ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

フィル・ウッズ/ウッドロア

2024-05-18 09:56:03 | ジャズ(ハードバップ)

フィル・ウッズについては少し前に「スガン」をご紹介しました。白人でありながらチャーリー・パーカー直系のバッパーとして早世したパーカーと入れ替わるようにシーンに登場しました。彼にとって2枚目のリーダー作である本作「ウッドロア」は1955年11月25日に吹き込まれたもので、ワンホーン・カルテットで思う存分にアルトを吹きまくっています。サポートメンバーはジョン・ウィリアムズ(ピアノ)、テディ・コティック(ベース)、ニック・スタビュラス(ドラム)。うちコティック、スタビュラスとは上述「スガン」やジョージ・ウォーリントンの「ザ・ニューヨーク・シーン」でも共演しています。ピアノのジョン・ウィリアムズは名前がありふれ過ぎているためか(日本人だと山田太郎みたいなもの?)地味な存在ですが、スタン・ゲッツやズート・シムズらと共演歴もある実力者です。4人全員白人ですが、内容的にはストレートなバップです。

アルバムはまずウッズ自作のタイトルトラック"Woodlore"で幕を開けます。軽快なバップチューンでイマジネーション溢れるアドリブを次々と繰り出すウッズが圧巻です。続くウィリアムズのピアノは意外とハードボイルドな感じです。2曲目”Falling In Love All Over Again"はまるでスタンダード曲のような美しいバラードですが、カウント・ベイシー楽団のアレンジャーとして有名なニール・ヘフティの作曲です(ヘフティについては過去ブログを参照)。バラード演奏での情感のこもったソロも絶品ですね。3曲目から5曲目は歌モノスタンダードですが、どれも原曲より早めのテンポで演奏されています。バラードの”Be My Love"、ミディアムチューンの"Slow Boat To China"はドライブ感溢れる演奏に、スインギーな"Get Happy"は超高速テンポに、と言った具合です。ラストはウッズ自作のブルース”Strollin' With Pam”で締めます。どんなテンポでも自在に吹き切るウッズのソロは圧倒的で、当時たくさんいたパーカーの後継者候補の中でも一歩抜きんでていたことがよくわかります。ビッグバンドでの演奏機会も多く、後にはフリージャズの世界でも名を成すウッズですが、やはり純粋なバッパーだったこの頃が一番輝いているのではないでしょうか?

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