消化器・肝臓内科 松本です。
本年も宜しくお願いいたします。
年の初めの記事ということで、足元を見つめ直すような話題について考えてみたいと思います。
僕たちが仕事をしていくとき、医学用語を正確に使うことは非常に大切です。それぞれの用語には定義がありますから、それを誤って用いると誤解のもとになります。
ただ、医学用語には日常的に用いられる用語が多々あって、その区別がつけづらい場合があります。
例えば次の三つの用語の定義を説明できるでしょうか?
1)癌
2)がん
3)ガン
1)の「癌」は病理学用語として、上皮由来の悪性腫瘍を示す語です。
2)の「がん」は悪性腫瘍一般を示す語(病理学的には癌に含まれない「血液のがん」白血病なども含まれる。)です。厚生労働省のホームページなどで「がん」と表記されているのは悪性腫瘍一般を意味しているからです。
3)は間違いです。「がん」は日本語なので、外来語を表記する時に使う様なカタカナ表記を用いる事はありません。
ですから、築地にある国立がん研究センターは、国立癌センターでもましてや国立ガンセンターはないのです。
「がん研有明病院」で有名な有明にある「がん研究会」も「癌研究会」として発足しましたが、いまではひらがなの「がん」を使っています。
(例外もあります。日本癌学会は昔ながらの漢字の「癌」を使っています。)
テレビなどではこの区別はいい加減です。その影響か、俗語として「ガン」は標準的な地位を確立していると言えるでしょう。でもやはり、職業人としては「癌」「がん」「ガン」の違いを意識していたいと思います。
同様の言葉は他の領域にも多々あろうかと思います。細かいことと思われるかもしれません。けれども、「その道の大家」と言われるような人でこう言った用語をいい加減に使う人はいないでしょう。
「大家」でなくても「プロ」として仕事をする時にはこう言ったことにも注意する習慣を身につけたいと思うのです。
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