古事記及び日本書記の研究 津田左右吉著
昭和15年(1940年)津田博士によるこの著作が皇室の尊厳を冒涜するという罪名で起訴された。
これは戦争末期の混乱によるもので、博士の研究はそもそも出版法などに触れるものではなく、
その研究方法は古典の本文批判であり、文献を分析批判し、合理的解釈を与えるという立場で
ある。 「古事記」 「日本書紀」は歴史的事実としては曖昧であり、物語、神話に過ぎないという
主張であった。 その結果、天皇の神聖性も否定せざるを得ないし 仲哀天皇以前の記述なども
不確かであるという結論がなされたのである。 右翼や検察側は片言隻句をとらえて攻撃したが、
全体を読めば、国を思い、皇室を敬愛する情に満ちているといってよい。。
本文でクマソ征伐の物語、東国及びエミシに関する物語、神武天皇東遷の物語など章を設けて
原典の記述を考証されているため、読み応えがある。
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