たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2016/11/6(日)天高く、妖しく赤い黄道光と密漁車。

2016-11-22 | たまおの星便り

 
 11月最初の日曜日になってようやく雲も風も月も通勤渋滞も気にしないで薄明まで星空航海ができる日がきた。まず、15センチ反射の光軸や撮影システムのチェックをするために、2時半過ぎに東南の空高いプロキオンに向け30秒くらい露出をした。するとEOS6Dのライブビューに写った画像がやけに赤い。気温は8度を切っていてデジカメの熱カブリの可能性は低い。100メートル離れた道路の陰には赤信号が点っているが光を散乱させるほどの濃い海霧もない。PM2.5混じりの黄砂が押し寄せる春先には赤カブリが激しくなるが今日は秋晴れの夜。何が原因だろうと周辺を撮影するとやはり視野が赤い。もしやと思って洋上の空に目を凝らすと、まだ低いしし座周辺から淡い光の巨大な帯が燃え立つように天空に伸びていた。さらに見ると、黄道光はかに座から南天高いふたご座あたりまで蔽っていて、プロキオンはまさにその渦中に輝いていた。何も妨げるもののない暗夜を期待していたが、透明度がまずまずの晩秋の明け方は、黄道光が伏兵となって東天のディープスカイに浮かぶ星雲、銀河、彗星などの微光天体をかく乱していた。

 4時前になってしし座の下半分が見えて来たのでM65,M66、NGC3728で作る「春の銀河ミニ三角」などの銀河に筒を向けた(写真上左)。薄明も近く忙しく操作をしていると、突然、煌々とライトを点けた白いトラックが駐車場に入ってきてそのまま海岸に一気に乗り上げて行った。しかもすぐ近くの浜辺をライトを上向きにしながら行ったり来たりして走り回っている。夏に大きな取り締まりがあったと見えて一時期少なかった海岸への乗り入れも、ほとぼりが冷めたとみたのか、また違法密漁車が横行するようになった。
 薄明が始まった頃、空に青みが戻って来る中、C/2015V2ジョンソン彗星と144P串田彗星の12等から13等の微かな光を捉えた(写真上中、右)。木星もすでに洋上に昇りまばゆく輝いていた。

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