Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

不器用で、やがておかしく

2008年10月11日 | 映画など
今日こそ書きます、『人のセックスを笑うな』。

20歳ほど年の違う女と男のラブストーリー、
と言ってしまうと語弊があるかもしれない。
ラブストーリーの一歩手前、というか、
まともに恋愛できない不器用な男女を面白おかしく
描いたコメディーだと捉えるのが正しいような気がする。


人のセックスを笑うな(2007)

美大に通う19歳のみるめ(松山ケンイチ)は、
非常勤講師のユリ(永作博美)といい仲になる。歳の差なんと20歳。
めくるめく愛と恋の世界が繰り広げられると思いきや、
みるめが本気になればなるほど、ユリは遠ざかっていく。
どうしても埋められない距離を懸命に縮めようとするみるめだが、
いかんせん19歳の浅はかさ。迷走し続けるわけで、
なんともまあ、情けない。

その情けなさを、松山ケンイチは見事に体現。
みるめを手玉に取る役の永作博美は、
とても39歳には見えないのだが、
その愛らしさで、悪女には全く見えず、
僕はむしろ、ユリのほうに共感してしまった。
オトナはオトナなりの事情があったり、
ちょっとした不幸を抱えつつ生きている部分が垣間見られて、
すげえな、やるなという印象。

蒼井優演じるえんちゃんに向かって、
「だって触ってみたかったんだもん」とみるめのことを話す場面は、
かなりエロい台詞なのに、さほどいやらしくないのは、
永作博美が言っているからだろうか。

みるめを荷台に乗せ、
割とスムーズに自転車を漕ぐユリ。
自転車がスクリーンの奥に進み、
だんだん遠ざかっていく場面の、
なんともいえない優しい感じ。

井口奈巳監督の登場人物を見る視点は、
少しばかり意地悪だが、基本的には温かい。
前作の『犬猫』もそうだったが、見た後はどこか心が和むというか。

えんちゃん役の神様(蒼井優)のことを書くのを忘れていた。
みるめのことが好きなのに、ちいとも振り向いてくれない悔しさを
身体いっぱいに表現してくれました。素晴らしい。
えんちゃんをほのかに想う堂本を演じた忍成修吾も好演。

いい映画です。ほんと。






コメント (2)
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