ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジミー・ヒース/ザ・クオータ

2024-05-04 21:26:52 | ジャズ(ハードバップ)

本日はテナー奏者ジミー・ヒースを取り上げたいと思います。ヒース3兄弟の次男坊で、3歳上の兄がMJQで長年ベースを務めたパーシー・ヒース、9歳下の弟がドラマーのアルバート・ヒースです。キャリア自体は長く、早くも40年代のビバップ期に活動を始め、50年代前半にはマイルス・デイヴィスやJ・J ・ジョンソンのブルーノートセッションにも参加しています。ただ順調に見えたキャリアは麻薬によって蝕まれ、1954年にヘロイン所持で逮捕された後、5年間にわたって塀の中で過ごすことになります。1959年に復帰した後は順調に作品を発表し続けますが、やはりモダンジャズ黄金期の50年代半ばを不在にしていたことが、実力の割に存在感が薄い主な要因かもしれません。本作「ザ・クオータ」は1961年4月に録音されたリヴァーサイド3作目。3管編成によるセクステットで、メンバーはフレディ・ハバード(トランペット)、ジュリアス・ワトキンス(フレンチホルン)、シダー・ウォルトン(ピアノ)、そしてベースが兄パーシー、ドラムは弟アルバートです。

ジミー・ヒースはテナープレイヤーとしてだけでなく、作曲・編曲にも定評があります。マイルス・デイヴィスの"C.T.A.""Gingerbread Boy"も彼の作曲ですし、チェット・ベイカーの「ピクチャー・オヴ・ヒース」も名前通りほぼヒースの曲で構成されています。本作も7曲中4曲が自作曲ですが、オススメはタイトルナンバーの"The Quota"。3管のアンサンブルで始まるテーマが印象的な硬派ハードバップです。それ以外ではファンキーな"Down Shift""Funny Time"もまずまずの出来。スタンダードは2曲でミュージカル曲の"Thinking Of You"は軽快なハードバップ風演奏に、ジョニー・マティスやナット・キング・コールが歌った"When Sunny Gets Blue"は美しいバラードに仕上がっています。後者はハバードとワトキンスはアンサンブルのみでヒースのダンディズム溢れるテナーが存分に味わえます。ヒースのプレイは特にクセもなく、よく歌う正統派テナー。売り出し中の若手だったフレディ・ハバードとシダー・ウォルトンもイキのいい演奏を聴かせてくれます。ただ、スモールコンボでは珍しいフレンチホルンのソロは聴いていてやや苦しそう・・・ジュリアス・ワトキンスはブルーノートにリーダー作を残すぐらいの名手ですが、やはり楽器の構造的に高速アドリブに向いてないですよね。この曲に限らず全編にわたってワトキンスの♪プオ〜ンと鳴り響くアドリブが散りばめられていますが、ぶっちゃけ好みが分かれるところでしょうね。

 

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