雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

Katrina 19

2006-02-16 17:07:57 | アメリカ
Katrina 19 というタイトルだが、今回のメインはむしろRitaに関するもの。Ritaから避難しようと乗ったバスが爆発して、30名近くが亡くなった事件の調査結果が報告された(ワシントンポスト)。

事件は、昨年9月23日、ダラスの南を走る州間幹線道路を走るバスの後部から煙があがっているのを、その後ろを走っていたトラックの運転手がみつけたところから始まる。その運転手はすぐにバスに知らせ、そのバスを避難用にチャーターしていたSunrise社の職員(看護婦含む)が救助活動に入る。

悲劇は、そのバスに乗っていた避難者がみな高齢(80~90代)で動けないひともいたこと。その場にいた看護婦の話では、連れ出されることに素直に応じていたお年よりは少なかったらしい。あるひとは、「靴がない」といって拒み、ある方は、強引に連れ出されることに「痛い、痛い」といって拒絶し、またあるひとは「夫はどこ?」といっていた。バス後部から黒煙が昇っているのにである。被害者側の弁護士がいうように、身体が動けずに燃えるのを待つほど残酷な死に方はない。38名中23名がその数分後の爆発で命を落とした。

これまでのところ、訴訟が8件起こされている。Sunriseがチャーターしたバスには、ブレーキはじめいくつかの欠陥および法律違反が168みつかり(運転手は合衆国の免許証さえ持ってなかった)、その責任は、General Limo Inc.およびその経営者に帰せられ、1月30日に起訴されたが、2月6日、彼らの行為は9月23日と直接結び付けられず、無罪となった。

というのも爆発は、バス内の通気孔から生じたとみられるためである。結局8件の訴状のうち6件がSunriseに対してのもの。Sunriseは、全米最大のお年寄りなどの生活をサポートする会社で、37州に420のコミュニティを持っていた(今回の被害者は、テキサス州にあるBrighton Garden communityの居住者)。といっても救助がなっていなかったからではない。無責任な会社に委託したからという理由である。被害者側の弁護士は、一本でもそのGeneral Limoに借りたことのあるひとに電話すべきだったといっている。

それからもうひとつ気に留めておきたいこと。どうやらSunriseのスタッフに対してその客であるコミュニティ居住者たちもわがままというか少し依存心があったらしい。移動中トイレに行きたいといった老人がいて、自分では歩けないといっていたが、その事故の時には率先して「歩いて」に逃げ出したらしい。そういう雰囲気もあって、スタッフの声に迅速に応答しなかったとみられる。別のスタッフのひとりも次のように証言している、「彼(老人のひとり)は、わたしのためには立ち上がろうとしなかった」。もちろんプロなんだからということにはなるが、Sunriseは今のところすべての訴状に対し否認し、全面対決の様相。

こうしたやりとりをみていると、なんだかなぁと思ってしまう。人知を超えたひとつの不幸を人知の枠内にいれてしまうのは少なからず無理がある。

そのほかの最近のKatrina関連記事
1) 遅々として進まない復興および支援が数字でことこまかに描写。これだけ大規模だとスムーズに行くほうが不思議な感じはしますが(ワシントンポスト)。
2) こんどの土曜から始まるMardi Grassの資金が集まらず、今のところ名乗りを上げているスポンサー1社のみ(NY Times 2/12)
3) Katrinaへの対応が遅れたことへの非難がどんどん広がっている様。責任は一箇所にのみあるわけではない(ワシントンポスト)
4) 上記の共和党レポート(NY Times)。結局White Houseだけに問題があるわけではなく、BlancoほかNaginまでいろいろあったという確認。
5) 主として政府対応非難(NY Times)。
6) New Orleansのかつての住民30万人がいなくなったことによってNew Orleansの文化もなくなるという危惧(ワシントンポスト)。


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