
 日本人の発見した2010V1彗星は早々と暗くなり、東天低く透明度が悪いせいもあって写真でもはっきりしなくなった。
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