雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

Emission Trade

2005-12-29 00:25:15 | 時事
ロシアは、以前「同じ穴のムジナ」でも触れたように、イメージが悪い。昨今外国人(特にアフリカ人)留学生に危害が加えられる事件が頻発していると、先程もNHKでやっていた。

しかし一方で中国、インドに次ぐ、経済市場になる国である可能性は依然として高い。イメージの悪さのほかに問題だったのは、外貨がないことと、軍事技術だけはしっかりあること(これは悪くないか)、だったわけだが、中国というパートナーが軍事技術を買ってくれて、更に石油もわんさか出て、金だけは入る手立てが調っている。

更に今日紹介したいのは、NY Times の「In Russia, Pollution is Good for Business」と題する記事で紹介している Emission Tradeにおけるロシアの優位。

Emission Tradeとは、京都議定書で決められた Greenhouse gases (地球の温暖化を促進するガス類)の排出量の権限の商売のこと。産業が進んだ加盟36カ国は、2012年までに1990年の時点での排出量の基準を下回らなければならない。しかしEUは、現在6%超過、世界の温暖化ガスの15分の1を排出しているアメリカは、批准してはいないが、今のところ19%超過とすすんでいない。

しかしロシアは違う。ソ連崩壊後、90年代に経済ががた落ちになり、1990年を基準にすると、現在43%も下回っている(逆に90年のレベルに達するには2020年くらいまではかかるといわれている)。しかも現在の排出は、時代遅れもはなはだしいほどの設備での排出量なので、いくらでも改善ができる。こうなると、ロシアは、排出量の権利を売ることが出来、NY Timesの記事に書かれているような事態、「ロシアでは汚染はビジネスになる」ということになる。

今年6月には、実際にデンマークの会社が120万の炭素の権利を買い(二酸化炭素1の権利 one carbon credit が、1トンの二酸化炭素にあたる)、デンマークとしては、2012年には、京都議定書のノルマを果たせる見込みになっている。また、この秋には、その他のヨーロッパの国々や、日本が、食指を動かし、Toyotaは、技術援助などもすることになっている。こうなると、ロシアは、2012年までに20億から30億トンの二酸化炭素排出量を減じることができそうで、ロシアの価値は、200億ドルから600億ドルと試算されている。

こういう世界全体の傾向にアメリカもあわせざるをえないというわけで、早急な対策が求められているが、ロシアもいいことばかりではない。昨今も紹介したように政府主導のため今ひとつスピードに乗れず、デンマークのある会社との契約では、11月後半までに終わっていなければならないところが、2月までずれ込む見通しらしい。

いずれにせよ、ロシアとしては思いもしないもの、技術の遅れと経済の破綻が奇貨になるんだから、笑いがとまらないだろう。僕もそんなのほしいな。

世界主要国の二酸化炭素の排出量は、こちらで。


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