雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

くるま

2006-02-17 21:47:18 | 時事
京都からの帰りの新幹線で、「日韓貿易が1977年レベルに冷え込んだ」とテロップをみた。最近韓国といえば今月初めに米韓が自由貿易協定を結ぶことにしたため、国内映画の上映日数が140日あまりから70日あまりになり、俳優や監督が既得権益を失わないよう、デモをしたことぐらいしか記憶になかった。個人的には対岸の火事だったが、どこの日本メディアだったか、「アメリカの圧力によって」という付け加えていたのが気になった。最近の、アメリカの圧力の所為にする傾向が嫌だったからである(アメリカの保守になってるかも?)。

ワシントンポスト(2月2日付)を読む限りでは、その圧力の出所は、ブッシュ政権のアメ車販売促進したいという計画。ここのところ米韓の貿易は不均衡で、韓国の対米輸出利益は、46億ドルになるのに対し、アメリカの対韓国輸出額は26億ドルに過ぎなかった。そしてこの差を作り出しているのが車。同記事によると韓国車は、2004年に70万台売れた。一方韓国で売れたアメ車は5400台にすぎない。ブッシュ政権は自動車産業からプッシュされているらしい。

ただし自由貿易協定を結ぶにはどうしても処理しなければならない問題があり、両国政府もその問題の所在については一致していた(これは昨日今日始まった問題ではない)。それは、韓国農家の保護である。総人口4800万人のうち350万が農家では、アメリカ政府自身も無理だと思ってきた(らしい、concedeという動詞を使っている)。そのためお米と食肉はかなりの制限があり、フルーツは関税4、50%ということでやってきた。しかし世界で10番目の経済大国(GDP1兆ドル、アメリカの貿易相手としては7番目)という現在の韓国なら、というわけである。

韓国の通商大臣Kim Hyun Chong は、1000億ドルかけて農家を保護して、来るべき競争時代に備えると述べ、更に今回の自由貿易協定には、長年障壁があった政治的に微妙な分野も含まれていて、韓国としてもアメリカの市場をねらうと言明していた。韓国は、日本同様自国内には何も資源がないため、世界の競争に入っていくしかない、ということだろう。ひとの心配どころじゃないが、やるしかないらしい。

さて、車といえば、中国の動向も報告されている。NY Timesによると、ブラジルにあるクライスラーとBMWが所有しつつ持て余しているエンジンの工場を中国共産党がバックアップしている会社が買おうとしている。候補はこの1社なので、決まりそうなわけだが(ブラジルの自動車業界が不振なのと、現在この工場はミニクーパーのエンジン作りをしているが近い将来その需要がなくなる。フランスの工場でつくられたものになる)、とにかく中国は低燃費を実現させるいいエンジンがほしいということらしい。

GMの上海のスタッフが述べるように、中国ではガソリンの価格が直接消費者の生活に響くこともあるが、全世界がそうした時代に入るため、ブラジルで作ったエンジンを中国に持ってきてそれを搭載した車を世界向けにつくる用意があるという。つまり本田シビック、トヨタのカローラのような車をつくる、ということだ(とかいてある)。本田のように、品質重視路線でいくとも述べているらしい。

追伸:アメリカにいるとき、盗難車ベスト5をテレビのニュースでやっていた。1位から5位までが、本田とトヨタだった。それほど日本車の信用が浸透していたということだが、はじめからそうだったわけではない。アメリカ研究で名高い猿谷要さんがアメリカに留学している頃、コロナという車に乗っていた。当時日本車は今のように受け容れられていなかったが、3年乗って故障がないコロナに猿谷さんのまわりにいるアメリカ人が驚いたという。なぜなら車というのはしょっちゅう故障するものだと彼らが考えていたからだ。猿谷さんは、日本車の売り込みにご自分も貢献したなどとどこかで書いていたっけ。


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